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県営20ダム(土木部管理)を完全踏破!最後は地元のダム群へ

2024年08月01日 | 土木構造物・土木遺産
この度、新潟県土木部が管理する20ダムすべて訪問、踏破することができた。このブログでも何回か紹介してきた県営ダム、2年前の上越地方の4つのダム、そしてその後訪問した魚沼の「広神ダム」から2年間のブランクがあったが、地元の3つのダムを訪問しコンプリートとなった。
広神ダム、このブログで紹介していなかったが、信濃川水系破間川の支川・和田川にある重力式コンクリートダム。堤高80.5メートル、堤頂長225メートルで、洪水調整、不特定利水(河川環境保全)、発電の目的を持つ多目的ダム。2011年(平成23年)完成の比較的若いダムである(写真下)。
広神ダムの建設時には、魚野川の河川工事で発生した河床材を利用して本体コンクリート骨材にした経緯がある。建設途中で平成16年の新潟福島豪雨や中越地震などの自然災害にも見舞われたが、この骨材の採取作業が計画的に実行されたことから、工程も大きく遅れることもなく無事完成した。



さて、広神ダム訪問の時点で、残るは新潟でも下越地方といわれる県北の3ダム。地元でもあることから、いつでも行けるということもあって後回しになっていたし、すでに何回か訪れたことのあるダムであるが、敬意をもって再度訪問。
先に紹介した「旧赤谷線」の終点・東赤谷からさらに奥にある「加治川治水ダム」、赤谷駅から少し脇に入ったところにある「内の倉ダム」を廃線探訪の際に、また地元の「胎内川ダム」は数日後、孫とのドライブがてらに大取に訪問。
地元であるからして時間的には一日で3か所の訪問は可能なのであるが、考えてみると先に紹介している県最北・村上市の三面(みおもて)ダム、奥三面ダムや、五泉市の早出川ダムを含め、下越地方の県営ダムは他の地域のダムよりもかなりアクセスが厳しい気がする。まあ急登の山道と道路の幅員の狭さなどは、ダム訪問には付きものなんですがね!



「加治川治水ダム」は、新発田市加治川の上流部にあり、飯豊登山の登山口にある(写真上)。有効貯水量1,800万の規模でありながら、その役目は治水のみ。全国的に見ても、治水専用のダムとしては最大規模のものだ(先に紹介した「最上小国川流水型ダム」は、有効貯水量210万立方メートル)。
堤高106.5メートル(県管理ダムでは、奥三面川ダムに次ぎ第2位)、堤頂長285.5メートル、重力式コンクリートダムで、1974年(昭和49年)に完成。内の倉ダムや胎内川ダムと同様、昭和41年に発生した下越水害を契機に、下越地方の守り神として建設が計画された。
治水専用ということもあって、普段は水を貯めない。いざという時のためのダムであり、普段は流入する水量をそのまま下流に流すようになっている。山奥にあって、武骨なフォルム、機能的にも地味な存在ではあるが、大きな役割を担っているダムだ。



同じく加治川(内の倉川)にある「内の倉ダム」は、加治川治水ダムより1年先輩で1973年(昭和48年)完成した。当初、農業用水が不足していた下流域のためかんがい用に農政局によりダムの建設が検討されてたが、先の水害により洪水調整などの機能を加えて多目的のダムとなった。(農林省施工、写真上:内の倉ダムの看板を複写)
堤高82.5メートル、堤頂長166メートル、国内でも珍しい「中空重力式コンクリートダム」で、岩盤が脆弱なことから負荷が少なく、コンクリート材の使用を減らす目的などから採用された方式。逆に、コンクリートの型枠工事が複雑であることから、国内では最後の中空重力式となっている。今後この方式のダムは建設されないだろうとのことである。
ダム堤体の内部に、6つの大きな空間(ホロー)が中空といわれる所以。このホローの残響音を利用してコンサートなどが開催される。幻想的で不思議な音の響きをシャワーのように浴びることができると評判だが、コロナ禍で中断、ここ何年間は収録にてダムの魅力発信をしているとのことだった。



最後20番目に登場するのは、地元の「胎内川ダム」。奥三面ダムと同様、県営(土木部)ダムの中でも厳しい道のりを経て、短いトンネルを抜けるとその大きな堤体を見せてくれる(写真上)。下越水害、羽越水害(1967年・昭和42年)の二年連続の災害により、1976年(昭和51年)に完成。
重力式のコンクリートダムで、堤高93メートル、堤頂長215メートルで、その容姿は加治川治水ダムに似ている。この上流には同じく県営の奥胎内ダム(2018年完成、県営ダムの中では最も新しい)がある。(こちらは、国立公園内にあって一般公開していない。が、建設時に何回か見学に訪れたことがある。写真上のダムカードも建設時のもので超レアなカードだ。)
洪水調整、正常な流水機能維持、上水道の機能に加え、ダム完成後に新潟県と地元・胎内市(旧黒川村)が共同で発電設備を設置。県は管理用の給電に、市は公共施設への給電をしている(現在は売電して、公共施設の維持管理に充てている)という変わり種の機能もある。

以上で新潟県営(土木部監理)ダム、コンプリート!そのほか、以前紹介した「鵜川ダム」が着工から20年の歳月を費やし建設中(2026年竣工予定)、上越・「儀明川ダム」が調査・設計中である。(各ダムの諸元・解説は、新潟県土木部資料を参考。)


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