聶 ショウ・ジョウ <耳をよせあう>
聶 ショウ・ジョウ 耳部 niè・zhé
解字 篆文は「耳+耳+耳」の会意。多くの耳を寄せ合うこと。楷書は聶の形だが、新字体になるとき摂の右辺に簡略化される。
意味 (1)ささやく。(=囁)。 (2)姓。「聶政ジョウセイ」(戦国時代の韓の武人)
イメージ
「多くの耳を寄せる」(聶・囁・摂)
「形声文字」(鑷・懾)
音の変化 ショウ:聶・囁・懾 ジョウ:鑷 セツ:摂
多くの耳を寄せる
囁 ショウ・ジョウ・ささやく 口部 niè
解字 「口(くち)+聶(多くの耳を寄せる)」の会意形声。多くの耳を寄せて、口でささやくこと。
意味 (1)ささやく(囁く)。耳もとでそっと話す。「囁き千里」(小声で囁いたことが、瞬く間に千里も離れた所に伝わる)「囁(ささや)き言(ごと)」(私語)
摂 セツ・とる 扌部 shè・zhé
解字 旧字は攝で「扌(手で行なう)+聶(=囁き)」の会意形声。多くの人々のあいだで囁かれている民の声を聞き、その内容を取り入れて政務を執行すること。とりいれる・とる意、および、とりおこなう・統べる・つかさどる意味となる。また、本来統べる人が幼少のとき、経験のある者が代わりに行なう意となる。新字体は、攝⇒摂に変化する。
意味 (1)とる(摂る)。とりいれる。「摂取セッシュ」(取り入れて自分のものにする)「摂受セツジュ」(受け入れる) (2)(栄養を摂り入れることから)やしなう。「摂生セッセイ」(生をやしなう。養生する) (3)とりおこなう・統べる・つかさどる。「摂理セツリ」(①統べ治める。②自然界を支配している理法) (4)代わって執り行う。「摂政セッショウ」(天子や天皇に代わって政治を執ること)「摂関家セッカンケ」(摂政と関白に任ぜられる家柄)「摂行セッコウ」(他人に代わって事を処理する) (5)かねる。「摂兼セッケン」(摂も兼も、かねる意) (6)地名。「摂津セッツ」(大阪府北部および兵庫県の一部にまたがる地域の旧国名。現在は、その一部が大阪府摂津市となっている。由来は、難波津なにわづ(大阪港)を摂セツ(管掌する・統べる)する役所の摂津職セッツシキが置かれた国の意。難波津は難波宮(飛鳥・奈良時代の皇居・今の大阪城付近)のすぐ近くにあった。
中央左の難波宮(今の大阪城辺り)の海側(左)に難波津があった。南(下)に住吉大社と住吉津がある。 (日下雅義『地形からみた歴史』表紙カバーより)
形声字
鑷 ジョウ・けぬき・ぬく 金部 niè
解字 「金(金属)+聶(ジョウ)」の形声。ジョウは鑈ジョウ(毛抜き・ピンセット)に通じる。同じ発音の鑷ジョウも毛抜きの意に用いる。 清代の銅製鑷子・毛抜き(中国ネットから)
意味 (1)けぬき(鑷)。「鑷子ジョウシ」(毛抜き)(2)ぬく(鑷く)「鑷白ジョウハク」(白髪をぬく)
懾 ショウ・おそれる 忄部 shè
解字 「忄(こころ)+聶(ショウ)」の形声。忄(こころ)からおそれることを懾ショウという。後漢の[説文解字]は「気を失う也(な)り」とし、非常に懾(おそ)れることをいう。
意味 おそれる(懾れる)。「懾畏ショウイ」(懾も畏も、おそれる意)「懾竄ショウザン」(おそれてかくれる)「懾伏ショウフク」(おそれてひれふす)「震懾シンショウ」(ふるえおそれる)
<紫色は常用漢字>
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