神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

高宮神社

2008年05月23日 | 滋賀県
滋賀県甲賀市信楽町多羅尾

地形図を見ていて、集落から随分と離れた山中に、ぽつんとある神社記号を見つけた。
山頂や、滝のある場所を除けば、人家からこれだけ離れている神社も珍しい。今の時代、徒歩で参拝に来る人は皆無に近いのではないかと思われる。
そんな山の中にある神社のことであるから、あるいは荒れ果てているのでは、という危惧もあったが、近くにある「神有」という地名が目を引いた。この字面はタダナラヌという気がするし、それはともかくとしても、地形的には西向きの谷間ということで、私にとっての理想的なものである。参道も50メートルくらいはありそうだ。
と、私としてはこれだけの理由で行くには充分なのだが、調べてみると、荒れ果てているどころか相当な歴史のある神社であるらしい。
本殿は国の登録文化財だし、創祀は2000年前であるとか狼の伝承などがあって、なかなかに興味深い。
けれど私は、やっぱり山懐に抱かれた清澄な空間、というところに強く惹かれるのである。



農道のような林道のような狭い砂利道を暫く進むと神社前。
のどかで明るい谷間の風景から、「しん」とした空気に変わる。


二の鳥居。
鳥居の背後から、微妙に朝の光が入ってくる。西向きの谷間を好むのは、この微妙な光加減に出会うためでもある。


二の鳥居越しに本殿覆屋。


石段を上って左手には杉の大木。それを見上げると同時に、境内に満ちた淡い光に触れる。


本殿は極彩色で、しかも変わった色合いだったのだが、暗くてまともに撮れず。


本殿左手の境内社。鳥居の扁額には睦備神社と書かれていたが、聞いたことの無いものだ。


境内左手の森。
主に植林帯であるが、こんな大木もあった。


2万5千分1地形図 島ヶ原
撮影日時 080508 7時~7時40分

駐車場 あり
地図


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
きましたね (era)
2008-05-23 20:47:02
これが元伊勢候補地の高宮神社ですね。写真みるの
初めてです。参道が素晴らしいですね。
なんか氏子さんとか少なさそう!きっと清涼な空気
な場所でしょうね。元伊勢に興味あるので参拝す
るときに参考にしま~す。

式内社 たしかに、ほとんどの人が知らないと思
いますね。武蔵の式内社の稲乃賣神社という神社が
ありまして、まぁ式内社の風格ゼロって神社なんで
すが、神社の前にすむ、おばさんが式内社という
言葉は知らない様子でしたが、ものすごく由緒が
あるってことだけは知っていましたね。
ホント国の決めた格とか難しいことは一般の人に
は無縁ですよね。まぁ地元で大事にして欲しいもん
です。

熊鞍神社 うわヒットしない!そそるなぁ。こうゆ
う式内社に行って伝承聞いて御朱印もらうの萌え。

72対8 ふふ。自分の経験上、この手の差はすぐに
ひっくり返りますよ。

hiro1jzさん&uziさん
鴨大神御子神主神社の生鳥居は二本の木に注連縄
をかけるんですよ。たしかに道きりに似てると
思いますよ。
現在神社の社家さんは主婦なので磯部稲村神社の
神主さんが兼務してます。この神主さんから色々
教えてもらいました。
この磯部稲村も面白いんですよ。鹿島神宮が押さえ
込んでいる鯰の尻尾は、この磯部稲村神社の要石
で封じているなんて話です。
関西の方では鹿島神宮の鯰はマイナーな話?
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Unknown (幽黙)
2008-05-23 23:29:25
なんたる厳かさでしょうか
覆い屋もまた巨大というか
覆い屋そのものがいい造形になっていますね
睦備神社とはまた珍しげな名前ですね
ただ睦神社ならまだ散見されるのですが…
「睦」は動詞「睦む」の名詞の「睦み」
なのでしょうけれどこれは「睦び」と
なることがあるので
「睦備」と充てられているのかもしれませんね

