喜多院法興寺

住職のひとりごと

大関昇進で琴奨菊関は万理一空と決意の口上

2011-09-29 06:28:14 | Weblog
9月29日付 編集手帳 読売新聞
 {『五輪書』を入社試験に出題したところ、「オリンピックの本」と答えた青年がいた――と劇評家の戸板康二さんが随筆に書いている(岩波現代文庫『歌舞伎ちょっといい話』)
◆“剣聖”も泉下でずっこけそうなご時世だが、そうがっかりなさることもない。大関昇進を伝える日本相撲協会の使者に、関脇・琴奨菊関(27)は宮本武蔵の兵法書から〈 万理一空 ( ばんりいっくう ) 〉の一語を借りて決意の口上を述べた。
◆『兵法三十五箇条』にある。〈全身全霊〉(白鵬)や〈力戦奮闘〉(琴光喜)など、過去の大関昇進時に用いられた四字熟語よりも深遠にして難解である。
◆武蔵いわく〈万理一空の所、 書 ( かき ) あらはしがたく 候 ( そうら ) へば、おのづから御工夫なさるべきものなり〉。自分で考えよ、と。心身の鍛錬と、技の工夫と、すべての筋道(理)をたどり尽くし、無我(空)というただ一つの境地に至れ…。わが、なけなしの知恵で相撲道にあてはめれば、そういった意味にでもなろうか。
◆右手と左手で相手のまわしをがっちりつかみ、激しく揺さぶりながら寄っていく。土俵上の“二刀流”とも言うべき「がぶり寄り」の前途に、幸多かれ。}

 久々の日本人の大関誕生で、人気回復の起爆剤として琴奨菊関の期待は大きい。満場一致で大関に推挙され、昇進を伝える日本相撲協会の使者に、関脇・琴奨菊関は宮本武蔵の兵法書から〈 万理一空 〉の四字熟語を引用して決意の口上を述べた。この万理一空を引用した訳は祖父の事を忘れず感謝を込めて名前の一字である一の入った万理一空の四字熟語に決めたらしい。宮本武蔵の剣を極めた奥義であり奥が深い言葉だが、相撲道を一心不乱に突き進んで、横綱を目指して欲しい。