花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

ワシントン・ナショナル・ギャラリー

2011-05-29 01:03:19 | 美術館
6月8日から国立新美術館で「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」が始まるようで、『芸術新潮』も特集を組んでいたが、実は今月ワシントンDCに行ってきた。


ワシントン・ナショナル・ギャラリー(National Gallery of Art, Washington, DC

目的はヘンドリク・テル・ブリュッヘン《聖イレーヌに介抱される聖セバスチアヌス》特別展示を観るためだった。オハイオ州アレン財団美術館まで出向くよりもワシントン・ナショナル・ギャラリーに行く方が断然楽だということは前回の米国縦横断旅行の学習から得た結論であり、この機会を逃すことは偲びがたかった。大震災前に予約していた航空券はキャンセルしたのだが、かなり悩んだあげく、仮の四十九日をすませた後でやはり出かけることにした。

・「テル・ブリュッヘン特別展示」Larger Than Life: Ter Brugghen's Saint Sebastian Tended by Irene



ワシントンは2度目でもあるし、相変わらず下調べもせず出かけたが、収穫は予想以上に大きかった。テル・ブリュッヘンは《聖イレーヌに介抱される聖セバスチアヌス》だけでなく、2009年所蔵の《バグパイプ奏者》も展示されており、この2作品の質の高さが嬉しかった。それに、ナショナル・ギャラリー東館の展覧会もすこぶる充実していたのだ。「ハブリエル・メツー展」「カナレット展」「ゴーギャン展」、それぞれ見応えのある内容だった。

・「ハブリエル・メツー展」Gabriel Metsu, 1629–1667



・「カナレット展」Venice: Canaletto and His Rivals



・「ゴーギャン展」Gauguin: Maker of Myth



それぞれの展覧会感想は改めて書きたい。

今回、ナショナル・ギャラリーが常設展だけでなく展覧会も全て無料であることに驚いた。「ホッパー展」を観た時は有料だったような気がしていたのだ。もちろん同じモール地区のスミソニアン協会各施設も全て無料であり、成り立ちや文化財に対する意識・税制の違いもあるだろうが、その規模の大きさや財源の豊かさは日本人として実に羨ましい。
広いモール地区道路沿いの威風堂々たる古典的オーダーの目立つ公共建築群を見上げながら、ふと、古代ローマ帝国のようだとも思ってしまったが、別に皮肉のつもりはない。