熊鞍神社と書かれているのは
熊按神社でしょうか?
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Unknown (hiro1jz)
2008-05-24 09:51:05
>uziさん
パソコンの画面を見てガックリは、私もしょっちゅうです。
ゴミなどには注意しているつもりなのですが・・・。
以前、とある神社では、あまりに参道に枯葉が多かったので、
竹箒を拝借して掃除してから撮影したことがあります(笑

私も体裁としては、ホームページの方が見る分に優れていると思うので、
ブログの短所を軽減するための苦肉の策が「掲載神社一覧」となりました。
が、やっぱり活用される方は少ないです。


>eraさん
まずは謝罪を。
幽黙さん御指摘の通り、熊鞍ではなく熊按神社です。
検索してもヒットしないはずです・・・すみません。
ちなみに読みは、「くまくら」でも「くまあん」でも良いらしく、
現地の由緒書きの看板では、両方の読みが書かれていました。
ただ一般的には「くまあん」の方らしく、「くまくら」は括弧書きでした。

やっぱり道切りっぽいですか。素朴で味わい深そうですね。
鹿島神宮の鯰、全く知りませんでした。
でも茨城って、けっこう地震が多いイメージが・・・。
私が知らないだけで、マイナーかどうかは判りませんが、
関西では鹿島信仰自体が少ないですね。
鹿島神社の半数は茨城県に集中しているようで、
私が行ったことのある鹿島神社も一社のみです。


>幽黙さん
そちらもどんどん被らせてください。
私自身、新たな発見や、他の人の視点が見られて楽しいです。
大川瀬の住吉神社は、大龍神社で出会った地元の人に奨められました。
工事がいつまでかかるのか確認出来なかったのですが、
もう一度、必ず行こうと思わせる社殿でした。

覆屋も特徴的ですが、やはり本殿を載せたかったです。
通常、極彩色が施される場合は朱塗りがベースだと思いますが、
ここのは黒っぽく塗られてました。
屋根の葺き方も変わっているようです。
睦び、だとすると、凄く親しみがあって柔らかく温かい神社の印象ですね。
祭神が判ればいいのですが・・・。

御指摘の通り、熊按神社が正しいものです。お恥ずかしい限りで・・・
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Unknown (幽黙)
2008-05-24 13:25:10
熊按神社の「按」は
延喜式の中では「木」偏のようですね

社殿の色はこんな感じのものでしょうか?
http://archives.bunkenkyo.or.jp/national/choukoku/index.html
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Unknown (uzi)
2008-05-24 20:20:02
>hiro1jzさん

>以前、とある神社では、あまりに参道に枯葉が多かったので、
>竹箒を拝借して掃除してから撮影したことがあります(笑

いいお話を聞かせて頂きました。私も見習わなければ。
hiro1jzさんのお写真には、まったく隙がありません。
次回はじっくり腰を据えて、少しでもhiro1jzさんのお写真に近づけるよう努力してみます。

>eraさん

>鴨大神御子神主神社の生鳥居は二本の木に注連縄
>をかけるんですよ。たしかに道きりに似てると
>思いますよ。


生鳥居【いきとりい】ってこちらでよろしいんでしょうか?
   ↓
http://www.kasumigaura.net/usr/mizukusa/Kasumigaura/page/A0599.html

「鳥居はなく榊と桧の神門」の写真!?


鬼女の首に関するお話、ネットには出ておりませんね。
(検索しても「鳥居みゆき」しか出てこん。)
「道きり」って言葉も初めて聞きました。ネットで調べたら、伊賀地方で言うところの「勧請縄」に似ている感じですが。
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大丈夫です (era)
2008-05-24 21:01:12
hiro1jzさん
気が付いて検索しなおしても神社そのものが掲載
してるサイトは二つほどでしたよ。問題ないざん
すよ。
なんでも全国でも、その一社しかない社名のよう
ですね。篠山はホントにサイトに掲載少ないです
よねぇ。hiro1jzさんに期待してまふぅ。

