山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

家庭と大口需要家の消費電力比率に関する報道

2012-06-10 | 政治・経済・社会

 6月10日朝日新聞朝刊(九州版?)に「節電の夏 どうする?」と題する渡辺淳基氏の署名記事が掲載されておりました。記事の内容に少々気になる点がありましたので指摘しておきたいと思います。

 まず「このピーク時に電気が足りなくなって停電を起こさないよう、電力会社は原子力や火力発電所をつくってきた。」とのことですが、原発は負荷の変動に応じて出力を変動させるという用途には不向きです。むしろ出力一定で稼動しておりますので、夜間に余った電力を夜間電力という形で安価に販売しております。この辺りの基本的認識の違いは重要です。

 次に「じつは、ピーク時の電気は一般の家庭が大半を消費している。とくに午後2時ごろの家庭の消費電力は企業などの「大口電力」に比べて4倍になる。」とあります。これをどのように理解すればよろしいのでしょうか。素直に読めば、家庭で消費される電力が、企業などの大口需要家で消費される電力の4倍になっていると読めます。つまり、電力消費の80%が家庭で、20%が大口需要家ですと。

 一方、「朝日新聞に掲載された、田中優氏の主張について」で、田中優氏は、「北海道を除けば電力消費のピークは夏場の、酷暑の平日の午後1~3時です。この時間帯の消費の9割は事業者です。」と述べております。この内容自体については、先の記事の中で指摘しております。この余りにもかけ離れた数値のどちらが正しいのでしょうか。どちらも間違っているのでしょうか。それとも私の読解力不足のなせる業で、別の読み解き方をしなければならないのでしょうか。

 引き続いて、記事は消費生活アドバイザーの見解を取り上げていきますが、これについては個人の見解ですから、コメントを避けたいと思います。しかしながら「誤解を招きかねない節電方法に関する報道」で指摘しているような内容も見受けられます。

 更に、文脈からは誰の見解かは不分明ですが「昨夏の節電効果の8割強はこうした家庭での取組みの成果だった。」とのことです。これもかなりの疑問符がつくのではないかと思います。何に対する8割強かによるとは思いますが、一般的には総節電量に対する割合であるものと解されます。これも家庭:大口=8:2と符合しているといったことなのでしょうか?

 先般来、東電の収益構造が問題になりました。ここでも大口への販売量が多いにも関わらず、収益のほとんどが家庭向けからのものだったのが問題になったのではありませんか。これは東電だけの特殊な問題なのでしょうか。この記事を書くときに、先の報道内容との矛盾にお気付きにならなかったのでしょうか。それともピーク電力と販売電力量と本質的に異なるとの深いお考えのもとに記事を書かれたのでしょうか?

 何となく”?”マークがいっぱいついてしまいました。この記事は一体全体何が言いたいのか良く判りませんでした。この夏の節電は8割が家庭で消費するのだから、家庭での節電が重要だとでも言いたかったのでしょうか。少なくとも大新聞が記事にするのですから、数値の出典を明らかにすべきであろうと考えますし、その内容の裏付けをしっかりと取っていただきたいものだと考えます。