斯 シ・これ・この 斤部
解字 「其キ+斤キン(おの)」の会意。其キは箕(み)を台のうえにのせた形で「四角い」イメージがある。説文解字は「析(さ)くなり」として析セキ(木を斤で割く・割る)の意味があるとする。しかし、「其+斤」から析セキの意味を引き出すのはむずかしい。私は、其キは棋キ(四角い木の盤・本来の意味は将棋盤)と解釈し、この木盤の上に物をおき斤(おの)で切ったり割いたりする意ととらえたい。また、発音のシは此シ・之シなどに通じ、「これ・この」の意味で用いられる。
意味 (1)さく(斯く)。きる(斯る)。きりはなす。「墓門に棘いばら有り、斧を以て之を斯(さ)く」(詩経・墓門) (2)これ(斯)。この(斯の)。「斯界シカイ」(この社会。この方面)「斯学シガク」(この分野の学問)「斯業シギョウ」(この事業・業務)「斯道シドウ」(この道)(3)外国語の音訳字。「瓦斯ガス」(gasの音訳。現代中国で斯はスと発音する)「大阪瓦斯」(大坂ガスの登記上の商号)
イメージ
「さく・きる」(斯・廝・撕・嘶)
音の変化 シ:斯・廝・撕 セイ:嘶
さく・きる
廝[厮] シ・こもの 广部
解字 「广(たてもの)+斯(さく・きる)」の会意形声。建物の中で切ったり割いたり料理や炊事の仕事をする召し使いをいう。厮は異体字。
意味 (1)こもの(廝)。めしつかい。しもべ。雑用。「廝役シエキ」(①こまごまとした雑役。②雑用をする召し使い)「廝徒シト」(召し使い)「廝養シヨウ」(馬の餌をつくり世話をする召し使い) (2)たがいに(=相)。~しあう。「廝打シダ」(なぐりあう)
撕 シ・セイ・さく 扌部
解字 「扌(て)+斯(さく)」の会意形声。手でさくこと。
意味 (1)さく(撕く)。ばらばらに引きさく。「撕破シハ」(破ってさく) (2)いましめる。教えみちびく。「提撕テイセイ」(①ひっさげる。②特に禅宗で師が弟子を奮起させ導くこと)
嘶 セイ・サイ・いななく 口部
解字 「口(声をだす)+斯(さく)」の会意形声。引き裂くような連続した、やかましい声を出すこと。
意味 (1)いななく(嘶く)。いばゆ・こころく<名義抄>。馬が声高く鳴くこと。「嘶馬セイバ」(馬がいななく)「嘶噪セイソウ」(いななき騒ぐ) (2)虫や鳥が鳴く。「蟬嘶センセイ」(セミの鳴き声)「雁嘶ガンセイ」(カリの鳴き声) (3)声がかすれる。「嘶啞セイア」(かすれ声) (4)むせぶ。
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