やはり鹿島神宮の鯰はマイナーですか!
地震を起こす鯰を鹿島神宮の神様が要石で鯰を封じ
込めているって伝承なんですよ。
江戸時代には鯰絵というのが関東で流行したんで
すよ。アウエハントという文化人類学者が、この
鯰絵の研究本を出しています。
たしかに鹿島って静岡くらいが西限かな?
関西は春日信仰が鹿島の変化になりますね。

uziさん
ピンポーン。正解です。よくみつけましたね。他に
も生鳥居ありますが大正解。
鬼女を征伐したのは源のりよりだったような・・・
他には、この氏子圏内では竹を植えないって話も
あって、これも鬼女に関係します。
この鬼女の話って自分のバイブルの式内社調査報告
にも書いてなかったなぁ。意外と現地で変な話を
拾えるんですよねぇ。

たしかに勧請縄って呼ぶエリアもありますね。
意味は変わんないと思いますよぉ。
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鹿島神社 (uzi)
2008-05-25 10:15:28
>eraさん

生鳥居の情報ありがとうございました。

伊賀市霧生に鹿島神社があります。境内に由緒を書いた木製の看板があるのですが、消えかかっており不明確です。祭神は武甕槌命は当然として、経津主命も読みとれます。「神護景雲の頃」という文字も認められます。奈良春日の地に御分霊が移られる時に立ち寄られたという伝説があるようです。
伊賀市阿保にある式内社大村神社にも、御分霊立ち寄りの言い伝えがあります。武甕槌神、経津主神もお祀りされております。大村神社には要石も存在します。
名張市桔梗が丘に鹿島宮【かしまのみや】があります。祭神は武甕槌大神、経津主大神。昭和48年に勧請されております。遷座祭においては、鹿島神宮の東実宮司が祭主をつとめられたとのことです。
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Unknown (hiro1jz)
2008-05-25 15:01:57
>幽黙さん
高宮神社の社殿の色は、やはり見ていただいた方が良いと思い、
仮にアップしました。下記URLにてご確認を。
http://space.geocities.jp/hiro_1jz/kari.html
ピンボケで暗いのを無理やり明るくして構図もダメダメですが・・・。
小さくて置物のようなものですが、狛狼らしきものもあります。


>uziさん
べつに良い行いをしようとかは無くて、「ええい、枯葉が目障りだ!」
みたいな自分勝手な思考に基づく行動ですはい。
たぶん、傍から見たらヘンな人です。

とてもお見せ出来ない隙だらけの写真が、ハードディスクの肥やしになってます(笑

名張では上三谷の集落へ入る手前に、道切りというか勧請縄?があったのを憶えています。


>eraさん
熊按神社は式内社としては取り上げられることの少ない神社ですが、
地元の方にはとても親しまれているようです。
撮影中にも二人の方が参拝に来られましたが、
これは、私が行くような神社では極めて多いほうです(笑
「ここの神様は、とってもよく願いを叶えてくださるわよぉ~!」
と、元気いっぱいにおっしゃってました。
・・・撮り直しに行かねば(笑

確かにこちらでは春日が圧倒的ですね。
鹿島は京都の南丹に一社あるのしか知らないです。
江戸時代にブームになったとすると、安政の大地震が契機になったんでしょうか。
護符代わりみたいな?
関西には地震に関わるような神社はあるんでしょうかね。
阪神大震災の経験者としては、鯰を押さえ込むような神様がいてほしい・・・。


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Unknown (幽黙)
2008-05-26 20:15:43
愚生なら大成功写真に分類されます(^ ^;
というか
すごい彩色ですね
これは黒塗りの神社ですね
数は少ないですが有名筋だと
妙義神社なんかが真っ黒ですよね
それに確かに狛狼らしき
本殿狛犬が気になりますね~


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Unknown (hiro1jz)
2008-05-27 09:48:12
ネットで調べてみると、けっこう黒の社殿が出てきました。
妙義神社も名前しか知りませんでしたが、幽黙さんに教えて頂き、
初めて黒い社殿であることを知りました。
同じ黒でも、派手な装飾にビックリしましたが。
私が実際に見たのは、ここのみですが、
黒という色に、どんな意味合いがあるのか気になります。
本殿狛犬、アップで撮っておけば良かったと後悔してます・・・。
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