漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「名メイ」 <なまえ> と 「銘メイ」「茗メイ」「酩メイ」

2024年07月22日 | 漢字の音符
 メイ・ミョウ・な  口部 míng


  上は名、下は月
解字 甲骨文字は「月+口」からなり、月は月のでる夜間、口は祭器の口サイ(器物)であり、夜間に行われる祭祀(神や祖先の祭り)とみるべきであろう[甲骨文字辞典]とする。金文は名をしるす形の銘メイの意味で使われるようになり、篆文で[説文解字]が「夕(暗い夜)+口(くち)」の会意とし、暗い夜に相手が見えないので自分から口で名乗る意とした。これらの解釈をへて現在は、名前・名のる・名ずける・名だかい意などで用いられる。
 月には中に点のある形とない形があり両方が使われたが、篆文から点のある形だけになって最終的に月の形になった。点のない形は夕の字になった。
意味 (1)な(名)。なまえ。呼び名。名乗る。「名称メイショウ」「姓名セイメイ」「名字ミョウジ」(2)なづける。「命名メイメイ」(3)なだかい。「名声メイセイ」(4)人数を数える語。「両名リョウメイ

イメージ 
 「なまえ」
(名・銘・茗)  
 「形声字」(酩)
音の変化  メイ:名・銘・茗・酩

なまえ
 メイ・しるす  金部 míng
解字 「金(金属)+名(なまえ)」の会意形声。金属器にしるされた名前。また、金属器に名前をしるすこと。鼎(かなえ)など金属器にしるされた名前は、消えることがない。そこで、深くきざまれる・一流の、等の意味ともなる。

刀に刻まれた銘(「刀剣ワールド」より)
意味 (1)しるす(銘す)。きざむ。金属や石碑などに名をきざむ。「銘文メイブン」「刻銘コクメイ」(2)製作者の名前。「刀銘トウメイ」「無銘ムメイ」(3)深く心にきざむ。「銘記メイキ」「感銘カンメイ」(4)上等な。一流の。「銘菓メイカ」「銘柄米メイがらマイ
 メイ・ミョウ  艸部 míng
解字 「艸(くさ)+名(なまえ)」の会意形成。(味がおいしいと)名前の知られている植物の意で、茶の木の若葉をいう。茶の字は、陸羽が『茶経』(760年頃成立)の中で使ってから一般的になったが、それまでは、荼(苦い草)や、茗メイなどが使われていた。茗は、茶の字が定着してからも、茶を表す字として使われる。
意味 (1)ちゃ(茗)。茶の木。茶の木のやわらかい若葉。「茗宴メイエン」(茶会。茶の湯の会)「茗器メイキ」(茶の湯の道具)「茗園メイエン」(茶ばたけ) (2)[国]「茗荷ミョウガ」とは、ショウガ科の宿根草。暖地の山林に野生化、また、栽培もする。夏、根本から花穂を出す。花穂と若芽は食用とする。

形声字
 メイ・よう  酉部 mǐng
解字 「酉(さけ)+名(メイ)」の形声。メイは冥メイ(奥深い)に通じ[字通による]、酒に深く酔うこと。「酩酊メイテイ」という語に使われる。酩酊は中国語発音で、mǐng/dǐngであり、両字の語尾(韻母)が ingでそろっている。これを畳韻ジョウイン(同じ韻をかさねる)の語という。畳韻の語は、聞いて心地よい響きがある。さらにこの語は、部首が酉でそろっており大変珍しい(こういう語を連綿語というらしい)。部首がそろうと、目で見ても心地よい語となる。おそらく、酒にひどく酔った状態を表す語として詩人が作り出したのであろう。酩酊は、この組み合わせでしか使われない漢字であるから、酩と酊は、それぞれ半人前の字であり、二つそろって一人前となる。いわば相互依存症になっている漢字といえる。
意味 よう(酩う)。酒にひどく酔う。「酩酊メイテイ」(ひどく酒に酔う)「大酔酩酊ダイスイメイテイ」(ひどく酔って、ぐてんぐてんになる)
<紫色は常用漢字>

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