「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
今年は声優の皆さんの訃報に接することが多い年です。具体的には11名の声優が亡くなられてしまったようですが、中でも「ちびまる子ちゃん」のまる子役のTARAKOさん、「サザエさん」の花沢さん役の山本圭子さん、「ルパン三世」の峰不二子役の増山江威子さん、「ドラえもん」のび太役の小原乃梨子さんは私自身もアニメの中で長年親しんだ声でしたので、とても残念に感じます。同時に各々のキャラクターが他の人の声に代わってしまうと、役そのものが別のものになってしまうようにも感じます。それくらいに声とは、その人(キャラクター)の個性だと言えるのかもしれません。
これまで本ブログでもたびたび取り上げてきていますが、最近若い人(なかでも特に女性)の声が小さいと感じることが多いです。弊社が担当させていただく研修では、演習等で発表をしていただく機会が度々ありますが、その際にマイクを使ってもらっても聞き取れないくらいに声が小さい人がいます。それには、発言する内容に自信が持てないということも影響があると思っていたのですが、実はそれは声の大きさだけでなく声の高さにも関係があることを、この度音声認知の専門家の山崎広子氏の記事(朝日新聞 2024年10月25日)により知りました。
山崎氏によると、日本の女性は本来はもっと低い声のはずの人まで甲高い、場合によっては1オクターブ近く上の声を出しているのだそうです。その理由は、社会(男性)が高い声を暗黙裏に求めているからで、日本の女性は世間から求められているイメージに無意識に自分を合わせてきた結果であるとのことです。
確かに、私自身の記憶でも子どもの頃に固定電話にかかってきた電話に母が出る際に、普段よりも少々高めの「よそ行き」の声で応対していたことが思い出されます。また私自身も、社会人になって電話に出る際に、それに近いことをしてきたのかもしれないとも感じます。
こうしたことを考えると、研修でお会いする受講者の中に極端に声が小さくて聞き取るのが難しいという人が少なからずいるということも、それは声の大きさのみならず声の高さも影響していたのではないかと思っています。つまり、世間(主に男性)から可愛い・保護対象などのイメージと結びつく高めの声を求められていると感じていて、研修でも自身の本来の声とは別の高い声や裏声を出すことで、結果として聞き取りにくい声になってしまっていたとも考えられるということです。
前述の記事の中で、山崎氏は「声は心身の状態だけでなく価値観や生き方まで映す、その人そのものと言ってよい存在。また、日本では自分の声が嫌いな人が8割超に上りました。作り声は、他者だけでなく自分自身をも偽っているようなもの」とおっしゃっています。
他者と話している自分の声の録音を聞くと、日々自分が話している声を聞いているときとは違って聞こえることがあるかと思います。それにはいろいろ理由があるそうですが、もしかするとその一つに無意識に高い声を出しているからなのかもしれないと思うとともに、私自身も自分のありのままの声を自信をもって発していきたいと今回の記事を通して考えました。