本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

白雲悠々去りまた来る

2009-09-19 08:58:20 | 住職の活動日記
 先日、上映されました 『 レッドクリフ 』

そのとき 「 諸葛孔明 」 を演じていたのは

日本人の 「 金城 武 」 でした。

 高校時分、『 諸葛孔明 』 に憧れて、この人の詩を暗記したものです。


この方の生き方にも 「 人はなぜ生きるのか ? 」

ということを学ぶことが出来ると思います。



  白雲悠々去りまた来る。

  西窓一片残月淡し。

  浮世をよそなる静けい住居。

  出でては日毎畑を打ち、

  入りては机に書 ( ふみ ) をひもとく。

  雪降り乱るる冬の朝 ( あしたに ) に

  風なお冷たき春の夕べに、

  劉備が三顧 ( さんこ ) のこよなき知遇。

  我が身を捨てて報いんと、

  立ちてぞ出でぬ草の庵を。

  天下を定むる三分 ( さんぶん ) の計。

  掌 ( たなごころ ) の上に指さすがごと、

  礎かためし蜀漢の国。

  漢中王はおごそかに、帝の位をふませ給いぬ。

  二代の帝に尽くす真心、

  強敵ひしぎて世を鎮めんと、

  三軍進めし五丈原頭 ( ごじょうげんとう ) 。

  儚く夢と消えしかど、

  その名は朽ちせず諸葛孔明。 」


 諸葛孔明はあの戦乱の世の中に生きて、いろいろな思想にふれ、

またあらゆる苦労を経て、そして、やはり時分はこの苦しい娑婆世界を捨てて、

晴耕雨読、雨が降れば机に向かって書物を紐解き、

天気のよいときには外に出て畑を耕すという、

静かな生活を営みたい、ということで、田舎暮らしをしておったのです。

 そこに、蜀漢の劉備が 『 三顧のこよなき知遇 』、

三回も使いをよこして、

「 どうかわが国の軍師になってください。」

と、礼を尽くしていってこられた。

諸葛孔明はこのことに感激して、自分の隠遁の庵を捨てて、

蜀漢の国に赴き、そこで二代の帝に仕え、最後に

五丈原頭で儚く露と消えていったのです。


 人間は晩年を静かに暮らしたいと思うにもかかわらず、

なぜ諸葛孔明のように、年をとってでもそうしなければならないのか。

 それは諸葛孔明のいうように、

「 我が身を捨てて報いんと…、」

本当に自分を捨てる場所、誠を捧げる場所が欲しい、

というのが人間の深いところでの願いなのでしょう。


 このような考え方は、今の時代には合わないかもしれませんが、

本来誰でも心の底に持っている、願いなのです。


 『 レッドクリフ 』 も、そこのところをもう少し表現して欲しかったと

思います。

 高校時代はそこのところの深い意味はわからず、

ただ言葉の響きが好きで、暗唱したものです。



  
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