牙 ガ・ゲ・きば 牙部
上下の牙がくいちがってつくライオンの牙
解字 金文は、ケモノのきばの上下がまじわる形の象形で、きばの意をあらわす。篆文はその変形。現代字は牙になった。牙は4画だが、新字体の組み合わせ漢字(芽・邪・雅)では「芽」の下部のように5画になる。
意味 (1)きば(牙)。「象牙ゾウゲ」「犬牙ケンガ」(犬の牙) (2)(犬の牙が入れ違っていることから)くいちがい。いれちがい。「犬牙相制ケンガソウセイ」(両国の領土を犬牙のように入りこませて互いに牽制させる) (3)は・歯。「歯牙シガ」(歯と牙。また、歯)「歯牙にもかけない」(問題にしないで無視する)
参考 牙は部首「牙きば」になる。しかし、牙が部首となる漢字は、漢検1級字(約6300字)を収録する[漢検漢字辞典]では部首の牙のみで、他の字はない。実質的な1字部首である。
イメージ
「きば」(牙・芽・穿・谺)
牙が「ちぐはぐにかみあう」(邪・訝)
「形声字」(鴉・雅・冴)
音の変化 ガ:牙・芽・雅 カ:谺 ゲン:訝 ゴ:冴 ジャ:邪 セン:穿 ア:鴉
き ば
芽 ガ・め 艸部
解字 「艸(くさ)+牙(きば)」の会意形声。きばの形のように出てくる草や木の芽。
意味 (1)め(芽)。草木の芽。「発芽ハツガ」「麦芽バクガ」「摘芽テキガ」(脇芽を摘む) (2)きざし。めばえ。「萌芽ホウガ」
穿 セン・うがつ・ほじる・はく 穴部
解字 「穴(あな)+牙(きば)」の会意。牙のようなとがったもので穴をうがつこと。
意味 (1)うがつ(穿つ)。ほる。ほじる(穿る)。「穿孔センコウ」(孔をあける。また、その穴) (2)つらぬく。「貫穿カンセン」(つらぬきうがつ) (3)(腰から下の衣服を、つらぬくように) はく(穿く)。着る。「スカートを穿く」「スラックスを穿く」「袴はかまを穿く」
※ 履物をはく場合は「履く」を使う。「靴を履く」「スリッパを履く」「草鞋わらじを履く」
谺 カ・こだま 谷部
解字 「谷(たに)+牙(きば)」の会意形声。牙が食い込んだような深い谷。日本では深い谷に反響するこだまの意味でもちいる。
意味 (1)谷の深く空虚なさま。「谽谺カンカ」(谷の深く空虚なさま) (2)[国]こだま(谺)。やまびこ。深い谷で声を発したとき反響する音。
ちぐはぐにかみあう・くいちがう
邪 ジャ・よこしま おおざと部
解字 「阝(邑:むら・まち)+牙(くいちがう)」の会意形声。くいちがう(正道からはずれた)ことが行なわれている所。
意味 (1)よこしま(邪)。正しくない。「邪道ジャドウ」「邪悪ジャアク」 (2)人に害を及ぼすもの。「邪気ジャキ」「風邪フウジャ・かぜ」
訝 ガ・ゲン・いぶかる・いぶかしい 言部
解字 「言(ことば)+牙(くいちがう)」の会意形声。相手の言葉が食い違うので、いぶかること。なお、言葉で相手をむかえる意もある。
意味 (1)いぶかる(訝る)。うたがう。あやしむ。「怪訝ケゲン」(不思議で合点のゆかないさま) (2)むかえる。「訝賓ガヒン」(客をむかえねぎらう)
形声字
鴉 ア・からす 鳥部
解字 「鳥+牙(ア)」の形声。アは鳥の鳴き声で、アーアーと鳴くカラス。牙はガgaの音からgが脱落しアaとなった。
意味 (1)からす(鴉)。カラス科の鳥の総称。「寒鴉カンア」(冬のカラス)「乱鴉ランア」(乱れ飛ぶカラス) (2)くろ。黒い色のたとえ。「鴉片アヘン」(ケシの実からとれる麻薬。黒い色の麻薬の意。=阿片)
