増補・改訂しました。
十 ジュウ・ジッ・とお・と 十部
解字 数字の十をあらわす指示文字。漢字は十進法を採用しており、甲骨文では一から四まで横線をかさねた形で表し、五~九までは上記のような形で表した。十は桁がかわる数字であり、一をタテにして十および十の位を表した。金文はタテ線に肥点を加えた形。篆文から十字形になった。
意味 (1)とお(十)。数の名。「十指ジッシ」「十階ジッカイ」 (2)満ち足りているさま。「十分ジュウブン」「十全ジュウゼン」 (3)数の多いこと。「十把一絡(じっぱひとから)げ」
イメージ
「とお」(十・什・廿・卅・計・汁)
意味(2)の「満ち足りる」(汁)
「十字形」(辻)
「形声字」(叶)
「その他」(針)
音の変化 ジュウ:十・什・廿・汁 シン:針 キョウ:叶 ケイ:計 ソウ:卅 つじ:辻
とお
什 ジュウ イ部
解字 「イ(人)+十(とお)」の会意形声。十人のひと。また、十人一組の単位をいう。
意味 (1)とお(什)。数の十。 (2)十で一組のもの。「什伍連坐ジュウゴレンザ」(十家または五家の組の中から罪を犯せば、組の全戸が処罰される制度。連帯責任を負わせた) (3)さまざまな物。「什器ジュウキ」(日常生活の家具・道具類)「什宝ジュウホウ」(秘蔵する器物)
廿 ジュウ・にじゅう 十部
解字 「十(とお)+十(とお)」 の会意形声。十を二つ下部でつないだ形。二十を表わす。
意味 にじゅう(二十)。はたち。「廿日はつか」
卅[丗] ソウ 十部
解字 「十(とお)+十(とお)+十(とお)」の会意。十を三つ合わせた形。三十を表す。丗は俗字。
意味 卅(さんじゅう)。三十。
計 ケイ・はかる・はからう 言部
解字 「言(いう)+十(とお)」 の会意。一から十までの数字を言いながら、ものを数えること。
意味 (1)かぞえる。量をはかる。「計算ケイサン」「集計シュウケイ」 (2)はかる(計る)。くわだてる。「計画ケイカク」「計略ケイリャク」 (3)数量を計る器具。「時計トケイ」
満ち足りる
汁 ジュウ・しる 氵部
解字 「氵(水)+十(満ち足りる)」 の会意形声。満ち足りている物の中から出てくる水分で、物体からしみ出る液や、しぼりとった液体をいう。
意味 (1)しる(汁)。物体からしみ出る液。しぼりとった液。「胆汁タンジュウ」(胆臓から分泌される液)「果汁カジュウ」(果物をしぼった汁。ジュース)「肉汁ニクジュウ」(①肉を煮だしたスープ。②肉を焼くときにじみ出る汁) (2)[国]つゆ(汁)。吸い物。
十字形
辻<国字> つじ 辶部
解字 「辶(ゆく)+十(十字形)」の会意。十字形の道。
意味 つじ(辻)。十字路。交差点。また、道端もいう。「辻占つじうら」(辻に立って占いをした人)「辻説法つじせっぽう」(道端で通行人に説教すること)「辻斬つじぎり」(夜、街頭で武士が通行人を刀で斬ること)
形声字
叶 キョウ・かなう 口部
解字 「口(くち)+十(キョウ)」の形声。キョウは協キョウ(あわせる)に通じ、口をあわせて相談し、うまくまとめること。日本では、思い通りになる意もある。
意味 (1)かなう(叶う)。=協。調和する。うまく合う。「条件に叶う」(2)[国]かなう(叶う)。①思いどおりになる。「願いが叶う」②匹敵する。「彼には叶わない」
その他
針 シン・はり 金部
解字 「鍼シン・はりの俗字。鍼シンの咸⇒十に置きかえた字。[説文解字]は鍼シンを「縫う所以(ゆえん)也。金に从(したが)い咸シンの聲(声)とする。そして「今、俗に針に作る」とし、針という俗字ができていることを述べている。[説文解字]は、縫い鍼(はり)の意としているが、鍼(はり)には砭鍼ヘンシンと呼ばれた治療用の石針があった。そして、以後は俗字としてできた針が縫い針の意味に定着し、鍼(はり)は治療用の石針から進化した金属製の治療針の意味に用いられるようになった。
