喜多院法興寺

住職のひとりごと

干しシイタケの放射能、事故前から「ゼロ」でない

2012-04-29 06:39:23 | Weblog
4月28日付 よみうり寸評
 {熟年以上の読者なら記憶にあるだろう。1950年代から70年代にかけて米ソ中などが大気圏での核実験を繰り返し、日本でも「放射能が降る」と騒がれた。
◆当時の子供は「外で遊ぶな」「雨にぬれるな」と注意された。特に日本の風上にある中国の核実験は心配の種で、気象庁が予報を出して警戒を呼びかけた。
◆その影響を文部科学省が継続して調べている。ネット上に公開されている調査結果を見ると、例えば1991年には干しシイタケから1キロ・グラム当たり24ベクレルの放射性セシウムが検出された。
◆昨年の原子力発電所の事故前も様々な食品で放射性物質が見つかっている。今月導入された国の規制値1キロ・グラム当たり100ベクレルを下回るが、ゼロではない。
◆原発事故後、一部の小売店が「食品中の放射能ゼロ」といった独自基準を設けていることに、政府が、規制値は十分に安全で信頼してほしい、と呼びかけている。
◆不安解消は容易でないが、事故前から「ゼロ」でない放射能は身近にあったことも知っておきたい。}


 食品の国の規制値1キロ・グラム当たり100ベクレルを下回っていれば、安全としたが、一部の小売店が「食品中の放射能ゼロ」といった独自基準を設けていることで、かえって不安を与えているのではないか。原発事故以前にも放射能が検出されていた現実を知らなかった。今回のことで、神経過敏になりすぎているのではないのか。



小沢元代表「違法認識せず」無罪認定?

2012-04-27 06:21:42 | Weblog
4月27日付 編集手帳 読売新聞
 
{白はめでたいしるし、 瑞 ( ずい ) 祥 ( しょう ) とされる。奈良時代には白いキジが献上されたのを喜び、「 白雉 ( はくち ) 」と年号を改めた例もある。
◆キジがめでたいのだから白いカラスも…と思えば案外で、江戸期の随筆集『 甲子夜話 ( かっしやわ ) 』によると〈城、枯らす〉で忌み嫌う武家もあったという。白ければ万々歳、でもないらしい。
◆こちらの「白」はさて、瑞祥か、凶兆か。元秘書のひな鳥三羽ガラスはすでに有罪の黒判定を受けているが、親鳥は白の判定である。政治資金規正法違反に問われた民主党の小沢一郎元代表に、東京地裁で無罪が言い渡された。
◆感激に水を差すつもりはさらさらないが、小沢氏はこれまでただの一度も国会の場で疑惑の釈明をしていない。国会は政治家の神聖な「城」だろう。疑惑には、刀と 鎧 ( よろい ) の代わりに弁舌をもって身の潔白を証し立てる“問答有用”の伝統がある。「問答無用。法廷がすべて」式の前例が国会の自浄能力を損ない、〈城、枯らす〉懸念は拭えない。
◆復権の足場を得た小沢氏は、国会に紅白の幕でも飾りたい心境だろう。死語になりゆく「政治的・道義的責任」を弔うには、白と黒の鯨幕が似合う。}

 小沢一郎民主党元代表の判決で東京地裁は、秘書との共謀について、ほぼ全面的に認め、主要な争点での小沢元代表側の反論をことごとく退けた。その上で、ほとんど争われていなかった点を挙げ、元代表が違法性を認識していなかった可能性を指摘し、無罪の根拠とした。
 あらゆる可能性を想定し、その全てを否定できない限りは有罪と認定できないとも受け取れる内容で、収支報告書の虚偽記載罪の共謀成立について、極めて厳格な証明を求めたと言える。全部秘書のせいにして、自分はしらを切り無罪になって、政治家を続けられるのに納得がいかない。

 

 

「がん探知犬」マリーンが早期がん発見

2012-04-25 06:41:44 | Weblog
4月25日付 編集手帳 読売新聞

 {いまの京都府、丹波の国で犬が 狢 ( むじな ) (アナグマ)を食い殺したところ、狢の腹から 勾玉 ( まがたま ) が出てきた。飼い主が朝廷に献上したと、『日本書紀』(巻第六)にある。犬の名を「 足往 ( あゆき ) 」という。
◆狢の体内に宝物のにおいを嗅ぎ取ったのか、どうか。正史に名前の刻まれる栄誉に浴したのだから、大変なお手柄なのだろう。足往君も、しかし、マリーンさんには 兜 ( かぶと ) を脱ぐに違いない。
◆雌のラブラドルレトリバー、10歳である。子宮がんなど婦人科がんでは、マリーンが患者の尿からほぼ確実にがんを嗅ぎ分けたことを日本医科大学千葉北総病院、宮下正夫教授のグループが判別試験で確認したという。
◆自覚症状のない早期がんも嗅ぎ分ける。マリーンの感じ取るにおいの物質を見つけることで早期発見の技術につなげることができるならば、どんな宝物にもまさる“鼻のお手柄”だろう。
◆〈 犬類 ( けんるい ) に 金木犀 ( きんもくせい ) の花の 香 ( か ) はいかにかひびくこのゆふぐれに〉(小池光)。わが愚鈍な鼻にさえ、花の香りは響く。春 爛漫 ( らんまん ) の花の季節、濃縮ジュースを薄めずに飲むのにも似た苦痛がありはしないか…と、誉れ高き“犬類”の鼻をふと案じる。}