雅 ガ・ア・みやび 隹部
解字 「隹(とり)+牙(ガ・ア)」の形声。ガーガー・アーアーとなく隹(とり)でカラスの意。鴉アと同じ成り立ちの字。しかし、雅ガの発音で中国最古の詩集である「詩経」の三部門のひとつ「雅ガ」に仮借カシャ(当て字)された。詩経の「雅ガ」は朝廷での会合や宴会の時に用いる詩が中心であり、周王朝の開国伝説を述べた叙事詩が多く、その内容から転じて「正しい」意となったと思われる(私見)。さらに上品・由緒正しい意となり、日本では雅楽(正しい楽舞の意)が奈良・平安時代から、宮廷や寺院や神社において盛んに演奏された。その音楽から雅(みやび)やかの訓ができた。
意味 (1)みやび(雅)。みやびやか(雅やか)。おくゆかしい。「雅趣ガシュ」(みやびなおもむき)「優雅ユウガ」「雅俗ガゾク」(風雅と世俗) (2)正しい。正当な。「雅言ガゲン」(①正しい言葉。②みやびな言葉)「雅厚ガコウ」(心が正しく厚い) (3)つねに。もとより。「雅意ガイ」(常の志)「雅辞ガジ」(平素のことば) (4)古典語を解説した言葉集。「爾雅ジガ」(漢代以前の中国古代の字書。類義語や訓詁を集めたもの)「広雅コウガ」(漢代の学者の訓詁により「爾雅」を増補したもの)
冴 ゴ・コ・さえる 冫部
解字 「冫(こおる)+牙(ゴ)」の形声。冴ゴは同音の冱ゴ(こおる)の俗字。日本では、澄み切った氷のように、さえる意で使う。
意味 (1)こおる。冱ゴと同字。(2)[国]さえる(冴える)。光や音が澄む。頭のはたらきが鋭い。
<紫色は常用漢字>
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上下の牙がくいちがってつくライオンの牙
解字 金文は、ケモノのきばの上下がまじわる形の象形で、きばの意をあらわす。篆文はその変形。現代字は牙になった。牙は4画だが、新字体の組み合わせ漢字(芽・邪・雅)では「芽」の下部のように5画になる。
意味 (1)きば(牙)。「象牙ゾウゲ」「犬牙ケンガ」(犬の牙) (2)(犬の牙が入れ違っていることから)くいちがい。いれちがい。「犬牙相制ケンガソウセイ」(両国の領土を犬牙のように入りこませて互いに牽制させる) (3)は・歯。「歯牙シガ」(歯と牙。また、歯)「歯牙にもかけない」(問題にしないで無視する)
参考 牙は部首「牙きば」になる。しかし、牙が部首となる漢字は、漢検1級字(約6300字)を収録する[漢検漢字辞典]では部首の牙のみで、他の字はない。実質的な1字部首である。
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「きば」(牙・芽・穿・谺)
牙が「ちぐはぐにかみあう」(邪・訝)
「形声字」(鴉・雅・冴)
音の変化 ガ:牙・芽・雅 カ:谺 ゲン:訝 ゴ:冴 ジャ:邪 セン:穿 ア:鴉
き ば
芽 ガ・め 艸部
解字 「艸(くさ)+牙(きば)」の会意形声。きばの形のように出てくる草や木の芽。
意味 (1)め(芽)。草木の芽。「発芽ハツガ」「麦芽バクガ」「摘芽テキガ」(脇芽を摘む) (2)きざし。めばえ。「萌芽ホウガ」
穿 セン・うがつ・ほじる・はく 穴部
解字 「穴(あな)+牙(きば)」の会意。牙のようなとがったもので穴をうがつこと。
