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柏崎の水道とその歴史を支える「川内ダム」の魅力

2021年05月27日 | 土木構造物・土木遺産


柏崎市にお邪魔してきた。県内移動(分水嶺を越えない移動)を心掛けるも、情報収集のために少し遠出をしなければならない状況がある。柏崎だと、地元から高速を使えば二時間弱といったところ。
今回もダム!写真は「川内(こうち)ダム」。柏崎市の海水浴場で有名な鯨波海岸に流れ出る「前川」という川にある堤高25.5m、堤長128mの均一型フィルダム。実は柏崎市の水道水を賄うため昭和13年(1938年)に設置されたダムだ。

柏崎市にはそのほかに、前川の一本南の谷を流れる「谷根川」にも重力コンクリート式の「谷根(たんね)ダム」、「赤岩ダム」といった、同じ水道水確保を目的とした立派なダムを持っている。
大河がなく、市内を流れる川の流域面積が市域でそれほど奥深くないことから、夏場の渇水期も安定して水道水を供給できるように3つのダムを持っている。同規模の自治体で、極めて珍しいとのこと。
更に、谷根ダム、赤岩ダムの集水区域918ヘクタールは、すべて市有地。安定供給、安全確保、また自然環境に配慮した施策だ。まあ柏崎市、お金はありますからねー。



さて、話は「川内ダム」に戻して。ダム三兄弟の中で一番古く、一番小さいダム。貯水量も取水量も、二男の谷根ダム、三男の赤岩ダムからすると僅かなもの。でも歴史は古く、水道事業を開始するための労苦を一心に背負ったダムなのである。
ダム脇の道路を挟んだところにある小さな公園に胸像がある。ダム設置当時の西巻進四郎町長(当時は柏崎町)のものだ。水道事業に賛成派・反対派で町は二分したが、西巻町長は根気強く住民対話を繰り返して完成にたどり着いた。
西巻町長は、水道設備の完成後に体調を崩し町長を退任、翌年52歳で亡くなったという。正に命がけでインフラ整備に尽力した人がここにもいた。(写真上:ダム湖には取水口、ダムすぐ下流は浄水場になっている。写真下は、西巻町長の胸像と、その裏に捧げられた追悼文。)



もう一つ、個人的に気になるのが「洪水吐」の設備。これは、2014年の改良工事で右岸側に設置されたもの。
貯水量が一定量を超えると洪水吐に越水・放流して、安全を確保する設備の中に「穴」が見える。これって、所謂「ダム穴」って言えるのかなー?水が穴に落ちる光景を見れるのも、県内ではそう滅多にないはず!
とにかく歴史的にも、水道施設の設備としても、ダムの構造としても、とても興味深いものを持っている柏崎市の川内ダムなのです。
(以前、浅河原調整池(5月15日のブログ)を紹介した際に、県内に「お勧めのアースダム(フィルダム)がある」と書き込みましたが、それは今回ではありません。もちろん川内ダムは魅力的な部分が多いのですが、お勧めのダムはちょっと行きつくには時間が必要、なかなかたどり着けないところなんです。しばらくお待ちを!)






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