goo blog サービス終了のお知らせ 

神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

融神社

2008年08月14日 | 滋賀県

滋賀県大津市伊香立南庄町

大津市の堅田近辺の神社といえば、小野神社や神田神社がよく紹介されている。どちらも式内社だし、駅からも近く、訪ね易いという理由もあるだろう。
少し山側に目を転じると、小椋神社や、この融神社がある。やや交通の便が悪いためか少し紹介は減るが、それでも式内社である小椋神社についての記述は幾つか目に留まる。
融神社に関しては、光源氏のモデルとなった源融公を祀っているということで、神社系サイトでは殆ど見かけなかったが、その他のサイトでは、源氏物語ゆかりの神社として紹介されることが多いようである。
私にとっては、情報の出所がどこであろうと構わないのだけど、ネットで目にした参道の写真は心惹かれるものであったのに、そういった風景に関して触れている記事は少ない。
ここに限らず、どこの神社でもそうで、神社というものの環境を作り上げている風景に、あまり関心が持たれないのは残念である。



辺りは、起伏に富んだ水田と、雑木林の残る丘陵が入り組んだ里山の風情。そん明るく伸びやかな風景の中で、鬱蒼とした林の中に入っていく道がある。
入り口に鳥居は無いが、社号標と石灯籠がある。看板はちょっと無粋だが。


残念ながら車道であるけれど、ずらりと並んだ檜に覆われる鳥居までの道は、何ともいえない深みがある。


車は滅多に通らない。道路の真ん中に立って、その雰囲気と風景に浸ることが出来る。


鳥居をくぐって振り返る。辺りの雰囲気のせいか、アスファルトでさえ美しい青い帯に見えた。


近江の神社は、小さいところでも社殿の美しいところが多い。ここも端正である。


大木は無く、わりと明るい境内で、時おり右手の林の向こうから車の音が聞こえてくるが、落ち着いた佇まい。


拝殿越しに本殿。


やはり地元の人以外も訪れるのか、茅の輪のくぐり方が丁寧に書かれてあった。


2万5千分1地形図 堅田
撮影日時 080703 8時~9時 

駐車場 あり
地図
 


天神神社

2008年07月18日 | 滋賀県
滋賀県甲賀市信楽町勅旨

信楽高原鉄道勅旨駅のすぐ近くにある。
地図で神社があることは判っていたから、集落内の狭い道を車で走りながら、目に留まったら立ち寄ろうくらいの気持ちでいた。
かなり狭苦しい感じのところに鳥居があったが、その奥を見れば、参道の先で日差しを浴びる社殿が立派に見えた。

天神、と聞けば、私などは単純に菅原道真を思い浮かべてしまうし、○○天神などの名称の場合、祭神はほぼ菅原道真で間違いないのだが、天神神社の場合、必ずしもそうではないらしく各地で違う祭神を見かける。ここも大己貴尊と高皇産霊尊、淳仁天皇となっている。