意味 (1)うがつ(穿つ)。ほる。ほじる(穿る)。「穿孔センコウ」(孔をあける。また、その穴) (2)つらぬく。「貫穿カンセン」(つらぬきうがつ) (3)(腰から下の衣服を、つらぬくように) はく(穿く)。着る。「スカートを穿く」「スラックスを穿く」「袴はかまを穿く」
※ 履物をはく場合は「履く」を使う。「靴を履く」「スリッパを履く」「草鞋わらじを履く」
谺 カ・こだま 谷部
解字 「谷(たに)+牙(きば)」の会意形声。牙が食い込んだような深い谷。日本では深い谷に反響するこだまの意味でもちいる。
意味 (1)谷の深く空虚なさま。「谽谺カンカ」(谷の深く空虚なさま) (2)[国]こだま(谺)。やまびこ。深い谷で声を発したとき反響する音。
ちぐはぐにかみあう・くいちがう
邪 ジャ・よこしま おおざと部
解字 「阝(邑:むら・まち)+牙(くいちがう)」の会意形声。くいちがう(正道からはずれた)ことが行なわれている所。
意味 (1)よこしま(邪)。正しくない。「邪道ジャドウ」「邪悪ジャアク」 (2)人に害を及ぼすもの。「邪気ジャキ」「風邪フウジャ・かぜ」
訝 ガ・ゲン・いぶかる・いぶかしい 言部
解字 「言(ことば)+牙(くいちがう)」の会意形声。相手の言葉が食い違うので、いぶかること。なお、言葉で相手をむかえる意もある。
意味 (1)いぶかる(訝る)。うたがう。あやしむ。「怪訝ケゲン」(不思議で合点のゆかないさま) (2)むかえる。「訝賓ガヒン」(客をむかえねぎらう)
形声字
鴉 ア・からす 鳥部
解字 「鳥+牙(ア)」の形声。アは鳥の鳴き声で、アーアーと鳴くカラス。牙はガgaの音からgが脱落しアaとなった。
意味 (1)からす(鴉)。カラス科の鳥の総称。「寒鴉カンア」(冬のカラス)「乱鴉ランア」(乱れ飛ぶカラス) (2)くろ。黒い色のたとえ。「鴉片アヘン」(ケシの実からとれる麻薬。黒い色の麻薬の意。=阿片)
雅 ガ・ア・みやび 隹部
解字 「隹(とり)+牙(ガ・ア)」の形声。ガーガー・アーアーとなく隹(とり)でカラスの意。鴉アと同じ成り立ちの字。しかし、雅ガの発音で中国最古の詩集である「詩経」の三部門のひとつ「雅ガ」に仮借カシャ(当て字)された。詩経の「雅ガ」は朝廷での会合や宴会の時に用いる詩が中心であり、周王朝の開国伝説を述べた叙事詩が多く、その内容から転じて「正しい」意となったと思われる(私見)。さらに上品・由緒正しい意となり、日本では雅楽(正しい楽舞の意)が奈良・平安時代から、宮廷や寺院や神社において盛んに演奏された。その音楽から雅(みやび)やかの訓ができた。
意味 (1)みやび(雅)。みやびやか(雅やか)。おくゆかしい。「雅趣ガシュ」(みやびなおもむき)「優雅ユウガ」「雅俗ガゾク」(風雅と世俗) (2)正しい。正当な。「雅言ガゲン」(①正しい言葉。②みやびな言葉)「雅厚ガコウ」(心が正しく厚い) (3)つねに。もとより。「雅意ガイ」(常の志)「雅辞ガジ」(平素のことば) (4)古典語を解説した言葉集。「爾雅ジガ」(漢代以前の中国古代の字書。類義語や訓詁を集めたもの)「広雅コウガ」(漢代の学者の訓詁により「爾雅」を増補したもの)
冴 ゴ・コ・さえる 冫部
解字 「冫(こおる)+牙(ゴ)」の形声。冴ゴは同音の冱ゴ(こおる)の俗字。日本では、澄み切った氷のように、さえる意で使う。
意味 (1)こおる。冱ゴと同字。(2)[国]さえる(冴える)。光や音が澄む。頭のはたらきが鋭い。
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