那須連山の最高峰、三本槍岳。
山名から天をつんざく岩峰が並ぶような険しい山をイメージするが、名前の由来は藩政時代、会津、白河、黒羽の三藩が三本の槍を立て藩境を確認し合ったことによるそうだ。
今日は冬型の天気だ。南会津はみぞれ交じりの雨。山は寒そうだ。
林道は凍結、悪路で終点より歩いて15分手前に車を置いた。
林道終点ですでに標高は1,340mだ。
まずは大峠へ向かう。
この道はかつて会津と江戸を結ぶ会津中街道だった。
1683年ごろの日光大地震で会津西街道(現国道121号線)が一時使えなくなり、会津藩がこの会津中街道を開削したようだ。
一部に石畳が残り、往時が偲ばれる。
ここは日本海と太平洋の分水嶺。風の通り道でもあり、風が厳しい。
お地蔵様も寒そうだ。
ゴゴーと不気味な風の重低音。
向かう三本槍は白い轟音の中だ。
大峠から1時間半。標高1,860mの甲子方面と三本槍の分岐に着いた。
標識にはエビのしっぽがびっちり。
白黒の世界だ。
絶え間ない強風。登山道の窪みに身を隠し休む。
甲子分岐から25分、大峠から約2時間。標高1,917mの三本槍岳山頂に。
烈風の中、どうにかカメラをピッケルで固定。
山頂直前、山頂から人の声が聞こえ那須方面からの登山者かなぁと安堵して行ったら、誰も居ず、足跡も無し。
やべ…。
さっさと写真撮って下山!
白く固まった枝が覆いかぶさり、歩きにくいことこの上ない。
ここから左へ鏡ヶ沼へ下る。
鏡ヶ沼まではこれがまた急坂。軽アイゼンがなければ苦労しただろう。
急坂を下り切り、いよいよ伝説の鏡ヶ沼へ。
小さい頃、今は亡きおばあが話してくれた、美しい女に化けた大蛇伝説。それを打った鉄砲ぶちは猟犬の尻尾につかまりやっと逃げ帰った。しかしその後…。
ふもとの南倉沢集落と関係があるばあちゃんの、リアルな伝説。
この伝説、「まんが日本昔話」でも放映されました。
この平坦地を抜けると、ブナやダケカンバの沢状の急坂を下山。
約30分で再び鏡ヶ沼大峠分岐へ戻る。
会津側から登る初冬の三本槍岳。歴史と伝説の静かな山を楽しめました!