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ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

第16回 日本ホタルの会シンポジウム

2008-09-05 20:44:32 | ホタルに関する話題
日本ホタルの会主催のシンポジウムが開かれる。

第16回 日本ホタルの会シンポジウム
-発光生物を支える水環境を考える-

今年のシンポジウムは、ホタルをはじめとする発光生物を支えている水環境について考るという内容である。興味ある方はご参加を。

日 時  2008年9月6日(土) 午後2時より

場 所  JAM金属労働会館

     東京都渋谷区桜丘町6-2,JR渋谷駅西口より徒歩7分

基調講演 稲村 修(魚津水族館) 「蛍烏賊が照らす富山湾」

その他  総合討論

参加費  無料


お問い合わせ
日本ホタルの会事務局 メールアドレス : mail@nihon-hotaru.com
電話・ファックス : 042-530-2111

お天気キャスターとホタルを見に行く。

2008-06-28 10:17:08 | ホタルに関する話題
 昨日はTBSニュース23の収録で、お天気キャスターの岡山裕子さんと都内某所にホタルの撮影に行った。幼虫上陸後の積算温度の計算では、ちょうど発生ピークと思われたが、実際に行ってみなければ、どの程度の数が飛ぶかはわからなかった。ここは4年前に大乱舞していたのだが、河川近くで大規模な工事があり、その後発生数が極端に減少してしまっていた。しかし、少しずつ環境も戻りつつあり、昨日は気象条件もあいまって、およそ100匹のゲンジボタルが光ってくれた。草むらでは、メスの発生も見られた。 当日夜の放送ということで、収録を2時間ほどで終え解散となったが、岡山裕子さんはじめ、スタッフのみなさんに良いプレゼントができて良かったと思う。とても楽しい時間を過ごすことができた。

岡山裕子のお天気カフェに、当時の様子がコメントされており、とても嬉しくなった。 東京ゲンジボタル研究所/古河義仁  東京にそだつホタル

東京にそだつホタル

2008-06-26 21:22:59 | ホタルに関する話題
自然がない、汚い、そんな印象が先行する東京だけれど、あきらめる前にできることがあるはず。

出会いから36年、ホタルを研究しつづける作者によるホームページ「東京にそだつホタル」には、東京の里山に生きるホタルの姿が紹介されている。幻想的な光景を鑑賞したいという目的ばかり先走るのが、人間の悪い癖。まずは彼らの生態を知り、私たち自身が自然の輪の一員となることで、減りゆく自然に喘ぐさまざまな生物に気付くことができるのだ。強引に増やすのではなく、現状を把握して彼らの生活を守ってゆく……ホタルはきっと美しい光のゆらぎで応えてくれるはずだ。儚くも力強くこの東京で育っていく生命力にこそ、私たちは癒されているのかもしれない。 by Yahoo! JAPAN

ホームページは、こちら 「東京にそだつホタル

ホタル泥棒も喜ぶ民間気象情報会社の無責任なサービス

2008-06-20 17:47:53 | ホタルに関する話題
 ある民間気象情報会社が、ホタル情報を配信する携帯電話向けコンテンツを昨年に引き続き、今年もスタートさせている。そのサービスの目的は、「季節の風物詩であるホタルの鑑賞を通じ、季節を楽しんでもらうこと。」であるという。

 コンテンツにはいくつかのサービスがあり、1つは、都心から観光地まで全国100ヵ所のホタルスポットのホタルの発生数や交通アクセスを随時配信するもの。
 もう1つは、160万人の会員による口コミ情報でホタルの穴場スポットを配信する。これによりガイド本にもサイトにものっていないホタル情報をチェックできるという。また、カメラ付き携帯電話で撮影したホタルの画像を募集する投稿コーナーなども用意している。

 ホタルの生息地(発生地)には、色々な場所がある。
①観光客誘致、町おこしのためにホタルを利用した場所、
②ハウス内や庭園で人工飼育した場所、
③自然発生しているが保全団体によって管理されている場所、
④誰も管理することなく自然発生している場所・・・
 都心から観光地まで全国100ヵ所のホタルスポットの紹介は、①と②が中心であると思われるが、これは紹介される側も望んでいることだから問題はない。しかし、口コミ情報でホタルの穴場スポットを配信することには、大きな疑問を感じる。