鳥居前の道路はかなり狭く、ぎりぎり端までよって撮影。
車は参道横に平行して走る車道で奥へ行ける。


写真では殆ど見えないのだが、参道右手奥に、竹垣に囲まれた杉の大木がある。
滋賀県には高さ50mに達する木が4本あるらしく、これはそのうちの1本である。


参道の並木が尽きたところは広い空間になっていて、日差しが眩しい。
かつては、途切れずに並木が続いていたのではないかと想像するが・・・。


大木は、参道にある1本のみで、社殿周りも木々は細い。そのせいか、明るすぎる感はあるけれど、清潔でよく手入れされた境内である。


拝殿越しに本殿覆屋。


本殿は瑞垣に囲まれているが、普通に中まで入ることが出来る。
本殿背後と左右は竹垣になっている。


本殿には、信楽らしく陶製の狛犬。
ここに限らず、信楽では個性的な陶製狛犬をよく見かける。


2万5千分1地形図 信楽
撮影日時 080508 10時~10時半

駐車場 あり 参道横にある、勅旨会館という公民館のような施設と、神社の駐車場を兼ねていると思われる。
地図
 

大屋神社

2008年07月07日 | 滋賀県
滋賀県蒲生郡日野町杉

琵琶湖の面積は滋賀県全体の約6分の1である、という事実を、案外と知らない人が多い。極端な場合、滋賀県の半分くらいが琵琶湖だと思っている人もいる。
だが、湖東の広大な平野を見れば、滋賀県の広さ、豊かさを実感する。
この大屋神社のある辺りも、琵琶湖からは遠く離れている。水田と、丘陵と、そしてその向こうに、長大な鈴鹿山脈が横たわる。
琵琶湖から離れていても、やはりどこかに湖国の雰囲気がある。この神社もまた、私が持つ、湖国のイメージに沿うものだ。
参道を覆う杜は、水田の先に濃い緑の帯を描く。そこは緑のトンネルで、水田を吹き渡る風が木々の葉を揺らす、音のトンネルでもある。
湖国では何故か、時間の流れがゆるやかに感じられるのである。



伸びやかな水田地帯を横切る参道を、豊かな杜が包んでいる。


風と木漏れ日が気持ち良い参道。
木の間から田畑も見えるし、さして密度の濃い杜ではないのだが、爽やかな印象を与えてくれる。


緑のトンネルを抜けた目には、明るく感じられる境内。
石段の上に拝殿と、その右手に社務所、更に石段を上ると本殿と末社、という配置。


拝殿前から振り返る。ここから見る参道の美しさは格別だと思う。ここに来るのは二度目だけれど、木漏れ日と緑の濃淡が描く陰影に見惚れる。


本殿のある空間の片隅は、苔の美しさに惚れ惚れしてしまう。
参道の写真を見ても判るように、ここは枯葉が殆ど見当たらない。秋に来たときもそうだったので、地元の方が小まめに清掃されていることが窺え、頭が下がる。


それにしてもこの一画に、とても魅入られてしまった。


朽ちた切株から芽生えた木も美しい・・・。


帰りにもう一度、参道を。


2万5千分1地形図 日野東部
撮影日時 080605 10時~10時半

駐車場 なし 交通量は少ないので、道の広くなっているところに出来るだけ端に寄せて駐車。
地図

 

日雲神社

2008年06月23日 | 滋賀県

滋賀県甲賀市信楽町牧

信楽といえばタヌキの町である。
町を貫く国道を走っていれば、そこかしこにタヌキの焼物を並べた店がある。
そういえば幼い頃、父の運転で信楽にドライブに来た際、タヌキの焼物を買ったような記憶があるのだが、あれはどうなっただろう? なんてことを考えながら運転していると、いつの間にか右折すべき場所を通り過ぎてしまい、Uターンする羽目になった。

例によって、下調べもせずに来ているので、日雲神社は大きな神社、という勝手な思い込みがあったのだが、鳥居前は静かな住宅地で、タヌキの町の賑わいは感じられない。普段の神社巡りと同じく、鳥居をくぐってから出るまで、誰にも出会わない参拝だった。



地図で想像していたよりも長い参道。
朝陽が差し込み、拝殿までの道のりを白い帯で描く。


両脇の杉木立は細いもので、鬱蒼としているわけではないが、なかなか気持ちの良い道だ。


境内に入る手前に車止めがあるのだが、何かヘンな感じが・・・


信楽高原鉄道のレールが、参道を横切っているのだった。
遮断機や警報機が無いのはともかく、「注意」や「止まれ」の看板さえないから違和感があったのだろう。


拝殿は典雅な趣。


拝殿内部。


拝殿横から本殿方向。
本殿は撮りにくい位置にあり、しかも逆光だったのでまともに撮れず。
それにしても、この狛犬は・・・


ちょっと怖い。
口の中まで妙にリアルで、老獪な表情。


こちらには角がある。
正面からだとそうでもないが、横から見ると、かなり怖い表情であった。


2万5千分1地形図 信楽
撮影日時 080508 9時~9時半

駐車場 あり
地図



菅原神社

2008年06月13日 | 滋賀県

滋賀県東近江市愛東外町

湖東には有名な神社が数多く存在する。
どれも魅力的であるし、それらは色んなホームページ等で紹介されているのを目にするけれど、さらに東、永源寺辺りの範囲になると、極端に情報量が減ってしまう。
情報量が少ない=詰まらない、というわけではないと考えているし、私はひねくれ者でもあるので、地図情報だけを頼りに幾つかの神社を巡ってみた。
ここはそのうちの一つで、現地に行くまで名前も判らなかったのだけど、「あ、いいな」と思わせる風景で迎えてくれた神社である。



