ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

クロマドボタル(成虫)の発光

2009-07-19 00:17:13 | その他ホタル
 山梨県にヒメボタル観察に行ってきた。

 3連休の初日とあって、中央道は大渋滞。国立インターチェンジから乗ったものの、歩いた方が速いくらいのノロノロで、これが上野原まで続いた。ETCを搭載していない私は正規料金を支払うのだから、優先して通して欲しいくらいだが、致し方ない。目的のインターチェンジまで3時間近くかかったが、何とか到着。

 周囲を散策した後、17時半に目的地の山の麓へ行き、車を止める。ここからは、徒歩で登山道を登る。息を切らして登ること15分。これまで雑木林の下草が背丈ほど伸びていたのが、ここから急に20~30cmになる。ヒメボタルの生息地である。立っているのもやっとの急勾配。登山道脇の木にもたれかかりながら、その時を待つ。運悪く、雨だ。森の中にいるから滴もほとんど落ちてこないが、できれば止んで欲しい・・・。

 19時10分。1匹のヒメボタルが発光を開始する。19時半、しだいに発光するヒメボタルが増え、ヒメボタルに取り囲まれる状態だ。昨年に引き続き、素晴らしい光景を見ることが出来た。漆黒の森の中に無数のゴールドの点滅。先週に訪れた奥多摩とは、また違ったすばらしさだ。

 ヒメボタルを観察している途中で、とても重要な発見があった。何と、クロマドボタルの成虫が発光していたのである。クロマドボタルの幼虫が発光することは広く知られているが、クロマドボタルの成虫が発光を確認したのは、私にとって今回が初めてである。

 クロマドボタル成虫の発光は、ゲンジボタルやヘイケボタル、或いはヒメボタルの成虫の発光とは異なり、規則的な明滅はしない。幼虫の発光同様に数秒間光り続けるが、時折強く発光する。昼行性のクロマドボタルは、光を雌雄のコミュニケーションツールとしていない。発光は威嚇なのだろうか?これからの研究課題である。

東京にそだつホタル>東京ゲンジボタル研究所/古河義仁


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2 コメント

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ヒメボタルをさがして (Neuron)
2009-08-03 23:13:52
昨年の古河さんのブログとネット上の新聞記事を参考に南都留郡のヒメボタルを探しました。何度か通いましたが、決め手は明るいうちに現地入りすることでした。生息地は、立つのもやっとの急斜面とは違い、尾根上の鞍部でしたので、勘違いの末の偶然の発見でしょうか。写真はなかなか難しいですねまだ修行の身です。
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Unknown (古河)
2009-08-04 19:13:09
コメントありがとうございます。
1つお願いがございます。地域が特定できる名称を削除していただきたいのですが・・・ヒメボタルは、原生林のホタルで、人々が訪れるようになれば、絶滅の可能性があります。Web上では、南都留郡までの記載でお願いいたします。
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