漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「半ハン」<ふたつに分ける>と「判ハン」「畔ハン」「伴ハン」

2020年07月28日 | 漢字の音符
 ハン・なかば  十部         

解字 金文・篆文は「牛(うし)+八(二つに分ける)」の会意。牛を二つに分ける意。角つののある部分(頭部)を体から切り分けることを解カイで代表させる頭をで切りはなす)といい、この後、背割りといって牛の背骨を二つに分けて半分にする。これが半の字の成り立ちである。旧字は牛の部分が二本線にタテ棒になり、現代字はさらに八⇒ソになった半になった。意味は、二つに分ける・半ば・なかほど、となる。検索のための部首は十。
意味 (1)二つに分ける。「半分ハンブン」「折半セッパン」 (2)なかば(半ば)。なかほど。「半途ハント」「夜半ヤハン」 (3)ちいさい。「半鐘ハンショウ」 (4)[国]さいころの目の奇数。「丁半チョウハン」(双六のサイの目の偶数と奇数)

イメージ  
 「二つに分ける」
(半・判・・胖・畔・拌・袢)
 「分かれたもの」(絆・伴)
音の変化  ハン:半・判・胖・伴・畔・絆・拌・袢  かけす:

二つに分ける
 ハン・バン・わける・わかる 刂部りっとう
 肉質を判断する「格付け」
解字 「刂(刀)+半(ふたつに分ける)」の会意形声。牛の頭を切り(=解)、背割りして半分に分けた牛(=半)は、吊るされて肋骨のあいだに刂(刀)を入れ隙間をつくる。その断面をのぞき込んで、この肉の脂ののりや肉質を見分けること。魚市場でマグロの尾を切り、脂ののりや身の質を判断するのと同じ。わける・わかる・見分ける・区別する意となる。
意味 (1)わける(判ける)。見分ける。区別する。「判別ハンベツ」「判断ハンダン」 (2)可否をきめる。「裁判サイバン」「判定ハンテイ」 (3)はっきりしている。わかる(判る)。「判然ハンゼン」「判明ハンメイ」 (4)[国]はん。いん。「判子ハンコ」「印判インバン」 (5)金貨。「大判オオバン」「小判コバン
<国字> かけす  鳥部
解字 「鳥(とり)+判(わかる。区別する)」の会意。他の動物や鳥の鳴き声や物音を聞き分けて真似をするのがうまい鳥。
意味 かけす(鵥)。カラス科カケス属の鳥。ハトよりやや小さい。日本では北海道から九州までの低山にすむ。他の動物や鳥の鳴き声や物音を真似するのがうまい。カシの実を好んで食べたり貯蔵するのでカシドリ(橿鳥)ともいう。また、懸巣カケスとも書き、この鳥の名の由来ともなっているが理由は明らかでない。低い木に巣をつくることが多く、人が巣懸けを良く見かけるので付いた名と思われる。
 ハン 月部にく
解字 「月(にく)+半の旧字(二つに分ける)」の会意形声。半は、牛を角のある部分(頭部)を切り分けてから、背割りして二つに分ける意。そこに月(にく)がついた胖は、牛の脚を含む胴部を分けた片身の肉をいう。牛の片身肉は肥えてゆたかな部分であるから、ゆたかの意となる。現代中国では人が肥る意で使う。
意味 (1)かたみ(片身)。祭礼に用いた、いけにえの半身の肉。(2)ゆたか。「心広ければ体胖(ゆた)かなり」[大学](2)ふとる(肥る)。肥える。「肥胖ヒハン」(肥満。肥も胖も、ふとる意)
 ハン・ほとり・あぜ  田部
解字 「田(耕作地)+半(二つに分かれる)」の会意形声。田を二つに分ける境界。境界の意から、水と陸とのさかいめの意味も生まれた。
意味 (1)さかい。耕地のさかい。あぜ(畔)。「畔道あぜみち」 (2)水ぎわ。ほとり(畔)。「湖畔コハン」「池畔チハン
 ハン  扌部
解字 「扌(て)+半の旧字(半分にする)」の会意形声。手で物を半分に割ること。たたき割るが本来の意。のち、かきまわす意となった。
意味 (1)わる。さく。「拌蚌ハンボウ」(貝を割る)(2)かきまわす。かきまぜる。「攪拌カクハン」(かきまわす。かきまぜる)「攪拌機カクハンキ
 ハン・バン  糸部
解字 「衣(ころも)+半の旧字(半分)」の会意形声。半身の短い衣。
意味 (1)上半身に着る白地のはだぎ。あせとり。「襦袢ジュバン・ジバン」(ポルトガル語のgibao[ジバン・肌につける短衣]の当て字。日本で和服の下に着る肌着をいう) (2)なつふく。「袢暑ハンショ」(なつふくを着る汗ばむ暑さ)「袢溽ハンジョク」(なつふくを着る汗ばむ蒸し暑さ)

分かれたもの
 ハン・バン・ともなう  イ部
解字 「イ(人)+半(二つに分かれているもの)」の会意形声。二人のうちの一方、つまり相棒の人をいう。
意味 (1)とも(伴)。「伴侶ハンリョ」 (2)ともなう(伴なう)。「伴奏バンソウ」「同伴ドウハン」「伴食バンショク」(主客のともをしてご馳走になること)
 ハン・バン・きずな  糸部
解字 「糸(ひも)+半の旧字(分かれているもの)」の会意形声。分かれているものを紐でつなぐこと。
意味 (1)きずな(絆)。人間同士の結びつき。「親子の絆」 (2)ほだし。ほだす(絆す)。牛馬などの足をつなぎとめる縄。 (3)ほだされる(絆される)。①束縛される。②人情にひかれて心などが束縛される。「情に絆される」 (4)物をつなぎとめるもの。「脚絆キャハン」(歩きやすくするため脛すねに巻く布。=脚半)「絆創膏バンソウコウ」(傷口にあて皮膚とガーゼをつなぎとめる粘着テープ。膏コウ(=膏薬あぶらぐすり)がついているので本来は布片に塗って体の患部に貼る膏薬)
<紫色は常用漢字>

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