本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

善哉! ぜんざい!

2019-01-13 20:17:27 | 住職の活動日記

一休さんの誕生日は1月1日

ということもあってでしょうか

1月の月末

一休さんのお寺一休寺・酬恩庵では

坐禅の会と

善哉の接待があるそうです

一説には、

一休さんが善哉を広めたとか

大徳寺を訪ねた折

住職からお餅の入った小豆汁を

ご馳走になった

たいそう美味しくて

「善哉、此汁」

(よきかな、この汁)

と言われたところから

「善哉」になった。

ということです。

 

また別には

出雲地方では11月の神在月で

振る舞われた神在餅(じんざい)が

訛って、「ぜんざい」になった

という説もあるようです。

 

そういえば

明日の14日は

東寺で勤められている

「御七日御修法」の結願日

真言宗で一番大事なお勤め

御所から御衣が来て

それを1週間後祈祷するという

行事です

前七日は神式で行われ

後の七日は仏式で勤められます

午後1時ごろから道場公開があり

その時のお供えを見られと

(昔と変わらなければ)

茹でた小豆に砂糖をかけた一皿

その横にはお餅があり

つき仏供という御飯

干し柿と榧(かや)の実が

あります

茹でた小豆にお砂糖をかけ

餅を入れれば、善哉になります

 

昔から小豆は貴重で

徳に目出度い時に頂いたのでしょう

当院でも

毎月の28日のお不動さまの

お接待はお赤飯です

昔は大きな蒸籠で蒸していましたが

蒸籠も壊れてしまい

今では焚きおこわとして

お出ししています

 

「素人は

 小豆と生糸には手を出すな」

ということが言われていたそうです

石炭は「黒ダイヤ」といわれ

小豆は「赤いダイヤ」といわれた

ということです

先物取引としてそれほど

小豆は難しかったのでしょう

 

子どもの頃は

甘いもののない時代

小豆を焚いて砂糖を入れた

あんこというのは最高の

ご馳走だったのです

ですから、牡丹餅とかおはぎ

ヨモギ餅とかなにせ餡を入れた

物は最高のおもてなしでした

 

そういえば

安田先生も「御座候」がお好きで

講義の前には必ず準備したものです

所によっては「今川焼」とか

熊本では「回転焼き」というように

いろいろよび方はありますが

中に餡を包んで両面を焼いた

というものです

 

しかし、

元々はお経の言葉ではないかと

思うのです

いつも読んでいる『理趣経』の

最後には

「善哉、善哉」という言葉が

出てきます

きれいな節を付けて読むのですが

これは

お経を編纂した時

(結集けつじゅう、といいますが)

いろいろ聞いた人はいるのですが

一つにまとまったものとしては

出来てこないのです

そこで、阿難の登場ですが

阿難尊者は聞くだけは

聞いていたのですが未ださとりを

得ていないということで

結集には参加できなかったのです

しかし、肝心なところがどうも

わからない

そこで阿難に尋ねると

「如是我聞」と

私に於いてはこのように

承りました、と

この我というのは阿難のことです

我というのも厳密には主格ではなく

インストルメンタル・具格

私に於きましては、と

非常に謙虚な立場で言われています

おれがこう聞いた、とは

おっしゃらないのです

 

そこで

阿難の話されることを

みな静かに聞いて

最後に、その通り!その通り!

(サドゥー!・サドゥー!)

善き哉!善き哉!と承認された

それでみんなで大変喜んで

仏の修行へと邁進した

という流れで

お経が締めくくられています

 

このように

善哉ということは経典では

大変重要な言葉ですが

どこでどうなって

「ぜんざい」という食べ物の

名前になったかは、

一応一休さんとはいうものの

はっきりとこうなったとは

言いがたいものがあります

 

まあ、こんな美味しいものは

他にはない

善き哉・善き哉と言ったところ

からと、

単純に思った方が

いいのかもしれませんね。

 

 

 

 

 

 

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