AKB48の旅

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映画「イニシエーション・ラブ」

2016年05月06日 | AKB
原作は読んでないし、いちおう噂のようなものは仄聞してたけど、ほぼ更の状態で見た。なので、正直、最後の最後まで、それが明かされるまでは凡庸な作品だな、ダサダサだなと思って見てた。そうとしか見れなかった。

いちおう前田さんを目的に見た身とすれば、前田さんが素晴らしく魅力的に撮られていたので、それだけでも高く評価して構わないんだけど、それと作品としての出来はやはり別だろう。うん、私って公正(自慢)・・・という思いがど真ん中的にドツボっていたとは。

映画冒頭のクレジットで「本作には大きな”秘密”が隠されています。劇場を出られましたら、これから映画をご覧になる方のために、どうか”秘密”を明かさないで下さいね」と出るんだけど、それが何を意味するのか、見ていてもさっぱり分からない。それが明かされるまでは。

みごとにやられたというか、その映画冒頭のクレジットこそが「罠」になっているという鮮やかさ。疑いの目で見るという行為自体が思い込みとなって、そこかしこにちりばめられたヒントに気づかせなくさせる。こういう知的な逆説は、その”秘密”以上に特異なカタルシスを感じさせてくれることになる。

だからこそ"秘密"が明かされた後も、種明かし後もいろいろジワる。というか、種明かしそのものよりも、よっぽどそっちがメイン。ゆっくりと反芻するように鮮やかに伏線が回収され、遡ってゆるゆると価値観の逆転が起こる。とりわけ、前田さん演じる成岡繭子と木村文乃さんが演じる石丸美弥子の、ある意味コペルニクス的転換は壮観というか、唖然。これはあれか、堤監督の恨み節なのか(考え過ぎ)。

一言で評するのが難しいというか、一言では評してはいけない作品なんだけど、ただこれは言い切って良いのかなと思ったのは、ようやくにして前田さんに「代表作」が生まれたのかな。