山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

計算力をつける

2020-05-14 | 数学・物理嫌いを克服する部屋
 誰しも計算力を高めることが大切なことに異存はないと思います。
しかしながら、速くて正確に計算することが求められますなどと言われると、それだけで心が萎えてしまうことでしょう。果たして速くて正確な計算能力が絶対のものなのでしょうか?
 確かに、そうであることは望ましいことです。でたらめな計算は、それはいただけません。しかし、計算を速くすることに拘る必要はないと思います。計算を速めるために修練を積み重ねる時間があれば、他にもやることが多くあると思います。
 ここで言っている計算スピードはいわゆる数値計算のことです。数値同士を加減乗除するスピードのことです。これを磨くには、ひと昔前(今でも?)にはソロバンを習うことや計算ドリルを延々と繰り返すことで会得していたと思います。このようなトレーニングを否定しませんが、これに特化する必要もないと思います。と言いますのも、問題を解く過程で、この手の計算をやらざるを得ないからです。ですから正確に計算できるようになったら、問題を解く過程でいくらでも計算スピードを向上させることができるようになります。
そしてもっと重要なのは、「もっと楽して計算できないかなー」と計算のやり方を工夫することです。

 例として、適当かどうかわかりませんが、
 大貫昌子訳 「ご冗談でしょう、ファインマンさん」Ⅱ-ノーベル賞物理学者の自伝-岩波書店
P10~P14にファインマン氏とソロバンを扱う日本人と計算競争をする場面が描かれております。ファインマン氏はもちろん暗算で対戦します。その結果は、足し算はソロバンの圧倒的勝利、掛け算はソロバン優勢、割り算は互角といったものでした。割り算で互角になってしまった日本人は、悔しかったのか3乗根をやろうと言い出しました。結末は、ご想像の通りファインマン氏の圧勝に終わります。その他いろいろと面白いことが満載の同書を是非ご一読ください。
 -以下同書から引用-
 「彼は数というものの内容を理解していなのである。そろばんではいろいろな算術上の組合せを覚える必要は全然なく、あのそろばん玉を押し上げたり下したりすることを学びさえすればいいのだ。つまり、9+7=16ということを暗記せずとも、9を足すとき10の位の玉をあげておいて、1の位の玉を一つ下すことさえ知っていればいいのだ。それに比べ僕らは基礎的算術の点ではそろばんよりのろいが、その代り数というものの内容は理解しているわけだ」
ー以上引用終わりー

 ファインマン氏の暗算能力には目を見張るものがありますが、上には上がいるもので物理学者のベーテはファインマン氏も脱帽する位の計算力の持ち主だったそうです。何故物理学者の計算能力が高いかということには理由があります。数式を計算する能力は当然のこととして、物理においては観測にかかる物理量は実数値で表します。例えば、速さが1.23m/secであるとか、電圧が114Vであるとかです。数式には実際の物理量を代入して計算する必要があります。だから数値計算をしょっちゅうやらなければなりません。この話は先の大戦中のことです。当時は電卓もまだない時代で、手廻し計算機というのが主流でした。だから如何に速く計算できるかというのが大切なことであったのです。
 ただ、現代は関数電卓やパソコンなど広く普及しておりますので、簡単に計算することができるようになりました。ですから、そこまで数値計算能力の高さは要求されないと言えます。ただ、試験では持ち込み禁止となることが多いので、相変わらず手計算が必要です。

 話が随分と横道にそれましたが、実際に私の数値計算能力は人並み以下であると自負しております(笑)。二桁の掛け算を暗算ですることはできません。二桁の割り算など論外です。分数だって通分が必要な場合には暗算できません。これは歳をとったからではなく、学生時代全般を通してそうだったと思います。ただ、正確にはできないけれど概算では近い値をはじき出せたように思います。だから、計算をミスした場合には何となく変だなーといった堪働きはあったと思っております。
 数値計算においては人並み以上に遅いことは間違いありませんが、数式の計算は人並み程度はできるようになったと思っております。これは努力の成果です。計算能力が低いと自覚したとき、毎日5分間だけ、授業の休み時間とかちょっとした時間を見つけては、問題集の簡単な計算問題を繰り返し練習しました。1カ月程続けると何となく計算能力が向上したなと思えるようになりましたので、それで計算だけの練習は止めてしまいました。計算練習をするとき時間を計測していたら、より実感が湧くと思いますので、今後取り組まれる方にはお勧めします。
その後は、色々な問題を解くときに否が応でも練習をさせられますので、一度付いた計算力は錆びつかないでしょう。

 計算で時間が掛かるのは、やはり書くことにあります。時間短縮の要諦は書く量を減らすことです。暗算できるに越したことはないのですが、必要最小限しか書かない工夫をしてみましょう。
 例えば、これは几帳面な方に多いのですが、
 x^2-x-1=2x^2-4x-5 (x^2はxの2乗を表します)
といった2次方程式を解くために方程式を整理しますが、
-x^2+3x+4=0
x^2-3x-4=0
という具合にやる方を見受けます。
これだったら、
 0=x^2-3x-4 (これ位は暗算で行えるでしょう。)
と頭のなかでやって、一発で
x^2-3x-4=0
としても一向に差し支えないと思うのですが、未知数は何が何でも左辺にしなければいけないと思っているようです。同類項を整理するとき、最高次の係数が正の数になっている方が何かと都合が良いでしょう。そのためには、計算に着手する前に式全体を眺めて、方針を決めてからやり始めた方が良いのです。
何にしても書く作業が圧倒的に時間が掛かります。こういったところが計算スピードが遅くなる要因になります。おまけに書くと疲れるし・・・。
私はものぐさ者で、面倒なことはやりたくない性質なので出来るだけ楽をするように気を付けております。但し、これで計算ミスをするようであれば、やめておいた方が無難でしょう。
 その他にも色々と計算を楽にする方法がありますが、それはその都度ご紹介していきたいと思います。

 計算練習は、一度みっちりとやっておく必要はありますが、長時間やれば良いというのでもありません。過ぎたるは猶及ばざるが如しです。
計算は正確さを最優先にしましょう。速くできるに越したことはありませんが、絶対条件ではありません。

 念のため言っておきますが、計算ができなければ数学もできませんが、計算ができるからといって数学ができるというものでもありません。






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