←四条通
八坂神社を出て、宵の祇園を歩いた。
四条通は車も人も混みあっている。
ヘッドライトやアーケードの白色光が混沌としかけた頭の中に射し込んできた。
夜の雑踏は苦手だ。
人混みを避けるように、路地に逃げ込んだ。
四条通から北へ入る細い路地。
この路地は、料理屋などの橙色灯でうっすらと照らされていた。
←四条通りの路地『切通し』
人がポツリポツリと通り過ぎ、静かに闇が空を覆いかける。
表の雑踏から逃れてきた人が迷い込み、行き先を求めて彷徨っているようだ。
そんな人通りも途絶えてしまうと、妙な静けさが訪れる。
この世とは違った世界、まさに物の怪たちが顔を出しそうな街並みになるのだ。
こんな時が『逢魔が時』と言うのだろうか。
京都にはこの世とあの世を結ぶ不思議な空間があるようだ。
『 身の中の 逢魔が刻の 蛍かな 』 枇杷男
←巽橋の赤い欄干『白川南通』
←巽橋周辺