嬖ヘイを追加しました。
辟 ヘキ・ヒ 辛部
解字 甲骨文は、「坐った人である卩セツ+辛の一種(刃物)」の会意で、人の身体を刃物で切断する形。肉刑を受けた者を表す[甲骨文字辞典]。(なお、甲骨文字辞典は足首を切断する肉刑とするが、私は字統を参考に金文で尻の肉を切り取る形としている)。金文は卩セツの横に口(肉片)をつけ、人の後ろから刀物で尻の肉を切り取る刑罰を表す。現代字は卩セツ⇒尸に変化した辟になった。意味は刑罰の意から、刑罰権をもつ君主などの意を表し、語義は変遷、多様化した[字統を参考]。
意味 (1)つみ。刑罰。「大辟タイヘキ」(重い刑罰。死刑) (2)君主。「辟公ヘキコウ」(諸侯) (3)さける。(=避)「辟易ヘキエキ」(①相手をさけてしりぞく。しりごみする。②こまる。閉口する)「辟邪ヘキジャ」(魔除け)
イメージ
尻の肉を「切り裂く」(辟・劈・霹・檗・襞・躄)
切り裂く部分が尻なので真中から「かたよる」(避・癖・僻・嬖・臂・壁)
「その他」(璧・闢・譬)
音の変化 ヘキ:辟・劈・霹・襞・躄・璧・壁・癖・僻・闢 ヘイ:嬖 バク:檗 ヒ:避・臂・譬
切り裂く
劈 ヘキ・さく・つんざく 刀部
解字 「刀(かたな)+辟(切り裂く)」の会意形声。刀で切り裂くこと。
意味 さく(劈く)。つんざく(劈く)。「劈開ヘキカイ」(さきひらく。ひびが入って割れる)「劈頭ヘキトウ」(物事のはじまり。まっさき)
霹 ヘキ 雨部
解字 「雨(あめ)+辟(切り裂く)」の会意形声。雨を切り裂いて鳴る雷の音。
意味 雨を切り裂いて鳴りひびく雷。「霹靂ヘキレキ・かみとき」(ひき裂くような激しい雷。落雷。靂レキは雨の中を鳴り響く意)「晴天の霹靂」(晴天に突然起こる落雷。突然起こる変動)
檗 バク・ハク 木部
解字 「木(き)+辟(裂く)」の会意形声。樹木の皮をはぐ形で、はいだ皮を利用する木をいう。
黄檗(中国の漢方薬通販サイトより)
意味 「黄檗オウバク」に使われる字。黄檗(きはだ・オオバク)とは、ミカン科の落葉高木。樹皮から胃薬の黄檗をつくり、また、黄色の染料ができる。「黄檗色きはだいろ」(鮮やかな黄色)「黄檗山オウバクサン」(①中国福建省にある山。禅の道場である万福寺がある。②京都府宇治市にある黄檗宗の本山、万福寺の山号)
襞 ヘキ・ひだ 衣部
解字 「衣(ころも)+辟(切り裂く)」の会意形声。切り裂いたように見える衣の細くたたんだ折目。
意味 ひだ(襞)。袴(はかま)や衣服に、細く折りたたんだ折目。ひだめ。ひだのような地形。「山襞やまひだ」「褶襞シュウヘキ」(ひだや、しわ状のもの)
躄 ヘキ・ビャク 足部
解字 「足(あし)+辟(切る)」の会意形声。刑罰で両足を切ること。あしなえ。
意味 (1)あしきりの刑。あしきり。あしなえ。 (2)いざる。膝行する。「躄疾ヘキシツ」(あしなえ)「躄行ヘキコウ」(いざる)「悶絶躄地モンゼツビャクチ」(苦しみもだえ地を転げ回る)
かたよる
避 ヒ・さける 辶部
解字 「辶(ゆく)+辟(かたよる)」の会意形声。真ん中でなく、かたよったところをゆくこと。さけて通る意となる。
意味 さける(避ける)。よける。のがれる「避難ヒナン」「避暑ヒショ」「逃避トウヒ」
癖 ヘキ・くせ 疒部
解字 「疒(やまい)+辟(かたよる)」の会意形声。普通とは異なるかたよった病的な習性のこと。
