「夢を実現せよ、人を動かせ、創造せよ」という冠言葉が本の表紙には記されている。このフレーズは、ある意味で本書に取り上げられた様々な分野のリーダーや著名人が名言として触れている内容でもある。本書を読み、付録のCDを聴いてみた。名言を述べた世界のトップリーダーたちの人数を数えてはいない。「はじめに」によると、125人の名言集であり、200を越える名言が収録されている。本書初版は2009年2月の発行。
BUSINESSという副題が付いているが、大半はビジネスと関係があるとは言え、そうと限定する必要のない名言も含まれている。トップリーダーもビジネス領域だけに限られず、政治家、学者、医者、作家、ジャーナリスト、スポーツ選手など幅広い分野のトップリーダーが含まれている。過去の人たちだけでなく、現在活躍しているリーダーたちも含まれて言える。本書で初めて知ったリーダーが数多い。
本書は16章構成になっていて、各章はまずクローズ・アップとしてトップリーダーの1名が取り上げられ、その人物写真・略歴・名言(英語文と翻訳文)・言葉の背景がまとめられている。そして、その名言の英語表現についての解説がある。単語、文構造、表現法などに触れている。そして、「人物のエピソード」がコラム的に記されている。
その続きに、各章のテーマに対応した10数件の名言が列挙されていく。この名言については、英文・翻訳文・人物の簡略なプロフィール・英語表現への補足説明というフォーマットであり、1ページに2件~1件の掲載スタイルである。
名言というのは、やはり多くの人々にストレートに受け入れられるものである。相手に分かりやすい言葉で語られてこそ、心に響いていくのだろう。ここに取り上げられた名言は殆どが分かりやすい単語、良く知られた単語が使われている。付録のCDでは各章の名言が順番に読み上げられていく。本文を読み、その後リスニングを繰り返せば、名言の構文、調子、単語などに親しむこと、名言自体を身に染み込ませるのに役立つことだろう。
平易な単語と構文でこれだけ読み手に考えさせる名言を語れるということは、さすが世にリーダーとして名を成した人物だと感じる。本人が語った以上に、読者自身が己の経験や見聞した人々の事例を含めて、深読みしていくこともできるだろう。
ここに集められた名言を読んだ第一印象は、世界のトップリーダーが、ポジティブな思考をする人、まず自ら行動してきた人、己の失敗から学びプラスに転換してきた人、・・・・たちばかりだということ、そして未来志向をしているということである。
ここに集められた名言を自家薬籠中のものにできれば、すばらしいことだと思う。
各章にテーマが設定されているが、読者の好みで、どの章からでも読み、聴くとよい。16章のテーマとclose-upされている人物、その人物の一般的肩書等を参考に列挙する。章は番号のみで表記する。
1. 成功 Bill Gates 1955~ マイクロソフト社創業者
2. 夢 Walt Disney 1901-1966 「ミッキーマウス」の生みの親。デズニーランド建設。
3. チャンス Richard Branson 1950~ ヴァージングループの創設者
4. お金 Ray Kroc 1902-1984 マクドナルド創業者
5. リーダーシップ Peter Drucker 1909-2005 経営学者・社会学者
6. やる気にさせる Mary Kay Ash 1918-2001 メアリー・ケイ・コスメティク(化粧品会社)の創業者
7. 決断 Henry Ford 1863-1947 フォード・モーター社創業者
8. 困難 Carlos Ghosn 1954~ ルノーCEO兼日産CEO
9. 創造性 Coco Chanel 1883-1971 フランスのファッションデザイナーの草分け
10. 能力・資質 Malcolm S. Forbes 1919-1990 経済誌「フォーブス」の元発行人。
11. 行動 Lee Iacocca 1924~ クライスラー社の元会長兼CEO
12. 態度・姿勢 Muhammad Yunus 1940~ バングラデシュのグラミン銀行総裁、経済学者
13. 変化 Jack Welch 1935~ ゼネラル・エレクトリック社(GE)元CEO
14. 時間 Steve Jobs 1955~ アップル社の共同創業者
15. 失敗 George Soros 1930~ ファンドマネジャー
16. ビジネスモラル Catherine Austin Fitts 1952~ 投資コンサルタント会社、ソラリ社長
さて、これらclose-up人物の名言から、だれもが知る3人の名言をご紹介する。
これだけでも、読者にとって考えるための材料になるだろう。
まず、ビル・ゲイツの名言から。
Success is a lousy teacher. it seduces smart people into thinking they can't lose.
