本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

「 柿が赤くなると医者が青くなる 」

2011-10-31 21:01:56 | 住職の活動日記
 というような諺がありました。

それほど 「 柿 」 にはビタミンとか栄養が豊富なのでしょう。


 結願成就の御礼に柿のお供えをいただきました。




    




 「 太秋柿 」 という品種です。

調べてみると、熊本が原産のような 「 柿 」 です。

富有柿とか花御所とかいわれる品種の掛け合わせでできたもので、

柿としては最近の種類のようです。

 シャリシャリ感があって、糖度も高いということです。

  ( でも、一応お供えしてからのお楽しみです。)




    




 いわれてみると、色艶もよく、ふっくらとした感じもおいしそうです。


お供えしたのですが、ふと考えると、どちらを上にお供えしたらいいのでしょう。

「 リンゴ 」 などは当然、形からして 「 蔕 」 ( へた ) が上です。

何気なく、蔕を下にしてお供えしました。

この方が収まりがよかったのです。

 しかし、考え直して、蔕を上にお供えしてみました。




    




 柿の景色からすると、蔕が上の方がおもしろみがあります。


本堂には今のところ、左右対称に蔕が上と下と両方の姿でお供えしています。


 『 柿 』 もおもしろい果物で、日本固有の果物のようです。

そして、いろいろな利用の仕方があるのです。

葉っぱも蔕も種も捨てるところがないくらい利用価値はあるようです。

また、渋柿もその渋の使い方も昔の方はよく考えて利用しておられます。

私の頭陀袋も 「 柿渋染め 」 になっています。


 それから、古来より、お供え物の菓子といったら 「 干し柿 」 でした。

東寺で毎年行われている 「 後七日御修法 」 という法要の時は

お菓子といえば 「 干し柿と萱の実 」 が供えられます。


 今ではあまりしなくなりましたが、子どもの頃はよく柿を取りに行って、

渋柿にあたり、あの何ともいえない食感は忘れることができません。

そういえば、今の若い方は 「 渋味 」 という味は経験がないのかも知れません。


 「 渋柿の 渋そのままの 甘さかな 」


という歌もあります。

 渋を噛んだとき、口の周りに広がる吐いて捨ててしまいたいような 「 渋 」

それが、日に照らされ風に吹かれて絶妙の味になるのでしょう。


 私たちの煩悩も渋のようなもですね。

どうにもならないものでしょう。

悲しみや辛さ苦しさに耐えて、絶妙な何ともいえない人の味に変わっていくのでしょう。


 また後日、皆さんにもお裾分けして頂戴いたします。

                             








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