本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

縦の糸はあなた 横の糸は私

2018-06-13 21:36:02 | 漢字

 縦の糸はあなた

   横の糸は私

  織りなす布は いつか誰かを

  暖めうるかもしれない  

 

という、歌がありましたが

たて糸は「経」と書き

横糸は「緯」と書きます。

経と緯、

「経緯」は「けいい」とも読み

「いきさつ」とも読みます。

物事のなりゆき、

というような意味になるでしょうか。

 

経と緯が合わさって織物になる

「経」という字も気になるし

織物も衣とか袈裟というものがあって

これも気になる文字です。

 

「経」はお経という子があります

大蔵経とか一切経と、

真言宗では大日経・金剛頂経

有名な経典は阿弥陀経・法華経と

お経というぐらいですから

必ず「経」という字が入っています

昔は、

お経は口伝というか暗記したものを

口伝えに伝えてきました

それが、葉っぱとか板に書き写す

ようになり、

その板の両端に穴をあけ

そこに糸を通して経典とした

そこから、「経」たて糸ということで

経典の意味になったのです。

 

先日の京都新聞

「ソフィアがやってきた」

今回は西陣綴織、伝統の技と美

ということで

西陣爪掻本綴織

にしじんつめがきほんつづれおり

の紹介がありました。

何とも難しい名前ですが、

私たちの着る袈裟で大層高い物に

爪掻本綴織というのがあるのです

「爪掻」というのはどういうものか

気になっていました。

その職人さんの中指の爪を

のこぎり状にしてギザギザを作り

これで横糸(緯)をかき寄せ

織っていくということです。

 

「経」はまっすぐということで

たて糸をぴんと張る

という意味があります

そこから、すじ道とか

きまり、いとなむという意味も

出てきました。

織物もこのたて糸が肝心で

 

 

先日のけいはんな記念公園で見た

たて糸をしつらえる台になります。

ここで大きな設計図が決まり

そこから「杼」(ひ)シャトル

 

 

でいろんな色の緯糸を通し

爪でかき寄せる

そこから微妙な色合いの織物が

作られていくということです。

 

今はユニクロとかで

安く豊富に色々の品が揃いますが

昔は織物というと

このように大変な労力と時間も掛り

とても貴重なものでした

私の子どもの頃のには

祖母たちがいつも縫い繕いする

という光景を見かけたものです

破れたらそれ繕いまた使うという

そうやって大事に使ってきた

ということでしょう。

 

お布施というのも

「布」という字が入っています。

関係があるかどうかわかりませんが

チベットとかでお客に対して

客人の腕に白い布をかけて

歓迎するという習慣があります

また、

皇室でも結納の義とか見ると

鯛と絹の反物が供えられ

坊さんの世界でも

管長さんとかが就任すると

お祝いに絹の反物を三宝に載せて

届けるということがありました。

「布施」も

ダーナといって財を施す

ということが始まりです。

そこに「布」が入るのも

おもしろいと思います。

 

歌は

 織りなす布は

   いつか誰かを

 暖めうるかもしれない 

 

と続くのもなんだか意味慎重な

言葉に聞こえてきます。

 

 

 

 

 

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