意味 くせ(癖)。かたよった習性。「性癖セイヘキ」「盗癖トウヘキ」「潔癖ケッペキ」(不潔を極度にきらうこと)
僻 ヘキ・かたよる・ひがむ イ部
解字 「イ(ひと)+辟(かたよる)」の会意形声。一方にかたよった見方をする人。また、中央でなくかたよった地域をいう。
意味 (1)かたよる(僻る)。ひがむ(僻む)。よこしま。「僻見ヘキケン」「僻説ヘキセツ」 (2)かたいなか。かたすみ。「僻地ヘキチ」「僻村ヘキソン」
嬖 ヘイ・きにいり 女部
解字 「女(おんな)+辟(かたよる)」の会意形声。一人の女をかたよってかわいがること。発音は、ヘキ⇒ヘイに変化。
意味 (1)おきにいり(嬖)。かわいがる。身分が低く特に愛される女性。「而(しか)して是の女を嬖ヘイする也。[鄭語]」「嬖妾ヘイショウ」(お気に入りの側室)「嬖人ヘイジン」 (2)寵愛される家臣。「嬖竪ヘイジュ」(お気に入りの小臣)
臂 ヒ・ひじ 月部
解字 「月(からだ)+辟(かたよる)」の会意形声。からだの正面から、かたよったところにある両方の「うで」が原義。日本では、ひじの意でも使う。
意味 (1)うで。かいな。「臂環ヒカン」(腕輪)「猿臂エンビ」(猿のように長い腕)「猿臂をのばす」(2)ひじ(臂)。腕の折れ曲がる部分の外側。肘、肱とも書く。
壁 ヘキ・かべ 土部
解字 「土(つち)+辟(かたよる⇒外側)」の会意形声。建物の外側にある土製のかべをいう。
意味 (1)かべ(壁)。土の仕切り。部屋と部屋との間の仕切り。建物と外界の仕切り。「障壁ショウヘキ」(へだてのかべ。さまたげ)「壁画ヘキガ」 (2)かべのように切り立った所。「岩壁ガンペキ」「絶壁ゼッペキ」
その他
璧 ヘキ 玉部
玉璧
解字 甲骨文は、丸いかたちと刃物の象形である辛の一種に従う。円形の玉を刃物で作っている様子と推定される。意味は供物として用いられる玉器[甲骨文字辞典]。金文から「玉+辟ヘキ」の形になったが、甲骨文の発音である「ヘキ」が辟に置きかわり、意符として玉がついた(玉は金文~篆文は王で表される)。意味は円いかたちの玉で、中に円い孔があいているものをいう。現代字は下に玉がついた璧となるが、玉が下につく字は極めて少なく、よく使う漢字では璧の他に、玉璽ギョクジ(天子の印)の璽ジのみ。
意味 (1)中央に孔のある円板状の玉。たま。「璧玉ヘキギョク」 (2)たまのように立派なもの。「完璧カンペキ」「双璧ソウヘキ」(一対の宝玉。優劣のないすぐれた二つのもの)
闢 ヘキ・ビャク 門部
解字 金文は、「門(もん)+両手」で、門を手で開く形から、ひらく意。篆文から「門+辟(ヘキ・ビャク)」の形声となった。意味は金文の形からひらく意。また、劈ヘキ(切り裂く)に通じて、門の所で切り裂く、すなわち撃退する意がある。
意味 (1)ひらく(闢く)。「天地開闢テンチカイビャク」(世界のはじめ) (2)しりぞける。「闢邪ヘキジャ」(邪悪をしりぞける)
譬 ヒ・たとえる 言部
解字 「言(ことば)+辟(ヒ)」の形声。ヒは比ヒ(くらべる)に通じ、あるものを他と比べて言うこと。たとえる意となる。
意味 たとえる(譬える)。たとえ(譬え)。「譬喩ヒユ」(類似したものを例にあげて説明すること。譬も喩も、たとえる意。=比喩)「譬説ヒセツ」(説きさとす)
<紫色は常用漢字>
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辟 ヘキ・ヒ 辛部