 ホタルの生息地(発生地)は、公表していい場所と、公表を慎重に検討しなければならない場所があるのである。学者でさえ論文に記載することをためらうのである。誰も管理することなくガイド本にもサイトにものっていないホタルが自然発生している場所が公表され、大勢が押し掛けたらどうなるだろうか。また、昨今のホタル泥棒を喜ばせることにもなる。

 ホタルの減少や絶滅の原因は、環境破壊や悪化が一番の理由だが、次は、鑑賞者のマナーなのである。車のライト、携帯電話の明かり、カメラのフラッシュ・・・
これまでこれらマナーの悪さをどれほど目の当たりにしてきたことか。そのためにホタルが極端に減ってしまった場所をいくつも見てきている。また、ホタルを見ればどうしても欲しくなる。一人が1匹ずつ持ち帰るとしよう。500人が訪れればそこのホタルはすべて捕られてしまうかもしれない。

 企業では、「希少な昆虫となったホタルを鑑賞する際のマナーなども呼びかけていく予定。」と言っているが、カメラ付き携帯電話で撮影したホタルの画像を募集しているのは、一体何なのか?

 人間は自分勝手な生き物である。守らせるのは簡単ではない。口コミ情報をどう分析し、どのような判断のもので配信するのかは解らないが、何でもかんでも配信するのであれば、この企業は無責任他ならない。自分達はホタルを保全する活動することなしに、情報を垂れ流すばかりである。人々を喜ばすだけで、ホタルを滅ぼしてしまうかもしれないサービスを展開する企業をどう評価すればいいのであろうか。

東京ゲンジボタル研究所/古河義仁  「東京にそだつホタル

ホタル泥棒 養殖販売業者の悪事

2008-06-14 08:23:46 | ホタルに関する話題
「ホタル泥棒 厳戒」6月11日の朝日新聞夕刊に、こんなタイトルの記事が掲載されていた。東京都内のある地域において、ここ10年ほど「ホタル盗難」の被害にあっているというのである。毎晩、地域住民が見回りのパトロールをするなど、厳戒態勢を敷いている。

ホタルの養殖販売業者は、「ホタルは、そのへんのタレントよりもお客を呼ぶ・・・」そう言っている。全国各地にいる「捕り子」に、自然発生地から乱獲させ、産卵させた後販売する。出荷先はホテル、旅館、レストラン、テレビ局等々様々であり、すべてイベント用として放される。成虫は約300円。採卵した卵は、孵化させて自前の養殖施設で養殖し、幼虫は400円前後で販売する。幼虫の出荷先は、学校や自治体など、ホタルの飼育を行っている所が多い。

このようなホタルの養殖販売業者がのさばる世の中、買う方も悪い。
この夏、ホタル鑑賞に行くのなら、その場所のホタルがどこから来たのか聞いてみるといい。「きれいだ。」と喜んでいる場合ではないかも知れない。

人々のためではなく、ホタルのために 東京ゲンジボタル研究所/古河義仁

ホタル販売

2008-05-15 23:07:34 | ホタルに関する話題
 仙台のある団体がホタルまつりを開催した。自然発生のホタルが飛ぶかどうかわからなかったので、保険としてホタル養殖販売業者から数百匹のホタル(ヘイケボタル)を購入していた。結果は、数十匹の発生があったため、購入したホタルは放すことはなかった・・・あるテレビ番組の一場面である。

 実は、購入したヘイケボタルは、兵庫県のホタル養殖販売業者が北海道の自然発生地で乱獲したものなのである。ホタルまつりの開催時期が遅かったため、自前の養殖ホタルでは対応できず、当時、発生最盛期であった北海道から調達したのだ。この業者は、全国各地のホタル自生地から平然と乱獲を続けている。テレビ番組の中でも紹介されていたが、車のハザードランプを点灯させ、捕虫網を持った数人で次々と捕獲していくのである。養殖施設を持ち、数十万匹という幼虫を養殖しているようだが、それらの種ボタル用として乱獲する他、上記のようにそのまま販売している。養殖数を上回る需要があるのである。買い求める人々は、学校、自治体、ホテル、旅館、料亭・・・何と多いことか!買われたホタルは、教材として飼われたり、まつりやイベント等の客引きとして放される。自然環境から離された可哀想なホタルたちを見て、人々は自然環境に思いを馳せるのか?そして真に癒されるのか?

