中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

マイルストーン

2014年05月28日 | コンサルティング

1996年5月、日本人の難波康子さんを含む登山家8名 (12名とする出典もある)が、エベレスト登頂後の下山途中に猛吹雪に遭い死亡するというエベレスト登山史上最悪の遭難事故が発生しました。

「空へ エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか」(文春文庫) の著者ジョン クラカワーは「ガイド登山隊」の実態をルポするため、この登山隊に雑誌のレポーターとして参加していて、この事故の当事者となりましたが奇跡的に生還を果たしています。

この本には遭難の状況が克明に記録されています。世界的ベストセラーになり、またその後映画化もされましたので、ご記憶の方もいらっしゃると思います。

この事故で、生死を分けた理由の一つとして挙げられているのが、「マイルストーン」です。

生還した10名の方々は、悪天候の中でくじけそうになった時にまず「あそこまで頑張ろう」と10メートル先を目指して前進したのだそうです。エベレストは標高8,848m、とてつもない高さです。下山途中とはいえ、相当の高さから一気に距離を下りることを無理に目指さず、まずは目の前の10メートルを着実に進むこととし、それを繰り返したことが生還につながったと言われています。

この話を思い出すきっかけとなったのが、一里塚です。これまで何度かこのブログでも書いていますが、私は1年ほど前から日本橋から京都の三条大橋に向け、旧東海道を歩いています。その道のりは、53次、126里で約500キロ、長い道のりです。

一回あたり約15キロを目標に、これまでに14回歩きました。この15キロが長いのか短いのかはわかりませんが、私にとっては長くハードに感じる時があります。そのような時に目標とするのが、一里塚です。

旧東海道の道中には、今も往時の一里塚が残っているところが多くあります。一里は約4キロですが、疲労で足取りが重くなった時にまず目標とするのは、次の一里塚です。 

何とか次の一里塚までは頑張ろう!と自分を励まし、ようやく目標の一里塚にたどり着くと、ホッと一息です。そしてまた次の一里塚をめざすのです。この繰り返しによって、最後は何とかその日の目標に辿りつくことができます。

話は変わりますが、仕事の目標管理においては半年なり一年なりの目標を立てます。しかし、半年や一年先を見据えた目標ではスパンが大きすぎ、正直なところなかなかやる気も起きないというところではないでしょうか。

そんな時には、目標までの長い道のりの途中にいくつかのマイルストーン、いわば一里塚を置いてみてはいかがでしょうか。先ずは一番近い目標=一里塚をクリアし、それを繰り返せば最後はゴールとしている目標にたどり着けるのです。

さて、先日ゴールである京都の三条大橋に立ちました。数年後のゴールを想像してみましたが、まだ300キロ以上の道のりがあるため具体的なイメージが湧きませんでした。そこで、次に歩く時の目標は藤枝宿ですが、先ずは一里塚(マイルス―トン)を目標にして、一歩一歩歩き続けたいと思っています。

(人材育成社)