神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

新鞍神社

2008年07月24日 | 福井県
福井県おおい町川上

ここは紹介しようかどうか、ずっと迷っていた神社だ。
雰囲気はいい。その雰囲気の良さは、きっと写真には写らないもので、なんとなく、ぼーっと過ごしてしまう、そういう場所だ。
神社の横には谷川が流れ、巨木も一本、聳えている。狛犬からも感じるものがあった。
けれど、そういったものの魅力を伝えられる写真が無いのでは、と思う。
まあ何とか読み取っていただければ・・・。



県道から、横道にちょっと入った場所にある。
目の前は佐分利川で、鳥居前は狭い。


拝殿は、風雪を防ぐためか、4面とも板で囲われている。


狛犬が三対。といっても、真ん中の狛犬は阿形がいない。
手前の狛犬の風化具合は、まさに自然に還りつつある姿だ。原型を留めていないので判らないが、これだけ阿吽が逆のような・・・。


対になる方を見ても更に判らない。
こちらは脚も失われ、巨木の傍らで静かに来訪者を見ている。
神社によっては、狛犬の世代交代により、古い方の狛犬を境内の隅に投げ棄てているようなところもある。
棄てるのは論外、貴重なものは保護するのもいいだろう。けれど、ここのように、その本来の役目から外されることなく、ただ時の流れを身体に刻んで、空気と土に融けるように消えていくのが、いちばん幸せなのではないかと思えた。
静かな、とても静かな表情だ。
この状態になってもなお、ちゃんと扱われている地元の人に敬意を。


なかなか立派な巨木だ。
新しい狛犬はよく見かけるタイプで、狛犬好きの人からは不人気なようだが、先代と同じように、ゆっくりと時を刻んでいけば、ここだけの色に染まるだろう。


本殿は覆屋の中。
間もなく夕暮れで、あとはゆっくりと、静かに、その雰囲気に浸ることにした。


2万5千分1地形図 高浜
撮影日時 070913 16時10分~16時40分

駐車場 あり
地図