「成功は最低の教師である。賢い人間をだまして、失敗するわけないと思わしてしまう。」
そして、失敗についての次の名言も取り上げられている。
It's fine to celebrate success but it is more important to heed the lesson of failure.
「成功を祝うのも結構だが、もっと大切なのは失敗の教えに耳を傾けることだ」
ウォルト・ディズニーはこう語る。
All your dreams can come true if you have the courage to pursue them.
「追い求める勇気があれば、すべての夢はかなう」
彼は、チャンスについて、こう助言する。
We keep moving forward, opening new doors, and doing new things, because we're curious and curiosity keeps leading us down new paths.
「われわれは前進し、新しい扉を開き、新しいことに挑戦し続ける。なぜならわれわれには好奇心があり、その好奇心が新しい道に導いてくれるからだ」
そして、スティーブ・ジョブズの言葉である。
Your time is limited, so don't waste it living someone else's life.
「時間には限りがある。だから、誰かの人生を生きることで浪費すべきではない」
「リーダーシップ」については、変化の激しい現代社会では革新なしに成功はないとし次のように断言する。
Innovation distinguishes between a leader and a follower.
「革新は、リーダーと追随者を峻別する」と。
最後に、「態度・姿勢」の章に載る Zig Ziglar の興味深いメッセージを別の事例としてご紹介しておこう。本書で初めて知った人物だが、アメリカで最も有名なモチベーターの一人だそうである。
It is your attitude, not your aptitude, that determines your altitude.
「あなたの高さを決めるのは、あなたの才能ではなく、態度である」
本書は「この名言も、attitude(態度)、aptitude(才能)、altitude(高さ)という3つの似た響きを持つ言葉を使った印象的なフレーズです」という説明を付記している。言葉遊び的な面白さを含みながら、人々を頷かせるメッセージであり、聴いた人はこのゴロ合わせ的な言い回しを忘れないのではないかと思う。
このメッセージでふと連想するのは、日本の硬貨・5円玉に描かれた稲のデザインと、「実る程頭を垂れる稲穂哉」である。真理は洋の東西を問わないということなのだろう。
世界のトップリ-ダーたちが語るメッセージは、やはり勇気を与え、やる気をinspire してくれる。
本書には名言という原石が詰まっている。この原石の持つ意味を解釈し、咀嚼し、己の行動に取り込みという、磨きの作業を加えることで、自分のとしての輝きをだすことになるのだろう。他人の名言が生きるかどうかは、我々読者次第ということになる。
ご一読ありがとうございます。
BUSINESSという副題が付いているが、大半はビジネスと関係があるとは言え、そうと限定する必要のない名言も含まれている。トップリーダーもビジネス領域だけに限られず、政治家、学者、医者、作家、ジャーナリスト、スポーツ選手など幅広い分野のトップリーダーが含まれている。過去の人たちだけでなく、現在活躍しているリーダーたちも含まれて言える。本書で初めて知ったリーダーが数多い。
本書は16章構成になっていて、各章はまずクローズ・アップとしてトップリーダーの1名が取り上げられ、その人物写真・略歴・名言(英語文と翻訳文)・言葉の背景がまとめられている。そして、その名言の英語表現についての解説がある。単語、文構造、表現法などに触れている。そして、「人物のエピソード」がコラム的に記されている。
その続きに、各章のテーマに対応した10数件の名言が列挙されていく。この名言については、英文・翻訳文・人物の簡略なプロフィール・英語表現への補足説明というフォーマットであり、1ページに2件~1件の掲載スタイルである。
名言というのは、やはり多くの人々にストレートに受け入れられるものである。相手に分かりやすい言葉で語られてこそ、心に響いていくのだろう。ここに取り上げられた名言は殆どが分かりやすい単語、良く知られた単語が使われている。付録のCDでは各章の名言が順番に読み上げられていく。本文を読み、その後リスニングを繰り返せば、名言の構文、調子、単語などに親しむこと、名言自体を身に染み込ませるのに役立つことだろう。
平易な単語と構文でこれだけ読み手に考えさせる名言を語れるということは、さすが世にリーダーとして名を成した人物だと感じる。本人が語った以上に、読者自身が己の経験や見聞した人々の事例を含めて、深読みしていくこともできるだろう。
ここに集められた名言を読んだ第一印象は、世界のトップリーダーが、ポジティブな思考をする人、まず自ら行動してきた人、己の失敗から学びプラスに転換してきた人、・・・・たちばかりだということ、そして未来志向をしているということである。
ここに集められた名言を自家薬籠中のものにできれば、すばらしいことだと思う。
各章にテーマが設定されているが、読者の好みで、どの章からでも読み、聴くとよい。16章のテーマとclose-upされている人物、その人物の一般的肩書等を参考に列挙する。章は番号のみで表記する。
