TENNIS COACH DIARY

ハンサム木全のたわごとです

クラブ移籍(1423)

2008-12-02 00:57:16 | tennis
 Sがクラブを移籍することになりました。

 実は恐ろしいもので、Sの試合を小さなころから見てきているので、最近では試合中にそのプレーを見るだけで何を考えているのかすべてわかってしまいます。中牟田杯が終わってからの練習の時の様子と、白子で行われた全日本選抜室内関東のプレーで、ただ風邪と熱でプレーがおかしいわけではないと、感づいてしまいました。Yたろうのヒントもありましたし。

 今のうちのクラブには、ボールを打ち合える相手がいない。しかし、そんな事を全く言い訳にすることなく、かなり格下の相手と黙々と練習していた姿は、2回の全国大会優勝ともあいまって、私をはじめ、多くの後輩ジュニアの心に影響を与えました。そんな彼が最終的に下した決断ですから、軽々しく上達しないのを環境が悪いせいだと言い訳して出て行くのとは性質がまったく違います。

 移籍する先のヘッドコーチと私が、あまり仲が良くないのをSはよく知っていましたから、なおさら心を痛めたのだと思います。「これからも、今までとかわらないつきあいで、試合会場では声かけてほしいです、キッズカップなんかもお手伝いにいきますから」…と言ってきた言葉には悲壮感がただよい、他人の心を気遣う少年がいつもどおりそこにはいました。(仲間のジュニアなんかには、練習中「死ねっ」とかよく言ってましたけど…それも愛のムチだとみんな気づいてました)

 少なくとも、私からは彼のプレーはまだまだへたくそな所が多く…そういう間は教える事があると私は思っています…10年前から先回りをしていた勉強の貯金がわずかに残っていました。しかし、この勢いで上達を続ければ、近い将来、貯金もなくなる事はわかっていましたし(もっともっと勉強しなくてはいけないなぁ)、彼と互角以上に打ち合えるコーチをクラブに雇うだけの機はまだ熟していません。コーチというものは、いつまでも選手を自分のところに置いておきたいと思うのが人情ですが、そのことにより選手の成長を妨げるのであれば、そんなわがままを通すべきではないし、暖かく次の指導者に手渡すべきだといつも思ってやってきました。主人公はコーチではなく、選手自身ですからね。

 と、平気を装っていますが、ゆうべはあまり眠れませんでした。彼との思い出がたくさん思い出されたからです。でも、コーチと生徒の悲劇的な別れもある中、信頼関係がかわらぬまま、他のクラブへ送り出せるというのはすばらしいことです。けんか別れはとてもつらいですからね。過去には辛い別れもいくつかありました。

 
 というわけで、これからも成長を暖かく見守り応援しています。志を高く持って、世界に通用するプロを目指してほしいと思います。そして、私のほうは私のほうで、より良い環境つくりをがんばっていきたいと思います。競争ですね。

 うちのクラブのみなさんへ、この場を借りてお知らせしますが、彼のK-Tennis Trainingでの練習は11月をもって終了しました。12月4日の練習の終わり頃に、最後のあいさつに来るそうですので、みんな来てくださいね。そして、これからの彼の活躍をクラブは変わっても応援してあげてください。



 ちなみに、Sのブログでタイトルが「クラブ移転」となっていましたが、うちのクラブはどこにも引っ越しませんので!

コメント (2)
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