 年々、ホタル養殖販売業者は増加している。需要があるから商売が成り立つ。日本人はホタルが好きだから、販売戦略も立てやすい。それに世間では難しいと思われているホタル養殖も、人工的ならばそれほど難しくもないのだ。ホタル養殖販売業者にとって、ホタルはただの商品にかすぎない。生態系だの遺伝子など関係ない。法的規制もないホタルビジネスは、もはや3億円市場だ。身近な場所でホタルを見せようという買い手の勝手な思惑のために、特に保全されていない、いわば自然のままに発生している貴重なホタルが、次々と乱獲されているのである。遠方への移動によって遺伝子攪乱も頻繁に起こり、固有種は絶え続けている。餌として外来種の巻き貝も持ち込まれ、河川の生態系が崩れ掛けている。何と悲しいことだろう。「美しい日本」は、どこへいくのだろうか。

 絶対にホタルを購入してはいけない。本当にホタルが好きで、自然を大切に思うならば、そしてホタルを里山という豊かな自然環境の結晶として捉え、日本の原風景の証のまま、いつまでも生きていて欲しいと思うならば、絶対にホタルを買ってはいけない。売ってもいけない。

東京ゲンジボタル研究所/古河義仁    ホームページ/東京にそだつホタル

アメリカからホタルに関するお問い合わせ

2008-05-06 12:29:24 | ホタルに関する話題
アメリカからホタルに関するお問い合わせが来ました。
以下に転載させていただきましたので、良きアドバイス等、コメントいただけますと幸いです。

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hello!
I am a graduate student in The ohio state university. I am doing research on fireflies. I would like to take some photos of the firefly population as a record. However I can not get very good results. Can you give me some advice? What parameters and equipments are you using for the photos on the website? thanks!

name = yang

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ホタルの幼虫放流とホタルの飼育

2008-04-17 21:39:49 | ホタルに関する話題
 今年も3月~4月にかけて日本各地の多くで、学校の校庭のビオトープや公園の小川にホタルの幼虫が放流された。ホタルを守る会や小学校の児童が飼育したホタルの幼虫を放流している。再三訴えてきたことだが、ほとんど養殖状態に育てたホタルの幼虫を「たくさん飛んでね。」と4月頃に放流することに大きな疑問を感じる。
 なぜ、毎年放流を続けるのだろうか?定着の初期段階や8月頃なら納得できるが、4月に終齢幼虫を放流し続ける。幼虫は水中生活の90%以上を水槽で過ごし、本来の生活場所である小川では、ほんの1~2ヶ月である。また、人工養殖の多くの場合、同じ親を持つ兄弟が増えて、遺伝的に偏りが出る。そのうち放流してもホタルはあまり飛ばなくなってしまう。なぜ、ホタルが自然発生する環境づくりを最優先にしないのだろうか。なぜ、ホタルが一生を通じて暮らせる環境を作らないのだろうか?飼育することが環境教育につながる・・・そんな声を聞く。確かに、飼育することはホタルや自然に対する興味関心を呼び起こすことに役立つだろう。しかし、ホタルの真の生態を観察することなく、ホタルを沢山飛ばすために養殖行為に走り、何百、何千という幼虫を育てることが、果たして環境教育なのだろうか。生態の観察ならば、100匹も飼育すれば十分である。放流せずに、そのまま成虫までさせればいい。
 ホタルの幼虫放流などしなくてもよいように、環境づくりをするべきである。飼育は、少ない数でしっかりと観察すればよいと思う。ホタルの飼育の目的は、ホタルの生態観察であって、放流してたくさん飛ばすためであってはならない。

 今、日本のホタルは泣いている!

人々のためではなく、ホタルのために 東京ゲンジボタル研究所/古河義仁

「ホタル百科」 第4刷発行

2008-04-12 17:11:18 | ホタルに関する話題

自然環境を考える上での身近な指針にもなりうる「ホタル読本」の決定版。


 2007年10月に東京ゲンジボタル研究所著の「ホタル百科」が、第4刷発行となりました。たいへん多くの皆様にご支援をいただき、心より御礼申し上げます。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【内容概説】