1. 成功 Bill Gates 1955~ マイクロソフト社創業者
2. 夢 Walt Disney 1901-1966 「ミッキーマウス」の生みの親。デズニーランド建設。
3. チャンス Richard Branson 1950~ ヴァージングループの創設者
4. お金 Ray Kroc 1902-1984 マクドナルド創業者
5. リーダーシップ Peter Drucker 1909-2005 経営学者・社会学者
6. やる気にさせる Mary Kay Ash 1918-2001 メアリー・ケイ・コスメティク(化粧品会社)の創業者
7. 決断 Henry Ford 1863-1947 フォード・モーター社創業者
8. 困難 Carlos Ghosn 1954~ ルノーCEO兼日産CEO
9. 創造性 Coco Chanel 1883-1971 フランスのファッションデザイナーの草分け
10. 能力・資質 Malcolm S. Forbes 1919-1990 経済誌「フォーブス」の元発行人。
11. 行動 Lee Iacocca 1924~ クライスラー社の元会長兼CEO
12. 態度・姿勢 Muhammad Yunus 1940~ バングラデシュのグラミン銀行総裁、経済学者
13. 変化 Jack Welch 1935~ ゼネラル・エレクトリック社(GE)元CEO
14. 時間 Steve Jobs 1955~ アップル社の共同創業者
15. 失敗 George Soros 1930~ ファンドマネジャー
16. ビジネスモラル Catherine Austin Fitts 1952~ 投資コンサルタント会社、ソラリ社長
さて、これらclose-up人物の名言から、だれもが知る3人の名言をご紹介する。
これだけでも、読者にとって考えるための材料になるだろう。
まず、ビル・ゲイツの名言から。
Success is a lousy teacher. it seduces smart people into thinking they can't lose.
「成功は最低の教師である。賢い人間をだまして、失敗するわけないと思わしてしまう。」
そして、失敗についての次の名言も取り上げられている。
It's fine to celebrate success but it is more important to heed the lesson of failure.
「成功を祝うのも結構だが、もっと大切なのは失敗の教えに耳を傾けることだ」
ウォルト・ディズニーはこう語る。
All your dreams can come true if you have the courage to pursue them.
「追い求める勇気があれば、すべての夢はかなう」
彼は、チャンスについて、こう助言する。
We keep moving forward, opening new doors, and doing new things, because we're curious and curiosity keeps leading us down new paths.
「われわれは前進し、新しい扉を開き、新しいことに挑戦し続ける。なぜならわれわれには好奇心があり、その好奇心が新しい道に導いてくれるからだ」
そして、スティーブ・ジョブズの言葉である。
Your time is limited, so don't waste it living someone else's life.
「時間には限りがある。だから、誰かの人生を生きることで浪費すべきではない」
「リーダーシップ」については、変化の激しい現代社会では革新なしに成功はないとし次のように断言する。
Innovation distinguishes between a leader and a follower.
「革新は、リーダーと追随者を峻別する」と。
最後に、「態度・姿勢」の章に載る Zig Ziglar の興味深いメッセージを別の事例としてご紹介しておこう。本書で初めて知った人物だが、アメリカで最も有名なモチベーターの一人だそうである。
It is your attitude, not your aptitude, that determines your altitude.
「あなたの高さを決めるのは、あなたの才能ではなく、態度である」
本書は「この名言も、attitude(態度)、aptitude(才能)、altitude(高さ)という3つの似た響きを持つ言葉を使った印象的なフレーズです」という説明を付記している。言葉遊び的な面白さを含みながら、人々を頷かせるメッセージであり、聴いた人はこのゴロ合わせ的な言い回しを忘れないのではないかと思う。
このメッセージでふと連想するのは、日本の硬貨・5円玉に描かれた稲のデザインと、「実る程頭を垂れる稲穂哉」である。真理は洋の東西を問わないということなのだろう。
世界のトップリ-ダーたちが語るメッセージは、やはり勇気を与え、やる気をinspire してくれる。
本書には名言という原石が詰まっている。この原石の持つ意味を解釈し、咀嚼し、己の行動に取り込みという、磨きの作業を加えることで、自分のとしての輝きをだすことになるのだろう。他人の名言が生きるかどうかは、我々読者次第ということになる。
ご一読ありがとうございます。
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