2011年、ヒョンジュンは、形而上学的な舞台で、聖水の様な汗をかき完璧なダンスをする。
歌にあわせて軽く口角を上げ笑いかけるが、虹彩が見えないほど散瞳が生じ瞳孔径は果てしなく大きく黒く、地の果ての暗黒のようだ。
「もう随分と踊り続けているよね」
「歌唱力があまり無いからね。ダンスで誤魔化さないと」
「疲れないの?」
「うん、君の見ている僕は、形而上学的ヒョンジュンだからるね」
「ああそうか、昨夜は6年前の君を見てたよ。不安をかき消すため必死で踊ってた。あまり上手じゃなかったけれど」
「あり得るね」
「あれから、ずっと何かに取り付かれたように、踊り続けている。小人と契約でもしたのかな?」
「形而上学的踊る小人か・・・。まあそれもありかな」
「じゃあ、踊りの代償として、君は小人に何を差し出したの?」
「君は分っているだろう」
「・・・睡眠か」
「僕の睡眠は、事実上小人が眠るという行為だ」
「君自身は、いつから寝ていない?」
「さあ、いつからだろう。覚えていない」
「他に選択肢はなかったの?」
「僕の負けず嫌いな性格知ってるよな。勝つ為なら睡眠くらい幾らでもくれてやる」
「たとえ闇しか見えなくなっても?」
「たとえ闇しか見えなくなっても」
深夜遅くなっても外気温は一向に下げる気配はなく、ただ、暗闇に冷房気器具から出される機械的なうなり音だけが響いている。
そんな真夏の夜の闇は、彼の大きな瞳と重なる。
歌にあわせて軽く口角を上げ笑いかけるが、虹彩が見えないほど散瞳が生じ瞳孔径は果てしなく大きく黒く、地の果ての暗黒のようだ。
「もう随分と踊り続けているよね」
「歌唱力があまり無いからね。ダンスで誤魔化さないと」
「疲れないの?」
「うん、君の見ている僕は、形而上学的ヒョンジュンだからるね」
「ああそうか、昨夜は6年前の君を見てたよ。不安をかき消すため必死で踊ってた。あまり上手じゃなかったけれど」
「あり得るね」
「あれから、ずっと何かに取り付かれたように、踊り続けている。小人と契約でもしたのかな?」
「形而上学的踊る小人か・・・。まあそれもありかな」
「じゃあ、踊りの代償として、君は小人に何を差し出したの?」
「君は分っているだろう」
「・・・睡眠か」
「僕の睡眠は、事実上小人が眠るという行為だ」
「君自身は、いつから寝ていない?」
「さあ、いつからだろう。覚えていない」
「他に選択肢はなかったの?」
「僕の負けず嫌いな性格知ってるよな。勝つ為なら睡眠くらい幾らでもくれてやる」
「たとえ闇しか見えなくなっても?」
「たとえ闇しか見えなくなっても」
深夜遅くなっても外気温は一向に下げる気配はなく、ただ、暗闇に冷房気器具から出される機械的なうなり音だけが響いている。
そんな真夏の夜の闇は、彼の大きな瞳と重なる。