 日本人に馴染みの深いホタルは自然環境の破壊とともに減少の一途をたどっており、各地でホタルへの感心が高まるとともに、保護活動なども行われています。しかしホタルの生息環境への理解が足りないがゆえに、その考え方や方法に問題がある場合も少なくありません。本書はホタルや自然環境を考える上での身近な指針になることを目的に、ホタルに関する様々な知見を紹介。余り知られていないホタルの生態や生息環境についても詳しく解説しました。特にホタルの保護に関しては、生態と生態系を把握した上で生息地全体の保全・再生を最優先すべきであるという考えから、多くのページを割いています。

ホタル百科 東京ゲンジボタル研究所著  丸善 【税込価格】 1,260円  ISBN:4-621-07435-0

人々のためではなく、ホタルのために 東京ゲンジボタル研究所/古河義仁

ホタルの幼虫放流に関して

2008-03-23 20:24:32 | ホタルに関する話題
 今年も相変わらずホタル幼虫の放流が各地で行われている。ただ、新聞報道だけを見れば、今のところ1つの大きな特徴がある。それは、小学校の校庭や公園などに造った人工の河川やビオトープに、2~3cmまで育った幼虫、数百匹~数千匹を放流しているということである。専門家によるホタルの生態説明の後、コップに入った幼虫を「無事に大きく成長してね。」と放流する。

 ここで私は疑問に思う。これら人工水路に放流する数千匹のホタルの幼虫は、どこから来たのだろうか?「地元のホタル保存会が養殖した幼虫」という説明がある記事もあるが、何も書かれていない場合もある。自然発生地から種ホタルを採集して養殖したものか、それとも養殖販売業者から購入したものではないのか。人工的施設で閉鎖的な環境だから、移植による遺伝子攪乱の問題はないとはゆえ、ホタルの出所に大きな疑問が残る。
 また、子供達は「大きく成長してね。」と願いながら放流しているが、幼虫はすでに終齢に達するまで成長している。後はカワニナを数個食べて上陸するだけである。8月に1~2mmの1齢幼虫を放流するなら多少は理解できるが、これでは子供達に間違った知識を植え付けてしまっている。いったい専門家は、どんな説明をしているのだろうか。
 結局、今この次期に放流しなければ、ホタルは飛ばないのだろう。そして、6月に飛んでも、その場所では交尾して産卵することはできない。放流場所の写真を見る限り、そんな環境だ。

 なぜ、里山や自然河川の再生など本来の自然環境や生態系を取り戻すことに努力せず、多額の資金を投入してホタルのビオトープを造るのか。そこは、3月に放流しなければホタルは出ることもなく、自然繁殖など到底できない箱物だ。そんな環境でホタルを飛ばすことに満足してよいのか。「ホタルの生息環境の再生、自然環境に興味を持たせるため・・・」などというのは、間違った思いこみで単なる言い訳でしかない。ホタルを食い物にする養殖業者の思うつぼである。
 ホタルの養殖業者は、自然発生地から乱獲をしている。昨今では、ヘイケボタルに似たホタルを東南アジアから輸入し、既に放流しているという話も聞く。ホタルの売買に関しては、養殖業者と自治体の担当者や関係団体との癒着も噂される。

 今、日本のホタルは泣いている!

人々のためではなく、ホタルのために 東京ゲンジボタル研究所/古河義仁

ホタルはなぜ光るの?どうやって光るの?

2008-03-22 08:29:40 | ホタルに関する話題
-日本ホタルの会 談話会開催のお知らせ-

「ホタルはなぜ光るのか?」という疑問に対して,生物学的な意味と化学的な仕組みについて、小学生以上を対象に実験を通して体験していただきます。

期 日  2008年3月22日(土) 午後1時から受付 談話会1時30分から3時

場 所  多摩動物公園 昆虫館2階 ホール

主 催  日本ホタルの会・多摩動物公園共催

テーマ 「ホタルはなぜ光るの?どうやって光るの?」

内 容 ・スライドによるいろいろな発光する生き物の紹介と,光ることの意味の解説
      ・ホタルの発光物質を使った発光実験を体験

参加費  無料(ただし動物園の入園料は必要となります。)

募集対象 小学生以上

お問合せ・お申し込み 日本ホタルの会事務局

TEL&FAX 042-530-2111
e-mail mail@nihon-hotaru.com

人々のためではなく、ホタルのために

ホタルが飛ぶということ。

2008-02-17 11:02:07 | ホタルに関する話題
 子供たちにホタルを見せてあげたい。多くの方々の願いです。私もそう思います。ただ、私が見て欲しいと思うホタルは、カゴの中のホタルではなく、自然の中で舞うホタルであり風景です。

