幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 満月の夜

2013-06-24 15:07:57 | Weblog

 
 
  A,B,C,D

  熱帯魚の水槽の泡が

  水面に向かって上っていく

  天上界に憧れる魂のように

  千のフローレスダイヤの輝き


  ブルーの光が反射しているトンネルを抜けると

  僕の真っ赤な心臓は熱い

  僕の意思とは無関係に

  まだ鼓動をやめない

  別の生き物のように
 
  胸の中で暴れている


  目と鼻と口がついたこの顔は

  さながら悟性的感覚センサーの集積機だ

  それでも、ただ見て聴いて味わうだけでは

  それが何か、すべてを知ることはできない

  ハートの命じるまま
 
  (それがなにか知らなくても)

  触れて感じなければならない

  この全身で

  目に見えず、耳に聞こえず、舌で味わえず、鼻で嗅げない神聖なる神秘

  宇宙の被造物にして、この世でもっとも美しい生命

  息をし、

  僕も息をし、

  彼女の息を僕の息で吸い込む

  ハートは鼓動し、ついに耐えきれず

  破れ

  感情が見えない血しぶきとなって

  飛び散っていく

  満天の星空の
 
  宇宙の一部として


  満月の夜
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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