本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

お浄土からの心地好い風

2021-07-25 20:53:23 | 住職の活動日記

連日の猛暑

ちょっと歩いただけで

汗が噴き出してくる

クーラーの効いている部屋は

汗が出た体には冷たすぎる

ということで

いつものお寺の喫茶店は止めて

本堂にでも上がって

まずお参りしてから、と

とても大きな本堂

何百畳あるのだろうか

一歩入ると

心地好い風が吹いている

クーラーもないのに

汗が引いていく

何と気持ちの良いところだろう

 

知ってか知らずか縁側には

若い人たちのグループが

この涼しさをたのしいでいる

様子です

本堂内には数人の参拝する人

観光できて足早に立ち去る人

 

本堂内を見ていると

マイクの準備をしておられる様子

これから何か始まるのだろうか

それにしては

あまりにも人が少ない

すると

講師の方の名前を書いた看板が

立てられた

聞いたことのある名前

そうだ、大学の先輩です

まあ、これも何かのご縁

聞いていこうと

本堂に陣取り座っていると

 

爺様らしい講師の方が

見えられた

マスクをしているので

顔を見ても思い出せない

しかし、

声は年を取らないようで

声を聞いていると

昔の面影が浮かんでくる

 

その当時は私は修行時代

その先輩はたぶんいいお寺の

後継ぎさんだったのでしょう

身なりも持ち物も気品があった

時たま講義で一緒になった

それくらいの知り合いなのですが

何かしらよく記憶に残っている

 

後で、名乗ろうかと

思っていたのですが

ふと思うとどちらもそれなりの

爺いさまになっている

いまさらお会いしても

名乗ることもないのでは

マスクごしに昔の顔を

思い浮かべて別れることに

したのです

 

今お寺参りをすると

まず、駐車料を取られ

それから拝観料をだして

数件のお寺参りをすると

それなりの金額になります

ところがこのお寺

広いし駐車料もいらないし

本堂参拝も自由です

そして

人がいようがいまいが

法話がはじまる

それにこのなんとも心地よい

風が吹く

 

こういうお寺のあり方も

いいのではないかと

また本来のお寺のあり方かも

考えてみると

拝観料も取らず駐車料もいらない

それだけの経済力をもったお寺

ということはある面

羨ましい気もする

 

三帰依文のプリントが配られ

一諸に唱えてください、と…

この文を読みながら

これが本当のお寺なのだろうか

考えてしまう

この中に仏教のあり方が

示されているように思います

 

本堂で一休みして

お浄土からの心地好い風を頂いて

思いがけなくも

法話まで聞いて

それも昔の先輩の方

とても落ち着いた時を

過ごせたようで

つくずくお寺とはこうあるべき

ではないかと思っていました。

 

 

 

 

 

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