 私が毎年訪れる千葉県南房総は、今でもすばらしい自然環境が数多く残されており、気候は一年を通じて温暖なため、関東で一番早くホタルが発生する地域でもあります。東京からは、首都高速、京葉道路と乗り継ぎ、市原からは一般道路を南下します。インターチェンジを降りてしばらくすると、谷戸(千葉では谷津という)から広がる水田と、その傍らにまっすぐに続く単線の線路が現れます。都心からすぐの距離でありながら「田舎」というイメージを強く心に刻み込んでくるほど、車窓の風景は、さわやかな風と共に一瞬にして私を虜にしてしまいます。幾重にも連なる緑の谷戸。おそらくどの谷戸を歩いても、多くの生き物たちに出会えるに違いありません。実際、モリアオガエルやトウキョウサンショウウオといった貴重な両生類も多く棲み、ホタルも7種類ほどの生息を確認しています。
 こうした中を進むこと1時間。目的地は、江戸時代後期の人気小説「南総里見八犬伝」の舞台でもあるところです。こんもりとした茂みと、それに沿うように流れる小川。そして広がる水田。小川は護岸工事がされていない自然のままで、土手は草刈りもされていません。川底にはカワニナがびっしりとへばりついています。農薬は使っていないのでしょう。水田には大きなタニシが這っています。草の匂い、土の匂い、そしてホタルの匂いを感じます。ホタルの物理的・生態学的生息環境はすべて整っています。近くで農作業をしていた方に尋ねてみると、「ホタルなんかいっぱいおるよ」その幾分ぶっきらぼうな返事は、ホタルは珍しくもない普通の昆虫という印象を私に持たせるほど、あっという間に田園風景の中に吸い込まれていきました。
 日没までの2時間。下を見ながらゆっくりと散策すれば、普段は気づかないものもよく見えるものです。新たな発見もあります。フィールドワークの大切さをかみしめながら周囲の景観と一体になる自分を感じる時、ホタルに対する強い思いが込み上げてきます。日が暮れれば、そこは正にホタルの楽園。ゲンジボタルとヘイケボタルが同時に舞う場所でした。民家も点在し、里山という人々の暮らしとともにある場所でありながら、ホタルを見に来る人は誰もいません。このホタルの舞う風景は、ここでは当たり前の事として、遙か昔から何ら変わることなく毎年続いてきたのです。そして、里山という豊かな自然環境が、ホタルを当然の存在として育て、身近な生き物として大切に守ってきたのだと改めて気づかされます。

 現在、日本各地でホタルの飼育や養殖が盛んに行われています。水槽でたくさん飼育して、3月に小さなビオトープに幼虫を放流し、何百も成虫が飛んだと喜ぶ方々がいます。自然河川があるにも関わらず、河川の保全には目もくれず、その隣に何千万円という税金で人工的なホタルの小川を建設することも珍しくありません。ホタルが生息できない環境にも関わらず、イベント用として養殖業者から購入して何千匹と放す方々もいます。需要が多いために自前の養殖だけでは間に合わず、業者は、全国の自然発生地からホタルを乱獲して販売しています。地域固有種の保全など関係なく、遺伝子を攪乱します。外来種の貝を餌として撒き散らすことも平気で行っています。いずれもホタルの生態や生息環境など考えることもなく、すべて人間の管理の下にホタルを出すこと飛ばすこと、人々がホタルをみて楽しむことだけを目的にした行為です。
 子供たちにホタルを見せてあげたい。そのためには、日本の原風景とも言える里山を保全・再生することが何よりも重要なのです。なぜならホタルは里山環境の結晶だからです。
 自然環境の中で本来のホタルの姿を見るとき、こうした人間のわがままな行為を悲しく思います。ぜひとも、本来の風景を忘れないでいただきたいと思います。

人々のためではなく、ホタルのために 東京ゲンジボタル研究所/古河義仁

東京ゲンジボタル研究所

2008-01-01 07:31:35 | ホタルに関する話題
2008年、明けましておめでとうございます。
昨年は、多くの方々にたいへんお世話になりました。
心より御礼申し上げます。