 千葉県南房総市内の専門施設で訓練を受けた雌のラブラドルレトリバー「マリーン」は
子宮 頸 ( けい ) がんや卵巣がんなど5種類の婦人科がん患者43人の尿では、すべてがんと判定。子宮筋腫など、がん以外の婦人科疾患29人の患者の尿では、1人分を誤ってがんと判定したが、それ以外は間違わずに嗅ぎ分けた。宮下教授は「自覚症状がない早期がんでも嗅ぎ分けられる。犬が感じているにおい物質を特定し、早期発見の技術につなげたい」と話している。







放鳥したトキに、ひなが生まれた

2012-04-24 06:44:40 | Weblog
4月23日付 よみうり寸評
 {〈悲願成就〉の表現が少しも大げさではない。自然界でトキの卵が36年ぶりに孵化(ふか)したということ◆学名「ニッポニア・ニッポン」は日本を象徴する鳥を意味する。が、その名に背いて、日本産最後のトキ「キン」は残念ながら、2003年に死んでいる◆「佐渡の空に再びトキのはばたきを」の悲願は、中国産トキのペアによる人工繁殖を重ね、2008年9月、ようやく放鳥にこぎつけた。以来、5回、計78羽を放鳥した。10年に5組、11年に7組が産卵はしたものの孵化には至らず、今回初めて自然界での孵化が確認された◆かつては日本全土に生息していたというトキ。ニッポンのつく学名の由来は江戸時代にドイツ人医師・シーボルトが帰国の際、持ち帰った標本にさかのぼる◆明治の半ばまでは佐渡でもトキ汁など食用になっていたといい、美しい羽は仏壇のほこり取りなどに珍重されたと伝えられるが、乱獲が絶滅へと向かわせた◆放鳥トキのひなは誕生したが、なお天敵などの試練が待つ。克服を切に祈る。}

4月24日付 編集手帳 読売新聞
 {俗謡にある。〈 可愛 ( かわ ) いわが子に旅させ親御  憂 ( う ) いも 辛 ( つら ) いも旅で知る〉。親は子供に代わって人生を闘ってやることはできない。できるのは闘い方を教えることだけである。あとは自力で苦難を乗り越えてくれると信じ、旅立ちを見送るしかない◆寒くないか。ひもじくないか。敵に襲われていないか…。巣づくりや抱卵の訓練を受けて自然に帰ったトキを見守る日本人の誰もが、“親心”を胸にこの日を待ちかねていたはずである◆新潟県佐渡市で放鳥したトキに、ひなが生まれた。自然界での 孵化 ( ふか ) は国内では36年ぶりという◆放鳥のトキが可愛いわが子ならば、「可愛い初孫」を慈しむような目でひなの写真に見入った方もあろう。自然界には天敵のカラスやテンもいて、子育てはまだまだ気が抜けないという◆歌人の 宮 ( みや ) 柊 ( しゅう ) 二 ( じ ) さんに長歌『 朱鷺 ( とき ) 幻想』がある。〈絶えゆかむ命をつなぎ、種の持続、 僅 ( わず ) かに残す、Nipponia nippon、幻の鳥その悲しみのごと…〉。心配するだけで何も手伝ってやれない。幻の、という形容が過去のものになる日まで、せめてわが子、わが孫の、旅の前途に天の恵みあれ。}

 日本で絶滅した、中国産トキのペアによる人工繁殖を重ね、2008年9月、ようやく放鳥にこぎつけた。自然に帰ったトキに放鳥したトキに、ひなが生まれた。自然界での 孵化 ( ふか ) は国内では36年ぶりという。天敵のカラスやテンから逃れて無事に成長することを祈りたい。


海外以外に危険〈 蚊意外 ( かいがい ) にキケン〉

2012-04-23 06:22:57 | Weblog
4月22日付 編集手帳 読売新聞
 {〈 蚊意外 ( かいがい ) にキケンあり〉〈動物とは離し上手〉に〈鳥扱い注意〉。何のこっちゃ、と思うでしょうが、海外旅行が増加するゴールデンウイーク(GW)を前に、厚生労働省が作った感染症予防ポスターのキャッチコピーである。
◆ 親父 ( おやじ ) ギャグ、ふざけ過ぎ、と 揶揄 ( やゆ ) されることは多分、厚労省も 端 ( はな ) から織り込み済みだろう。うまく術中にはめられたようだ。この際だから啓発のお手伝いをする。
◆蚊が媒介するマラリアなどが、熱帯や亜熱帯で流行しているという。虫よけスプレーなどで対策を。狂犬病も侮れない。犬だけでなく猫やコウモリにかまれて発症することもある。素性のわからない動物からは離れることだ。鳥インフルエンザへの警戒も重要。鳥が売買されている所には近づかないように。
◆厚労省の取り組みに力が入るのも、今年のGWは海外旅行に出かける人が56万人を超え、過去最高に迫ると見られているからだ。曜日の位置が良く、円高メリットは大きい。震災の自粛ムードが薄らいだ面もあろう。
◆指折り数えて出発を待っている皆さん、どうかお気を付けて。そして旅先では、震災支援に御礼の言葉を。}


 4月中に田植えを終わらせ、ゴールデンウイークには、家族と旅行を楽しむように、今は農家は忙しい。旅行も九州や北海道に行くよりも、海外旅行の方が安いというので、みんな出かける。海外での食事時の水には注意が必要だ。ミネラルウォターを持参か、ビールの方が安全だ。その他には蚊に刺されないように、虫除けスプレーは必需品だ。日本と違い危険な所には行かない、触らないのが一番だ。