お袈裟 糞掃衣 ( ふうぞうえ ) ともいいます。
お釈迦さまのご在世当時、着ておられる着物は 『 袈裟 』 といいました。
これは今のように立派なものではなく、
糞掃衣とも言いますように、トイレ掃除したあとのぼろぎれを
綺麗に洗濯して、次ぎ合わせて着たのがその始まりです。
「 袈裟 」 とはインドの言葉です。
kasaya ( カーシャーヤ ) という言葉がそのまま 「 ケサ 」 となったのです。
だから、袈裟は一枚の布をそのまま使うのではなく、
わざわざ、細かく切って、それをまた縫い合わせて作ります。
ここに一枚の古い袈裟があります。
私が東寺にいる頃、三浦先生よりお古を頂いたのです。
そして、御影堂の10年間この袈裟を愛用して、護摩を焚きました。
そのあと、崇正が、醍醐の伝法学院で寮監をしていたときに、
更に一年着用していました。
ご覧のように、本来の継ぎ接ぎの袈裟が更にまた、
継ぎ接ぎだらけになって、こうやって生き延びてきました。
もう捨ててしまえば、お役ごめん !! ありがとうございました。
というところでしょう。
お釈迦さまのお弟子さんに、とても物を大事にする方がおられて、
お弟子になって、袈裟を頂かれて、 それを大事に …
数十年たっても、更に大事に …
しまいに、お袈裟はだんだん、継ぎ接ぎが継ぎ接ぎを重ねて、
とても重そうに、大きく膨れ上がってきたそうです。
見るに見かねて、お釈迦さまも、
「 モノを大事にするのはいいけど、
そこまでしなくてもいいだろう。
新しく作り直したらどうですか。 」
と、おっしゃった。 という話があります。
この袈裟も、そこまではいきませんが、
本来の袈裟のように、継ぎ接ぎも増えてきました。
どうしようか と考えたのですが、
恥ずかしいけれど、もう一度、衣店に修理をお願いしてみようかと思います。
「 買ったほうが、安いですよ !! 」
と、言われそうですが、
自分にとっても歴史でもありますし、
三浦先生から頂いたということもあり、
また、崇正が着用してくれれば、生きるのではないかと。
kasaya とは 壊色とか不正色、美しくない汚れた色
ということが本来の意味のようです。