意味 (1)はり(針)。縫い針。「運針ウンシン」(裁縫での針の使い方) (2)針のように先が細い。「針葉樹シンヨウジュ」「針小棒大シンショウボウダイ」(3)羅針盤のはり。方向。「針路シンロ」(船や飛行機が進む方向)「指針シシン」(4)時計のはり。「短針タンシン」「秒針ビョウシン」(5)治療用の針。「石針いしばり」(鍼術で用いる石で作った針。砭石ヘンセキ)
数字の10
籵<国字> デカメートル 米部
解字 「米(メートル)+十(10)」の会意。米は長さの単位であるメートル(m)を表し、10メートルの意。
意味 什(デカメートル)。長さの単位。1メートルの10倍。「五什ゴデカメートル」(50メートル=50m)
瓧<国字> デカグラム 瓦部
解字 「瓦(かわら)+十(10)」の会意。重さの単位。1グラムの10倍。瓦は一枚一枚の重さが同じであることから、重さの単位に当てた。「五瓧ゴデカグラム」(5グラム=5g)
竍<国字> デカリットル 立部
解字 「立(リットル)+十(10)」の会意。容量の単位。1リットルの10倍。立は立体のイメージから容量の単位に当てた。「五竍ゴデカリットル」(50リットル=50ℓ)
<紫色は常用漢字>
参考 部首「十じゅう」。十は、数の十や、多い・集まる意で部首となる。常用漢字で12字ある。
おおい・あつまる意
十ジュウ・とお (部首)
協キョウ・かなう(十+音符「劦キョウ」)
博ハク・ひろい(十+音符「尃フ⇒ハク)」
字体に十が含まれるため便宜的に十部に属しているもの
千セン・ち(会意)
午ゴ・うま・ひる(象形)
升ショウ・ます(象形)
半ハン・なかば(会意)
卒ソツ・おわる(象形)
卓タク・つくえ・すぐれる(象形)
単タン・ひとつ・ひとえ(象形)
南ナン・みなみ(象形)
卑ヒ・いやしい(会意)
※なお、千 午 升 半 卒 卓 単 南 卑 は、すべて音符となる。
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※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
十 ジュウ・ジッ・とお・と 十部
解字 数字の十をあらわす指示文字。漢字は十進法を採用しており、甲骨文では一から四まで横線をかさねた形で表し、五~九までは上記のような形で表した。十は桁がかわる数字であり、一をタテにして十および十の位を表した。金文はタテ線に肥点を加えた形。篆文から十字形になった。
意味 (1)とお(十)。数の名。「十指ジッシ」「十階ジッカイ」 (2)満ち足りているさま。「十分ジュウブン」「十全ジュウゼン」 (3)数の多いこと。「十把一絡(じっぱひとから)げ」
イメージ
「とお」(十・什・廿・卅・計・汁)
意味(2)の「満ち足りる」(汁)
「十字形」(辻)
「形声字」(叶)
「その他」(針)
音の変化 ジュウ:十・什・廿・汁 シン:針 キョウ:叶 ケイ:計 ソウ:卅 つじ:辻
とお
什 ジュウ イ部
解字 「イ(人)+十(とお)」の会意形声。十人のひと。また、十人一組の単位をいう。
意味 (1)とお(什)。数の十。 (2)十で一組のもの。「什伍連坐ジュウゴレンザ」(十家または五家の組の中から罪を犯せば、組の全戸が処罰される制度。連帯責任を負わせた) (3)さまざまな物。「什器ジュウキ」(日常生活の家具・道具類)「什宝ジュウホウ」(秘蔵する器物)
廿 ジュウ・にじゅう 十部
解字 「十(とお)+十(とお)」 の会意形声。十を二つ下部でつないだ形。二十を表わす。
意味 にじゅう(二十)。はたち。「廿日はつか」
卅[丗] ソウ 十部
解字 「十(とお)+十(とお)+十(とお)」の会意。十を三つ合わせた形。三十を表す。丗は俗字。
意味 卅(さんじゅう)。三十。
計 ケイ・はかる・はからう 言部
解字 「言(いう)+十(とお)」 の会意。一から十までの数字を言いながら、ものを数えること。
意味 (1)かぞえる。量をはかる。「計算ケイサン」「集計シュウケイ」 (2)はかる(計る)。くわだてる。「計画ケイカク」「計略ケイリャク」 (3)数量を計る器具。「時計トケイ」
