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プロダクトアウトで行こう!

2018年02月11日 | コンサルティング

企業が商品の開発を行うときに、2つのアプローチがあります。プロダクトアウト(product out)とマーケットイン(market in)です。マーケティングを学ばれた方にとっては、馴染み深い言葉ではないでしょうか。

プロダクトアウトは、作り手(企業)の理論を優先させるアプローチです。「作り手が良いと思うものを作り、売る」という考え方です。一方のマーケットインは、市場のニーズを調査し、ユーザーの意見を重視するアプローチです。「市場が望むものを作り、売る」ことです。

おそらくほとんどの人は、プロダクトアウトは市場(ユーザー)のニーズを反映しないからダメで、 市場の要求をしっかりと汲み取るマーケットインで商品を作らなければならない、と考えることでしょう。

ところが、過去のヒット商品、中でも全く新しい市場をゼロから作り上げてしまうような「超メガヒット商品」の多くは、プロダクトアウトによる成果なのです。

SONYが1979年に発売した初代ウォークマンは完全にプロダクトアウトの商品です。「録音機能の無いテープレコーダーは絶対に売れない!」という社内の強い反発を当時の会長盛田昭夫氏が押し切り、初代ウォークマン「TPS-L2」を発売しました。その結果どうなったかは言うまでもありません。

1970年代の中頃から終わりにかけて、私(平野)は学生でした。もしもそのときSONYからアンケートを依頼されて、「録音はできないが軽くて持ち運びができる3万円台のヘッドホン・ステレオ」について尋ねられたら、即座に「買わない」と答えていたでしょう。

もう一つプロダクトアウトで有名なものは「コンビニのおにぎり」です。これもまた1978年にセブンイレブンの鈴木敏文会長が「売れるはずがない」という反対を押し切って発売したものです。今やセブンイレブンのおにぎりの売上は年間約800億円だそうです。コンビニのおにぎりもまた、市場調査を行っていたら発売されなかったかもしれませんね。

もちろん大失敗したプロダクトアウト商品は無数にあります。それについてはあえて触れません。

私が言いたいことは、かつての日本企業はプロダクトアウトで市場を作り切り開いてきたという事実を思い出してほしいということです。

現代のようにモノが売れない時代だからこそ、ユーザーがわくわくするような商品やサービスを見てみたいものです。

経営者のみなさん、失敗覚悟でプロダクトアウトに賭けてみてはいかがでしょう。

それこそ経営者冥利に尽きる、わくわくすることだと思いませんか。

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