解字 甲骨文は、「坐った人である卩セツ+辛の一種(刃物)」の会意で、人の身体を刃物で切断する形。肉刑を受けた者を表す[甲骨文字辞典]。(なお、甲骨文字辞典は足首を切断する肉刑とするが、私は字統を参考に金文で尻の肉を切り取る形としている)。金文は卩セツの横に口(肉片)をつけ、人の後ろから刀物で尻の肉を切り取る刑罰を表す。現代字は卩セツ⇒尸に変化した辟になった。意味は刑罰の意から、刑罰権をもつ君主などの意を表し、語義は変遷、多様化した[字統を参考]。
意味 (1)つみ。刑罰。「大辟タイヘキ」(重い刑罰。死刑) (2)君主。「辟公ヘキコウ」(諸侯) (3)さける。(=避)「辟易ヘキエキ」(①相手をさけてしりぞく。しりごみする。②こまる。閉口する)「辟邪ヘキジャ」(魔除け)
イメージ
尻の肉を「切り裂く」(辟・劈・霹・檗・襞・躄)
切り裂く部分が尻なので真中から「かたよる」(避・癖・僻・嬖・臂・壁)
「その他」(璧・闢・譬)
音の変化 ヘキ:辟・劈・霹・襞・躄・璧・壁・癖・僻・闢 ヘイ:嬖 バク:檗 ヒ:避・臂・譬
切り裂く
劈 ヘキ・さく・つんざく 刀部
解字 「刀(かたな)+辟(切り裂く)」の会意形声。刀で切り裂くこと。
意味 さく(劈く)。つんざく(劈く)。「劈開ヘキカイ」(さきひらく。ひびが入って割れる)「劈頭ヘキトウ」(物事のはじまり。まっさき)
霹 ヘキ 雨部
解字 「雨(あめ)+辟(切り裂く)」の会意形声。雨を切り裂いて鳴る雷の音。
意味 雨を切り裂いて鳴りひびく雷。「霹靂ヘキレキ・かみとき」(ひき裂くような激しい雷。落雷。靂レキは雨の中を鳴り響く意)「晴天の霹靂」(晴天に突然起こる落雷。突然起こる変動)
檗 バク・ハク 木部
解字 「木(き)+辟(裂く)」の会意形声。樹木の皮をはぐ形で、はいだ皮を利用する木をいう。
黄檗(中国の漢方薬通販サイトより)
意味 「黄檗オウバク」に使われる字。黄檗(きはだ・オオバク)とは、ミカン科の落葉高木。樹皮から胃薬の黄檗をつくり、また、黄色の染料ができる。「黄檗色きはだいろ」(鮮やかな黄色)「黄檗山オウバクサン」(①中国福建省にある山。禅の道場である万福寺がある。②京都府宇治市にある黄檗宗の本山、万福寺の山号)
襞 ヘキ・ひだ 衣部
解字 「衣(ころも)+辟(切り裂く)」の会意形声。切り裂いたように見える衣の細くたたんだ折目。
意味 ひだ(襞)。袴(はかま)や衣服に、細く折りたたんだ折目。ひだめ。ひだのような地形。「山襞やまひだ」「褶襞シュウヘキ」(ひだや、しわ状のもの)
躄 ヘキ・ビャク 足部
解字 「足(あし)+辟(切る)」の会意形声。刑罰で両足を切ること。あしなえ。
意味 (1)あしきりの刑。あしきり。あしなえ。 (2)いざる。膝行する。「躄疾ヘキシツ」(あしなえ)「躄行ヘキコウ」(いざる)「悶絶躄地モンゼツビャクチ」(苦しみもだえ地を転げ回る)
かたよる
避 ヒ・さける 辶部
解字 「辶(ゆく)+辟(かたよる)」の会意形声。真ん中でなく、かたよったところをゆくこと。さけて通る意となる。
意味 さける(避ける)。よける。のがれる「避難ヒナン」「避暑ヒショ」「逃避トウヒ」
癖 ヘキ・くせ 疒部
解字 「疒(やまい)+辟(かたよる)」の会意形声。普通とは異なるかたよった病的な習性のこと。
