喜多院法興寺

住職のひとりごと

大震災で取り乱さず、人を思いやる日本人

2011-09-16 06:29:32 | Weblog
9月15日付 よみうり寸評
 {明治期に来日した小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の作品群からは、晩年を過ごした日本に対する深い愛情が伝わってくる。
◆「日本人の微笑」では、横浜在住の英国人が語った〈奇妙な話〉が紹介されている。夫が死んだので葬式に行かせてほしいと、日本人家政婦がにこにこ笑いながら頼んできたというのだ。
◆八雲は、相手を気遣ってほほ笑んだと読み解き、心情を代弁する。〈わたしの不幸などという、取るにたらないことを申し上げて、まことに失礼いたしました〉(新潮文庫「小泉八雲集」所収、上田和夫訳)
◆東日本大震災では被災者の冷静な態度が世界中で称賛された。悲しみに耐え忍ぶ家政婦は、120年の時を超え、被災者と重なり合う。
◆「取り乱さず、人を思いやる日本人の姿を見て誇りがわき上がった」。日本文学研究者のドナルド・キーンさんも被災者の姿に感銘した一人だ。
◆震災を機に日本永住を決めたキーンさんは今月、日本での生活を始めた。その柔和な眼差(まなざ)しは、どこか八雲を思い起こさせる。}

 外国人から見ると東日本大震災では被災者の冷静な態度に、驚くとともに感銘した。愛別離苦は四苦八苦の中でも一番悲しいことであるが、喜怒哀楽を日本人は余り出さない。昔から人前では泣いたり怒ったりする事を戒められてきた。本当は悲しいときは我慢せず、泣くだけ泣いた方が、悲しみをぬぐい去ると思う。当事者にならないと、この感情は難しいし、冷静な態度を取れるか自信がない。