お父さんのマリポタ日記。
マリノスのこと、ポタリングのこと。最近忘れっぽくなってきたので、書いておかないと・・・
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※奥田英朗(1959年岐阜生まれ。コピーライター、構成作家を経て1997年「ウランバーナの森」でデビュー。「邪魔」で第4回大藪春彦賞。「空中ブランコ」で第131回直木賞)



●昭和の情景描写が圧巻

 東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年、浅草で誘拐事件が発生。容疑者に浮かんだのは北海道・礼文島出身で空き巣常習犯の男だった。「戦後最大の誘拐事件」と言われた「吉展ちゃん事件」がモデル。

 とにかく情景描写が凄すぎる。昭和52年に取り壊された南千住の東京スタジアム、63年に廃止された青函連絡船など臨場感たっぷり。圧巻は黒電話。公衆電話からかかってきた時、受話器をとると10円玉が落ちる「ガチャン」という音がするなんて懐かし過ぎる。

 電話の逆探知はできず録音もままならない。これが当たり前の状況の中、失態を繰り返しながらも容疑者を追い詰めていく刑事たちの執念。この時代を知る者にとっては文句なく面白い。こういうミステリを読みたかった。

 たまたまだが、これを読んだ後、黒沢明監督の「天国と地獄」を見た。製作はこの小説の舞台と同じ昭和38年で、新幹線はなく「こだま」がまだ特急だった。白黒だが、これも古さを感じさせず見応え十分の作品だった。

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