本年、東京ゲンジボタル研究所では、生態系を無視したホタルまつりやホタルの売買の撲滅など、ホタルのためにをモットーに、ホタルと自然環境の保護保全を実践して参ります。そして、理想的な里山環境再生(ホタルの生息環境づくり)のための支援も行って参ります。
また、ゲンジボタル、ヘイケボタルはもとより、陸生ホタルを含めた9種類のホタルの生態と生息環境の更なる調査研究も進めて参ります。
ホタル写真においては、陸生ホタルを含めた生態写真撮影の充実を図り、また各地のホタルの舞う風景写真では、デジタルカメラの幅の広い表現を新たに導入し、残すべき美しい日本の原風景として撮影して参ります。

本年も、ご指導ご鞭撻の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。

人々のためではなく、ホタルのために / 2008年元旦 東京ゲンジボタル研究所 古河義仁


日本ホタルの会 シンポジウム開催のお知らせ

2007-08-17 23:40:00 | ホタルに関する話題
第15回 ホタルを通じて身近な自然を考えるシンポジウム

テーマ「ホタルを育てることの意味を考える」

 日本ホタルの会(矢島稔名誉会長)では、シンポジウムを開催します。ホタルを保全あるいは再生するためには、ホタルを飼うという行為が必要となることがあります。シンポジウムでは、このことに焦点をあて、ホタルをシンボルとした環境保全について考えます。
 基調講演では、東京大学の鷲谷いづみ先生から身近な自然の生物多様性や生態系の大切さなどについてご講演いただき、その後、立場を変えた三者から切り口の異なるアプローチを示していただき、総合討論で、それらを踏まえたホタルの保全・再生、さらには環境の保全へのかかわり方について考えます。

主 催  日本ホタルの会

後 援  環境省・水と緑の惑星保全機構(いずれも予定)

日 時  2007年8月25日(土) 13時開場 13:20から16:30

場 所  全水道会館

     東京都文京区本郷1−4−1
     (JR水道橋駅東口下車徒歩2分、都営三田線水道橋駅A1出口徒歩1分)

参加費  無料

内 容

(1)基調講演 「生物多様性を守るということ」

          鷲谷いづみ 氏 (東京大学大学院農学生命科学研究科教授)

(2)講演  
       ・「人工飼育による環境づくりの技術」
            千葉 豊 氏  ((株)ヒューマンデザイン生物生態研究所)

        ・「螢桜保存会の取り組み」
              後藤 洋一 氏 (創価大学螢桜保存会)

       ・「横沢入・里山の再生へ」
             福田 教将 氏 (横沢入里山管理市民協議会/横沢入タンボの会)

(3) 総合討論

「ホタルを育てることの意味〜身近な自然環境を守る視点から考える〜」

※閉会後会場を移して懇親会(有料)を予定しています。(17時から2時間程度)

※どなたでも、ご自由に参加いただけます。シンポジウム及び懇親会に参加を希望される方は、事務局までファックス、郵便、メールにてお申し込みください。


お問い合わせ

日本ホタルの会 http://www.nihon-hotaru.com/

〒190-0011 東京都福生市福生487番地 日本ホタルの会事務局 TEL&FAX 042-530-2111
Mail mail@nihon-hotaru.com



センス・オブ・ワンダーをホタルの里山を訪ね。

2007-08-10 20:14:01 | ホタルに関する話題
自然の神秘や不思議さに感動する
センス・オブ・ワンダーをホタルの里山を訪ね。

 日本人の記憶の中に刻みこまれた里山の風景。そこに飛翔するほのかなゆらぎの光。私たちに癒しを与えてくれるホタルたちが安心して生きられる環境は、ふるさとの原風景そのもの。私たちが彼らと共存し続けられるかどうかは、一人ひとりのライフスタイルのあり方にかかっている・・・

 本日発売のスロー&オーガニック・ライフスタイルマガジン「ナチュラルスタイル」に私、東京ゲンジボタル研究所/古河義仁の記事が先月号に引き続き掲載されています。

natural style vol.5 2007年8月10日発売

読んだ人がいやされ、幸せになれる
そして、こころとからだ、地球の健康を大切にする
自立した21世紀型生活者を応援する
スロー&オーガニック・ライフスタイルマガジン「ナチュラルスタイル

「ナチュラルスタイル」最新号は、全国の書店、ナチュラルローソンでご購入できます。
発売/交通タイムス社 発行/有限会社アクアパパ