中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

責任の所在を明らかにしないと、誰も動かない

2018年02月21日 | コンサルティング

「誰か!119番してください!」、「誰か!AEDを持ってきて!」

これは人が倒れているのを発見した場合、周囲に応援を頼む際に多くの人が最初に発する言葉だそうです。

もし実際にこのような緊急事態に居合わせたとしたら、あなたなら一体どうするでしょうか?

一般的には、このような場合に居合わせた人は要請にすぐに反応して、119番に通報したり、AEDを持ってきてくれたりしてくれるだろうと考えるのではないでしょうか?

ところが、実際にはこのような期待通りの反応を得られないことが、ままあるのだそうです。現に周囲には大勢の人がいたのにもかかわらず、誰も対応してくれなかったという事態が本当に起きてしまったのだそうです。

一体なぜ、そんなことが起こってしまったのでしょうか。

それは、「誰か〇〇してください」というように「誰か」と声をかけられると、自分以外の誰かが動くだろうと考えてしまい、結果として「誰も」動こうとしなくなってしまうことが原因だったのです。

では、このような場面ではどのように声をかければよいのでしょうか。

こういう場合には、大勢の中で特定の「誰か」を決めて、その人の目をきちんと見て(アイコンタクト)「あなたは119番通報をしてください」、「あなたはAEDを持ってきてください」とそれぞれに声をかけるのです。そして、合わせて伝えた相手の「了解した」という返事を確認することが必要なのです。

そうすれば、声をかけられた人はきちんと自分の責任を果たそうとするとのことです。

実は以上の話は、このたび私が参加した「普通救命講習」で受講した内容です。

これと同じような意味で、職場の問題を解決しようとする際に、責任の所在があいまいなままで「ルール」ができてしまうことがよくあります。

つまり、「誰が(Who)」という責任の所在を明確にしないままルールにしてしまうわけです。そうなると、みんなが「自分以外の他の誰かがやってくれるだろう」と期待してしまい、その結果誰も動かないという、救命の際と同様のことが起きてしまうことがあるのです。

今回の講習を踏まえ、人は「自分以外の誰かがやってくれるだろう」と期待してしまうものなのだということを前提に、ビジネスの世界だからこそ「誰が」やるのかを明らかにして取り組まなければならないということを改めて感じました。

さて、今週末は「東京マラソン2018」が開催されます。講習の中で聞いたのですが、過去にレースの途中で体調不良となり、心肺蘇生が必要となってしまったランナーが10名位いたそうです。しかし、いずれのケースの場合も東京消防庁の対応が適切だったことにより、大事には至りませんでした。

今回のレースにおいても、万が一救急対応が迫られるようなケースが起きてしまったとしても、東京消防庁が迅速かつ適切に対応してくれることを期待しています。

そして同時に、もし自分が今後冒頭のような場面に出くわしたら、ちょっと怖いけれど「誰か」と力を合わせて対応しなければと強く思っています。

人材育成のホームページ