本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

意馬心猿

2016-01-11 17:14:57 | 漢字

「意馬心猿」、四字熟語ですが、

仏教辞典にもあるように、

本来は

仏教から出た言葉なのでしょう。

 

経典の中には特にジャータカといって

お釈迦さまの前世の物語が

たくさん残っています。

その主人公は動物たちです。

有名なのは、

「月のうさぎ」という物語です。

 

仏像を見ていても、

鵞鳥に乗った「梵天」

象に乗った「帝釈天」

水牛に乗った「大威徳明王」

それから、「孔雀明王」という

とてもきれいな仏さまも

いらっしゃいます。

 

ところが、「意馬心猿」という言葉は

仏教辞典には、

「我々の心が常に煩悩によって

乱され動かされている有様を

馬や猿に喩える語」

と出ていますように、

あまりいい譬えの動物としては

登場しないようです。

 

お釈迦さまには十名といって、

仏さまを表す言葉が十あります。

つまり、仏といっても一言では

表現できなくて、

その仏の徳を表すのに十の名前を

つけて仏を表現したのです。

そのなかに、

「調御丈夫」(ちょうごじょうぶ)

という名前をもっておられます。

簡単には荒馬を乗りこなした、

つまり、人間の煩悩を乗りこなした

ということなのです。

調御、というのは

御者という意味でありますが

荒れ狂う、走り出したら

どこへ行くかわからない、

私たちの煩悩の激しさ、

その煩悩を調えた人ということです。

 

先日、WOWOW放送で、

「西遊記、はじまりのはじまり」

というのをやっていました。

そこには、玄奘は妖怪ハンターとして

登場してきます。

中国の三大妖怪を次々に

おさめていくというストーリーなのですが、

その最初に出てくるのが「沙悟浄」

そしてそれよりはるかに強いのが

「猪八戒」、

大日如来によって閉じ込められて

いるのが、猿の孫悟空です。

孫悟空と玄奘の対決ですが

玄奘は大日経を唱え三昧に入り

その経典の力で、

孫悟空をおとなしくしてしまうのです。

やはり、孫悟空はこの妖怪の中では

特別に強い力をもっている

そのように描かれています。

 

そこで初めて、

玄奘三蔵はこの三人を従えて

経典を求めてインドへ旅立つ

       …

ところがそのエンディングが

Gメン75、あの丹波哲郎が主演の

その主題歌をバックに旅立つという

一瞬、醒めて、

笑いが込み上げましたが

そういう物語でした。

 

まあ、馬も猿も

意馬心猿といわれるように、

激しい動物の象徴のように

扱われているのでしょう。

 

調御丈夫、というように

玄奘三蔵も中国の三大妖怪

という表現ですが

沙悟浄、猪八戒、孫悟空という

人間の根本煩悩の激しさを

そう表したのではないでしょうか、

その三大煩悩を乗りこなした

よく調えておさめた

というところに玄奘三蔵の

修行の力を示しているようです。

 

「意馬心猿」

確かに、

自分の心を眺めてみると

まさに荒れ狂う馬、

心が定まらない猿のようです。

しかし、

三猿のように別な見方もあります。

さる年にちなんで

また考えましょう!!

 

 

 

 

 

 

 


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