ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態や生息環境を研究し保全活動をしていますが、趣味で撮影した昆虫や日本の四季
自然風景の写真も紹介しています。

ヒメボタル(岩手県折爪岳)

2018-07-17 19:58:31 | ホタル

 ヒメボタル Luciola parvula Kiesenwetter, 1874 は、ホタル科(Family Lampyridae)ホタル属(Genus Luciola Laporte, 1833)でゲンジボタルやヘイケボタルと同属であるが、幼虫が陸地で生活する陸生ホタルである。青森県から九州まで分布し、平地から高い山地の雑木林、竹林、ブナ林、畑、河川敷など様々な環境に生息している。体長は6mm~9mmほどで、メスは下翅がなく飛ぶことができない。そのため分布地の移動性は小さく、地域により遺伝的特性や体長の差などが著しい。発光は、黄金色のフラッシュ光の点滅が特徴である。

 ヒメボタルの観察と撮影に、岩手県二戸市にある折爪岳に行ってきた。折爪岳のヒメボタル生息地(山頂の3.5ヘクタール)は、2013年に二戸市、そして今年4月には岩手県の天然記念物に指定され、生息数100万匹とも言われる。いつも観察は十分にできたが、過去に大乱舞を目の前にしながら、フィルムでは上手く撮れていなかったり、天候不順で飛翔数が少なかったりと、これまで私的に満足できる撮影結果は得られていない。昨年は、ブナやミズナラの原生林で光る「折爪岳のヒメボタル」らしい写真は撮影したが、「これぞ!」という光景を残しておきたい。そこで、5度目の訪問となる今回は、二泊三日で二晩のチャンス。過去の経験から、ヒメボタルが多く飛ぶ場所は分かっているので、明るい時間に構図を決めて、それぞれの晩に違う場所で1カットずつ撮ることにした。
 初日は、気温が高く無風。前日に雨が降ったとのことで、たいへん蒸し暑く、まさにホタル日和。19時30分頃から光り始め、多くのヒメボタルが乱舞した。二日目は、気温が少し低めで風が強く、前日に比べて飛翔数は半分ほどであったが、それでも同期明滅も見られるほどの数は飛んでいた。ただし、いつも観察できる場所ではメスがほとんど見られなかった。発生のピークは数日後かも知れない。
 二日間ともに「ヒメボタル観察会」が催され、多くの観光客も訪れていたが、懐中電灯やスマホの明りによって、ヒメボタルが一斉に発光を止めることが多々あった。誰が言ったか知らないが、懐中電灯に赤いセロファンを巻いてもダメである。また、スマホで撮ろうとしても写らない。撮影者の立場では、写真は数秒露光のデジタル画像を何枚も重ね合わせる手法で創作するから、フレーム中に人工光が当たれば、そのカットは削除すれば良い。しかしながら、ヒメボタルは灯りに非常に敏感で、すぐに発光を止めてしまう。メスを探そうと飛び回るオスたちの行動を阻害するのである。懐中電灯やスマホは、ヒメボタルのために是非とも止めて頂きたい。足元だけを照らすこともダメである。

 掲載写真は、ヒメボタルの生態学的価値よりも写真の見栄えを重視したもので、10分~20分の露光に相当するカットを合成したものである。肉眼でも相当数のヒメボタルが発光する様子が見られるが、掲載写真のように見えるわけではないことを付け加えておきたい。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ヒメボタル(折爪岳)の写真

ヒメボタル(折爪岳)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 1600 10分相当多重(撮影地:岩手県二戸市/折爪岳 2018.07.14)

ヒメボタル(折爪岳)の写真

ヒメボタル(折爪岳)
Canon EOS 7D / EF17-35mm f/2.8L USM(32mm相当) / バルブ撮影 F2.8 ISO 1600 20分相当多重(撮影地:岩手県二戸市/折爪岳 2018.07.15)

天の川(折爪岳)の写真

天の川(折爪岳より)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 30秒 ISO 1600(撮影地:岩手県二戸市/折爪岳 2018.07.14)

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2018 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.


コメント   この記事についてブログを書く
« ヘイケボタルの乱舞 | トップ | カラカネイトトンボ »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ホタル」カテゴリの最新記事