満ち足りる
汁 ジュウ・しる 氵部
解字 「氵(水)+十(満ち足りる)」 の会意形声。満ち足りている物の中から出てくる水分で、物体からしみ出る液や、しぼりとった液体をいう。
意味 (1)しる(汁)。物体からしみ出る液。しぼりとった液。「胆汁タンジュウ」(胆臓から分泌される液)「果汁カジュウ」(果物をしぼった汁。ジュース)「肉汁ニクジュウ」(①肉を煮だしたスープ。②肉を焼くときにじみ出る汁) (2)[国]つゆ(汁)。吸い物。
十字形
辻<国字> つじ 辶部
解字 「辶(ゆく)+十(十字形)」の会意。十字形の道。
意味 つじ(辻)。十字路。交差点。また、道端もいう。「辻占つじうら」(辻に立って占いをした人)「辻説法つじせっぽう」(道端で通行人に説教すること)「辻斬つじぎり」(夜、街頭で武士が通行人を刀で斬ること)
形声字
叶 キョウ・かなう 口部
解字 「口(くち)+十(キョウ)」の形声。キョウは協キョウ(あわせる)に通じ、口をあわせて相談し、うまくまとめること。日本では、思い通りになる意もある。
意味 (1)かなう(叶う)。=協。調和する。うまく合う。「条件に叶う」(2)[国]かなう(叶う)。①思いどおりになる。「願いが叶う」②匹敵する。「彼には叶わない」
その他
針 シン・はり 金部
解字 「鍼シン・はりの俗字。鍼シンの咸⇒十に置きかえた字。[説文解字]は鍼シンを「縫う所以(ゆえん)也。金に从(したが)い咸シンの聲(声)とする。そして「今、俗に針に作る」とし、針という俗字ができていることを述べている。[説文解字]は、縫い鍼(はり)の意としているが、鍼(はり)には砭鍼ヘンシンと呼ばれた治療用の石針があった。そして、以後は俗字としてできた針が縫い針の意味に定着し、鍼(はり)は治療用の石針から進化した金属製の治療針の意味に用いられるようになった。
意味 (1)はり(針)。縫い針。「運針ウンシン」(裁縫での針の使い方) (2)針のように先が細い。「針葉樹シンヨウジュ」「針小棒大シンショウボウダイ」(3)羅針盤のはり。方向。「針路シンロ」(船や飛行機が進む方向)「指針シシン」(4)時計のはり。「短針タンシン」「秒針ビョウシン」(5)治療用の針。「石針いしばり」(鍼術で用いる石で作った針。砭石ヘンセキ)
数字の10
籵<国字> デカメートル 米部
解字 「米(メートル)+十(10)」の会意。米は長さの単位であるメートル(m)を表し、10メートルの意。
意味 什(デカメートル)。長さの単位。1メートルの10倍。「五什ゴデカメートル」(50メートル=50m)
瓧<国字> デカグラム 瓦部
解字 「瓦(かわら)+十(10)」の会意。重さの単位。1グラムの10倍。瓦は一枚一枚の重さが同じであることから、重さの単位に当てた。「五瓧ゴデカグラム」(5グラム=5g)
竍<国字> デカリットル 立部
解字 「立(リットル)+十(10)」の会意。容量の単位。1リットルの10倍。立は立体のイメージから容量の単位に当てた。「五竍ゴデカリットル」(50リットル=50ℓ)
<紫色は常用漢字>
参考 部首「十じゅう」。十は、数の十や、多い・集まる意で部首となる。常用漢字で12字ある。
おおい・あつまる意
十ジュウ・とお (部首)
協キョウ・かなう(十+音符「劦キョウ」)
博ハク・ひろい(十+音符「尃フ⇒ハク)」
字体に十が含まれるため便宜的に十部に属しているもの
千セン・ち(会意)
午ゴ・うま・ひる(象形)
升ショウ・ます(象形)
半ハン・なかば(会意)
卒ソツ・おわる(象形)
卓タク・つくえ・すぐれる(象形)
単タン・ひとつ・ひとえ(象形)
南ナン・みなみ(象形)
卑ヒ・いやしい(会意)
※なお、千 午 升 半 卒 卓 単 南 卑 は、すべて音符となる。
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※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。