ゴールからスタートへ

2013-02-03 17:18:32 | 大分トリニータ


「免許証は持った?」
「携帯は?」
「忘れ物はない?」

結婚して32年間、毎朝この声を背に
会社に向かった。

真面目に聞く日もあれば
「俺は子供か」と心の中で反発する日もあった(笑)
又、「はいはい、持った持った」とカラ返事をしながら会社に着くと
見事に携帯を忘れていたなんていう日もあった。

しかし、妻がいつも最後に言うことば
「事故は絶対に起こさんでな」。
このことばを忘れた事はなかった。

焦っているときほどアクセルを踏まずに
ブレーキに足をかけるようにした。

そのおかげで今日まで無事故でやってこれた。
妻のおかげだと感謝している。

2月2日。

今朝もその声に押されて最後の仕事をした。

午後9時。

誰もいなくなった事務所。

神棚に向かって今日全員の無事を感謝し
頭を下げた。

PCを閉め、机の中、ロッカーの中を確認する。
1週間前から整理していたため私のものは何も無く
カラッポになった引き出しが次の主を探しているようだった。

窓をチェックしエアコンを消した。

外に出た。

鍵を閉め、真っ暗になった事務所を見つめた。

私達親子4人の生活を支えてくれた会社に
改めて御礼を言った。

「ありがとう」

頭を下げた。

いろんな想いが込み上げてきた。

苦しかった事?
辛かった事?

・・・・・・忘れてしまった。

楽しい事だけしか思い出せなかった。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





明日2月4日、会社の仲間が送別会を開いてくれるという。

この仲間は本当に最高の仲間だった。

よくケンカをした。
口ゲンカはもちろんあわや取っ組み合いのケンカまで
いきそうになった事もあった。

しかしその何倍も何十倍も冗談を言い合い、良く笑い
お互いを助け合ってきた。

10年前のことだ。

私が夜の8時に会社に帰るとみんなが残っている。

不思議そうな顔をしている私にある1人が
クス玉を持ってきて紐を引っ張るようにと言う。

言われるままに引っ張ると中から
「50歳の誕生日おめでとう」と書かれた
小さな垂れ幕が出てきた。

ビックリする私に別の1人が大きなケーキを
持って来た。

「ローソクを50本用意しようかと思ったが
さすがにケーキ屋さんに悪いと思った」と言う。

大笑いの中でみんなでケーキをほおばった。

甘いはずのケーキがしょっぱかったのを覚えている。

そして最高といえば私は最高のお客様ともめぐり合う事ができた。

今年になって私の担当のお客様に定年退職の事を切り出すと
多くの方が驚きいろんなことばをかけてくれた。

「若いのにもったいない」と言ってくれた人。

「絶対にやめさせん」と言ってくれた人。

「会社とは別に送別会を開くけん」と言ってくれた人。

「やめるんならうちに来て働いてくれんか」と言ってくれた人。


本当にありがたい事だと思った。

そのことばの一つ一つを一生大事にして
いこうと思った。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


       2月2日。

この日が私にとってゴールラインであり
又、スタートラインでもある。

だから絶対に涙は流すまいと思っていた。

午後9時半、家に到着。

「ただいま」と言うが誰も返事をしない。

その時だ「パン、パン」というクラッカーの音。

つづいて「定年退職、おめでとう」の声。

家族みんなからのサプライズだ。

これは泣けた。

そしてハート型に書かれたみんなからのメッセージ。

今日のこの日まで支えてくれた妻と子供達に

そして、今日まで仕事を続けてこれた体に生んでくれた
今は亡き両親にも感謝をしたい。
      
         

        「ありがとう」


奥様から








娘と旦那から







息子から








お嫁ちゃんから






息子夫婦から(ボケないように?)  (笑)






息子夫婦から・・ありがとう


































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