ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

ルリボシヤンマ 青眼型メス

2019-09-15 10:32:21 | トンボ/ヤンマ科

 ルリボシヤンマ 青眼型メスを撮影したので掲載したい。

 ルリボシヤンマ Aeshna juncea juncea (Linnaeus, 1758)は、ヤンマ科(Family Aeshnidae)ルリボシヤンマ属(Genus Aeshna)で、氷河期に繁栄し、その遺存種的に生息していると言われており、日本では寒冷な気候である北海道の他、本州、四国に分布する。主として高層湿原や林に囲まれた抽水植物が繁茂する泥炭質の小さな池沼などに多く生息している。丘陵地から低山帯の池沼など温暖な平地にも生息するが、数は少なくなる。
 オスは、成熟すると複眼は青色に、胸部の模様と腹部斑紋は黄色に変化し、腹部の第1節後半と第2節前半及び6(または7)~8節の斑紋が青色になる。メスは、複眼が緑色で胸部模様と腹部斑紋は黄色または淡緑色である。いずれも、地色の茶色味が強い。
 本種を含むルリボシヤンマ属では、メスの複眼と斑紋の色がオスと同じ青色になる個体がいる。青色型メスの出現は地理的変異と言われており、オオルリボシヤンマでは兵庫県と新潟県で撮影し、マダラヤンマは長野県で撮影しているが、(下記リンク参照)本種においては、ここ数年、極稀に確認されると言われている本州中部山岳地帯を中心に様々な地域で探索しても青色型メスを見つけることが出来ていなかった。

 今回訪れたのは、岐阜県にある高原(標高1,400m)の湿地で初めての場所である。木道が設置されているような高層湿原では、個体数が多くても池塘まで距離があるなどして、ほとんど撮影はできないので、今回は、寒冷地であり、尚且つ撮影のし易さで選定した。前日の21時過ぎに自宅を出発し、途中で車中泊。現地には6時半到着。朝の気温は14℃。快晴の澄んだ青空とススキの穂が秋を感じさせる。早速、高原の至る所を見て回る。ルリボシヤンマが一番好むであろう場所に狙いを定めて待機した。
 湿地も湿地脇の小さな池にも、まだ朝陽が当たっていない。オスの縄張り飛翔もなし。しかしながら、湿地脇の小さな池を見ると、すでに1頭が草の陰に隠れるように産卵中であった。時間は7時半である。ただし、この個体は、ノーマルタイプのメスであった。(写真6)
 8時半を過ぎると、湿地に朝陽が当たり始め、オスも次々に現れた。湿地上でホバリングを交えた縄張り飛翔や草陰を丹念に見て回る探雌飛翔を始めた。メスが飛んでくるのを待ちながらオスの飛翔撮影。ホバリングと言っても、飛翔移動中に1~2秒間静止するだけ。マニュアルフォーカスで素早くピントを合わせてシャッターを切った。
 まだ陽の当たっていない池を覗くと、こちらの気配で1頭のメスが飛び出した。そして、そのまま林の中へ飛んで行ってしまった。しかし、もう1頭が産卵中。よく見ると複眼が水色に見える。腹部第1節と第2節の斑紋も水色である。青色型ではないが、ルリボシヤンマ 青眼型メスの個体に出会うことができた。ストロボを焚いたものとノンストロボのカットを撮影。もっと別の角度から撮ろうとしていると、何とオスが現れ、交尾態となって林の高い場所へ連れ去ってしまった。
 その後、午前11時頃まで観察したが、10時を過ぎてオスが多数飛翔している時間帯になるとメスは全く来なくなった。オスが少ない朝方や夕方に、こっそりと産卵に来るようである。この日に確認したメスは、全部5頭。青眼型は1頭だけであったが、複眼及び胸部と腹部第一節の斑紋の緑色が濃いタイプのメスも撮影した。

 翌年に、青色型メス(オス型メス)と言ってよいだろう個体を撮影しているので参照いただきたい。(こちら→ルリボシヤンマ 青色型メス探索

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ルリボシヤンマ(青眼型メス)の写真

ルリボシヤンマ(青眼型メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/40秒 ISO 400 -1 1/3EV ストロボ使用(撮影地:岐阜県 2019.9.14 9:28)

ルリボシヤンマ(青眼型メス)の写真

ルリボシヤンマ(青眼型メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/40秒 ISO 400 -1 1/3EV ストロボ使用(撮影地:岐阜県 2019.9.14 9:29)

ルリボシヤンマ(青眼型メス)の写真

ルリボシヤンマ(青眼型メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/40秒 ISO 400 -1 1/3EV ストロボ使用(撮影地:岐阜県 2019.9.14 9:30)

ルリボシヤンマ(青眼型メス)の写真

ルリボシヤンマ(青眼型メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/40秒 ISO 400 -1 1/3EV ストロボ使用(撮影地:岐阜県 2019.9.14 9:31)

ルリボシヤンマ(青眼型メス)の写真

ルリボシヤンマ(青眼型メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 3200(撮影地:岐阜県 2019.9.14 9:31)

ルリボシヤンマの写真

ルリボシヤンマ(ノーマル型メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/160秒 ISO 3200 -1/3EV(撮影地:岐阜県 2019.9.14 7:34)

ルリボシヤンマの写真

ルリボシヤンマ(斑紋の緑色が濃いタイプのメス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/2000秒 ISO 400 -1EV(撮影地:岐阜県 2019.9.14 9:50)

ルリボシヤンマの写真

ルリボシヤンマ(斑紋の緑色が濃いタイプのメス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/2000秒 ISO 400 -1EV(撮影地:岐阜県 2019.9.14 9:52)

ルリボシヤンマの写真

ルリボシヤンマ(オスの飛翔)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 500(撮影地:岐阜県 2019.9.14 8:44)

ルリボシヤンマの写真

ルリボシヤンマ(オスの飛翔)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/800秒 ISO 400(撮影地:岐阜県 2019.9.14 8:55)

ルリボシヤンマの写真

ルリボシヤンマ(オスの飛翔)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/800秒 ISO 400(撮影地:岐阜県 2019.9.14 9:07)

ルリボシヤンマの写真

ルリボシヤンマ(オスの飛翔)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 250(撮影地:岐阜県 2019.9.14 9:07)

ルリボシヤンマ(青眼型メス)

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