神社入り口付近は公園のように手入れされている。
その奥にひっそりと佇む鳥居に、何とも言えない魅力を感じる。
参道奥へといざなわれる感じだ。


整備され過ぎた参道は好まないのだけど、ここは何故か惹かれた。
暗がりの奥に見える真新しい拝殿も、本来は古びている方が好みなのに、輝くように美しく見えた。


同じ場所を撮影位置だけ変えた写真ばかりで恐縮だが、気に入った風景はいつもこうなる・・・。


さして長くは無いが、とても気持ちの良い参道だ。


拝殿右手から本殿覆屋。


どういうわけか、本殿側から拝殿の中に入れるようになっている。
拝殿の中から本殿を撮影。


拝殿左手から本殿覆屋。


境内社への参拝路も、きちっと整備されている。
撮影後、地元の方が清掃に来られた。とても大事にされている神社なのだろう。


2万5千分1地形図 百済寺
撮影日時 080605 6時半~7時

駐車場 なし 神社前に停められないことはないが、歩道の邪魔にならないよう。
地図



高宮神社

2008年05月23日 | 滋賀県
滋賀県甲賀市信楽町多羅尾

地形図を見ていて、集落から随分と離れた山中に、ぽつんとある神社記号を見つけた。
山頂や、滝のある場所を除けば、人家からこれだけ離れている神社も珍しい。今の時代、徒歩で参拝に来る人は皆無に近いのではないかと思われる。
そんな山の中にある神社のことであるから、あるいは荒れ果てているのでは、という危惧もあったが、近くにある「神有」という地名が目を引いた。この字面はタダナラヌという気がするし、それはともかくとしても、地形的には西向きの谷間ということで、私にとっての理想的なものである。参道も50メートルくらいはありそうだ。
と、私としてはこれだけの理由で行くには充分なのだが、調べてみると、荒れ果てているどころか相当な歴史のある神社であるらしい。
本殿は国の登録文化財だし、創祀は2000年前であるとか狼の伝承などがあって、なかなかに興味深い。
けれど私は、やっぱり山懐に抱かれた清澄な空間、というところに強く惹かれるのである。



農道のような林道のような狭い砂利道を暫く進むと神社前。
のどかで明るい谷間の風景から、「しん」とした空気に変わる。


二の鳥居。
鳥居の背後から、微妙に朝の光が入ってくる。西向きの谷間を好むのは、この微妙な光加減に出会うためでもある。


二の鳥居越しに本殿覆屋。


石段を上って左手には杉の大木。それを見上げると同時に、境内に満ちた淡い光に触れる。


本殿は極彩色で、しかも変わった色合いだったのだが、暗くてまともに撮れず。


本殿左手の境内社。鳥居の扁額には睦備神社と書かれていたが、聞いたことの無いものだ。


境内左手の森。
主に植林帯であるが、こんな大木もあった。


2万5千分1地形図 島ヶ原
撮影日時 080508 7時~7時40分

駐車場 あり
地図


山神社

2008年04月07日 | 滋賀県
滋賀県高島市マキノ町牧野

今は高島市になってしまったが、カタカナの町名で有名だったマキノは、とても思い出深い地である。
小学生の時の林間学校やスキー研修はマキノであったし、高校時代には福井県境にある乗鞍岳にも登っている。
以後、国道で町域を素通りしたことはあるが、ちゃんと町内に入ることは無かったから、随分と久しぶりのことで、しかも神社巡りで訪れることになるとは不思議なものである。
記憶は定かとは言い難くて、もはやイメージに近いのだけど、イメージ通りの伸びやかな風景が広がる場所で、この山神社も、明るく素朴で伸びやかな印象を与えてくれた。



