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漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「申シン」<イナズマ>と「伸シン」「神シン」 「紳シン」「呻シン」「電デン」「坤コン」「榊さかき」

2025年03月16日 | 漢字の音符

 <イナズマが屈折して走るかたち>                    シン・もうす・さる  田部 shēn


解字 甲骨文は電光(イナズマ)の象形。イナズマが屈折して走る形で、のびる意味を表わす。金文は丸みをおびた形になった。イナズマは神が鳴ると考えられており、神の原字であり、また電の原字でもある。篆文は上からの両手の間に線を引いた形に変化し、それが現代字・申のもとになっている。なお、もうす・のべる意と、十二支の「さる」の意は仮借カシャ(当て字)である。
意味 (1)のびる。のばす。くつろぐ。(2)もうす(申す)。のべる。つげる。「申告シンコク」(申し告げる)「答申トウシン」(答えて申し上げる)「内申ナイシン
」(3)十二支の九番目。さる(申)

十二支と方位(「暮らし歳時記」より)                九番目が申(さる)。南西が坤コン(ひつじさる)

                                             
イメージ 
 イナズマの象形から「イナズマ」(申・神・榊・電・坤)
 イナズマが雷雲から下へ「のびる」(伸・紳・呻)

音の変化  シン:申・神・伸・紳・呻  デン:電  コン:坤  さかき:榊

イナズマ
 シン・ジン・かみ・かん・こう  ネ部 shén・shēn
解字 旧字は神で 「示(祭壇)+申(イナズマ)」 の会意形声。イナズマを信仰の対象として祭ること。古代の人はイナズマを神の現れと見た。新字体は、示⇒ネに変化した神。
意味 (1)かみ(神)。「神社ジンジャ」「神宮ジングウ」「神主かんぬし」(2)不思議なちから。「神秘シンピ」(3)こころ。たましい。「精神セイシン」「神経シンケイ
 <国字> さかき  木部 shén
解字 「木(き)+神(かみ)」 の会意。神事にもちいる木。     
 神棚の榊(「日本榊本舗」より)                                           意味 (1)さかき(榊)。①神事に用いる常緑樹の総称。②ツバキ科の常緑小高木。葉は深い緑色で光沢がある。①②とも古来から、神木として枝葉を神に供える。「真榊まさかき」(榊の美称。神事の場で祭壇の左右に立てる先端に榊を立てた祭具)(2)姓のひとつ。「榊原さかきばら」「榊莫山さかきばくざん」(書道家)
 デン・いなずま  雨部 diàn 
解字 「雨(あめ)+申(イナズマ)」 の会意。雨の中をイナズマが走ること。申(イナズマ)に雨を加えて本来の意味を表した。申は下部に付いて电に変形し、さらに上部の突き出たところがとれた。
いなずま(電)(「ウィキペディア・電気」より                                           意味 (1)いなずま(電)。「電光石火デンコウセッカ」(イナズマや火打ち石の火のきらめきのように短い時間)「電撃デンゲキ」(イナズマのようなすばやい攻撃)(2)でんき。「発電ハツデン」「電車デンシャ」「電圧デンアツ」「電話デンワ
 コン・ひつじさる 土部 kūn                             
  解字 「土(つち)+申(イナズマ)」 の会意。イナズマが土に届くこと。イナズマ(神)が届いた大地の意。易の八卦のひとつとして用いられる。なお、ひつじさるの意は「十二支と方位」から組み合せた方角をいう。
意味 (1)つち。大地。「坤元コンゲン」(大地)「坤輿コンヨ」(坤は大地、輿は乗り物で、万物をのせる乗り物である大地の意)。(2)易の八卦のひとつ。地・母・下などを表す。対義語は乾ケン(天)。「乾坤ケンコン」(天地)「坤徳コントク」(大地の徳、すなわち大地が万物を育てる力。転じて女性の徳)(3)ひつじさる(坤)。(=未申)。南西の方角。申シンの「十二支と方位」を参照。

 易経八卦(「知恵の森」より)                                                 
のびる
 シン・のびる・のばす・のべる  イ部 shēn
解字 「イ(人)+申(のびる)」 の会意形声。人がのびのびとすること。人にかぎらず、のびる・のばす意に用いられる。
意味 (1)のびる(伸びる)。のばす(伸ばす)。「伸長シンチョウ」(長さや力がのびる)「伸縮シンシュク」「伸展シンテン」(伸びひろがる) (2)申し述べる。「追伸ツイシン
 シン・おおおび  糸部 shēn
解字 「糸(帯)+申(のばす)」の会意形声。後漢の[説文解字]は、「大帯なり」としており、糸は帯を表している。ここに申(のばす)が付き、腰に巻いた大帯の端を垂らす作法のこと。高官や文人の礼装に用いる帯をいう。[字統]は「大帯の余りを三尺垂れた。論語の「衛霊公 第十五」に、孔子の話を聞いた子張は『子張、諸(こ)れを紳に書す』とあり、大帯の垂れた余りの部分に、孔子の語を急いで書きとどめたことをいう」と解説している。意味は、大帯から転じて、高位高官の人の意となった。
意味 (1)おおおび。ふとおび。高官の礼装に用いられた帯。「紳帯シンタイ」(大帯。文官の儀礼服)(2)高位高官の人。「紳士シンシ」(①上級官吏。②気品と教養があり礼儀正しい人)「紳士協定シンシキョウテイ」(正式の協定でなく相手を信頼して結ぶ取り決め)「貴紳キシン」(身分の高い人)
 シン・うめく  口部 shēn
解字 「口(くち)+申(のばす)」 の会意形声。口から出る声をのばすこと。例:ウー、ウーン。
意味 うめく(呻く)。うなる(呻る)。「呻吟シンギン」(うめく。苦しみうなる)「嚬呻ヒンシン」(嚬ヒンは顔をしかめる、呻はうめく、顔をしかめてうめくこと)                   

<紫色は常用漢字>

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