「東京ブギウギと鈴木大拙」
という題名の本、
一見どうつながっているのか
不思議な感じでした。
鈴木大拙といえば、
禅を世界に広めた
「ZEN」という世界共通語にした
当院にも「鈴木大拙全集」があって
読まなかったものの、
幼心に名前だけは心のどこかに
残っていました。
鈴木大拙の文に触れたのは
大学の授業の教科書が
「Essence of Buddhism」
(仏教の大意)でした。
ONE is ALL
ALL is ONE
一が全部で全部が一
簡単ながら意味が分からない
それを、
『一即一切 一切即一』
と訳された時は
仏教の言葉を英語に直すと
こんな簡単な文になるのかと
驚きでした。
「東京ブギウギ」は
服部良一作曲、鈴木勝作詞
歌は笠置シズ子
はじけるようななんとも明るい歌です。
笠置さんが落ち込んだとき
何とか明るくしようとして
作った歌がこの歌です。
作詞の鈴木勝さんが
鈴木大拙の息子ということです。
それも実の子ではなく、
勝さんは養子でした。
大拙の奥さんはベアトリスさん
アメリカ人なんですが
真言宗にとても興味を持たれ
高野山とかにも通いながら
勉強されたようです。
亡くなられて遺骨は高野山にも
埋葬され、百か日は東寺で勤められた
という真言宗にもご縁の深い方だったのです。
勝さんはアランという名で
ハーフの方だったのです。
写真で見る限り、俗にいう男前
やはり女性関係が激しく
そのことも大拙を悩ませた
大きな問題でした。
しかし、最初の日米学生会議では
流暢な英語で活躍され、
その端々には大拙の思想が
滲み出ていたようです。
ふとした縁で服部良一とも
親交を深め、そんななかで
作詞の話が舞い込んできた、
なにせ、明るい歌詞にしてほしい
というのが服部の願いだったとか、
軽快なリズムと明るい歌詞
このなかで、注目すべきは
『ブギを踊れば世界は一つ』
というところに
やはり父大拙のが残した
「イースタン・ブディズム」という
仏教が世界共通の学問となる
ようにと願われた一端があるのかも
しれません。
鈴木大拙は文化勲章も頂かれ
洋の東西を問わず知名人ですが
息子勝さんは「東京ブギウギ」
という一曲だけで
日本を席巻されたことは
父大拙に勝るとも劣らない
事業だったのかもしれません。
大拙の晩年、
孫娘の麻耶が「ゼンってなに?」
と尋ねると、
「そのままあるということ、
麻耶は麻耶のままでいいのだよ」
と答えた。
如来の如というか、そのまま
ということは分からなかったかも
しれませんが
この言葉は麻耶さんの心に深く
とどめたことでしょう。
この本は「鈴木大拙」という
仏教の巨人の一内面を覗き見する
ようで、表面には出てこなかった
大拙の一部分に触れるような気がしました。
図らずも、大学に在籍したおり
大谷大学には、
鈴木大拙、曽我量深、金子大栄
安田理深という錚錚たる方々が
在籍しておられたのです。
私にとってはとても興味深く
新たな発見もあり、
その当時の有名な方々の
交友関係も知ることができ
とても面白く、一気に読んでしまいました。
まあ、興味ある方には ですよ
著者 山田奨治
発行所は人文書院です。
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