意味 くせ(癖)。かたよった習性。「性癖セイヘキ」「盗癖トウヘキ」「潔癖ケッペキ」(不潔を極度にきらうこと)
僻 ヘキ・かたよる・ひがむ イ部
解字 「イ(ひと)+辟(かたよる)」の会意形声。一方にかたよった見方をする人。また、中央でなくかたよった地域をいう。
意味 (1)かたよる(僻る)。ひがむ(僻む)。よこしま。「僻見ヘキケン」「僻説ヘキセツ」 (2)かたいなか。かたすみ。「僻地ヘキチ」「僻村ヘキソン」
嬖 ヘイ・きにいり 女部
解字 「女(おんな)+辟(かたよる)」の会意形声。一人の女をかたよってかわいがること。発音は、ヘキ⇒ヘイに変化。
意味 (1)おきにいり(嬖)。かわいがる。身分が低く特に愛される女性。「而(しか)して是の女を嬖ヘイする也。[鄭語]」「嬖妾ヘイショウ」(お気に入りの側室)「嬖人ヘイジン」 (2)寵愛される家臣。「嬖竪ヘイジュ」(お気に入りの小臣)
臂 ヒ・ひじ 月部
解字 「月(からだ)+辟(かたよる)」の会意形声。からだの正面から、かたよったところにある両方の「うで」が原義。日本では、ひじの意でも使う。
意味 (1)うで。かいな。「臂環ヒカン」(腕輪)「猿臂エンビ」(猿のように長い腕)「猿臂をのばす」(2)ひじ(臂)。腕の折れ曲がる部分の外側。肘、肱とも書く。
壁 ヘキ・かべ 土部
解字 「土(つち)+辟(かたよる⇒外側)」の会意形声。建物の外側にある土製のかべをいう。
意味 (1)かべ(壁)。土の仕切り。部屋と部屋との間の仕切り。建物と外界の仕切り。「障壁ショウヘキ」(へだてのかべ。さまたげ)「壁画ヘキガ」 (2)かべのように切り立った所。「岩壁ガンペキ」「絶壁ゼッペキ」
その他
璧 ヘキ 玉部
玉璧
解字 甲骨文は、丸いかたちと刃物の象形である辛の一種に従う。円形の玉を刃物で作っている様子と推定される。意味は供物として用いられる玉器[甲骨文字辞典]。金文から「玉+辟ヘキ」の形になったが、甲骨文の発音である「ヘキ」が辟に置きかわり、意符として玉がついた(玉は金文~篆文は王で表される)。意味は円いかたちの玉で、中に円い孔があいているものをいう。現代字は下に玉がついた璧となるが、玉が下につく字は極めて少なく、よく使う漢字では璧の他に、玉璽ギョクジ(天子の印)の璽ジのみ。
意味 (1)中央に孔のある円板状の玉。たま。「璧玉ヘキギョク」 (2)たまのように立派なもの。「完璧カンペキ」「双璧ソウヘキ」(一対の宝玉。優劣のないすぐれた二つのもの)
闢 ヘキ・ビャク 門部
解字 金文は、「門(もん)+両手」で、門を手で開く形から、ひらく意。篆文から「門+辟(ヘキ・ビャク)」の形声となった。意味は金文の形からひらく意。また、劈ヘキ(切り裂く)に通じて、門の所で切り裂く、すなわち撃退する意がある。
意味 (1)ひらく(闢く)。「天地開闢テンチカイビャク」(世界のはじめ) (2)しりぞける。「闢邪ヘキジャ」(邪悪をしりぞける)
譬 ヒ・たとえる 言部
解字 「言(ことば)+辟(ヒ)」の形声。ヒは比ヒ(くらべる)に通じ、あるものを他と比べて言うこと。たとえる意となる。
意味 たとえる(譬える)。たとえ(譬え)。「譬喩ヒユ」(類似したものを例にあげて説明すること。譬も喩も、たとえる意。=比喩)「譬説ヒセツ」(説きさとす)
<紫色は常用漢字>
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