神社前には水田が広がっているが、神社とその奥は豊かな林が続いている。


拝殿越しに本殿。
明るく、けれど、ひっそりと。とても居心地のいい境内だ。


境内には大木があり、その奥は、木々は細いものの延々と雑木林が続いている。


地形は穏やかで、起伏は殆ど無い。普通なら田畑になっているような場所であり、広大な平坦地を木々が覆っているという風景は、近畿では珍しい。


2万5千分1地形図 海津
撮影日時 071107 13時半頃

地図

大見神社

2008年03月14日 | 滋賀県

滋賀県伊香郡木之本町大字大見

式内論社であるが、やっぱりというか、当然というか、寄った理由は「川沿いにあって苔が多そう」というだけである。
こんなことを言っていると誰かからお叱りを受けるかも知れないが、私にとって神社とは、信仰に関することを別にすれば、「人工物と自然が最も上手く融合した環境」であるので、その溶け合う様子が見られれば良い。

訪れたのは07年の11月。
私が子供の頃は、11月3日の文化の日前後が、滋賀県の山沿いでは紅葉のピークだったのに、最近は色付くのが遅く、色の鮮やかさも落ちたように思う。
と、まあそんなことを考えながら、朝の高時川沿いの道を進む。



大見神社は道路の対岸にあるので橋を渡る。
谷間にも朝陽が差してきて紅葉が輝き出すが、やはりピークには早いようだ。


社殿はどれも小さめである。が、それでいいと思う。
それに相応しい環境があり、環境に相応しい社殿があるということで、溶け合っている。


拝殿越しに鳥居を見る。
拝殿の柱と、木々の幹と葉の緑、そして朝の空気とが、やはり溶け合っているなぁと感じる。


境内の、ほぼ全てが苔に覆われている。


外は早朝から朝の気配に変わる。
こちらはまだ優しい光のままだ。


2万5千分1地形図 木之本(南東)
撮影日時 071108 7時半前後

地図


須賀神社

2008年03月02日 | 滋賀県
滋賀県伊香郡西浅井町大字菅浦

奥琵琶湖の葛籠尾崎の先端近くに、菅浦という集落がある。
地図を見ると、その集落から北に向かって、ほぼ直線の道が200メートル以上の長さで続き、神社記号へと達している。
これはもう明らかに参道で、こういうのを見ると、行ってみたくてうずうずしてしまう。
祭神、由緒、社殿、狛犬、鳥居など、人によってそれぞれ関心の度合いは違うだろうが、私はとにかく参道に反応する。
恐らく、少数派ではあるのだろうけど。


地形図の様子から、多少の危惧は抱いていたのだが、やや整備されすぎた感のある参道。
しかし、真っ直ぐに高みへと続く道は気持ちが良い。


振り返れば、琵琶湖が望まれる。


整備された参道が尽きると階段になる。この階段の上り口からは土足厳禁となっており、スリッパが備え付けられている。
こんな神社は初めてで、スリッパのせいで足元も覚束ないが、大切にされている場所であろうことが窺える。


山蔭に入って西日が当たらなくなったせいもあるが、参道とは一転して境内はひっそりした雰囲気。


本殿は覆屋の中。

土足厳禁の神域で、何となく身も清められたような気分になったあと、琵琶湖を眼前に望みながら下る道は、実に清々しくある。


2万5千分1地形図 竹生島(北西)
撮影日時 071107 15時過ぎ

地図

三輪神社

2008年02月16日 | 滋賀県

滋賀県長浜市谷口町

数日前に、京都市右京区の三輪神社を取り上げて、社殿の無い簡素な美しさを述べたが、ここは逆に桧皮葺の社殿が見事である。
山間部にあるとは思えないほど整った佇まいで、よくある山里の神社とは趣が異なるように思う。
薬師如来が祀られており、神仏混淆の形態を残している。

毎月8日は、地区でお参りの日と決めているらしく、地元の方が次々と参拝に来られるので驚いた。
どなたもにこやかに挨拶してくださり、気持ちよく参拝出来た。


集落の外れの静かな谷間が、ひととき賑わう。意外と若い方からお年寄りまでがお参りされる。


階段の上は広い空間になっており、その奥に二棟の社殿が並んでいる。
垣も桧皮葺で、とても端正な印象。


精緻で気品のある社殿。
ひと気の多いところは好きではないが、地元の方と神社巡りの話等が出来て楽しめた。
暫くで賑わいは去り、山あいの静かな神社に変わる。

2万5千分1地形図 虎御前山(北西)
撮影日時 071108 9時前後

地図