滋賀県伊香郡木之本町川合
事前にネットで調べると、「駐車場あり」となっていたので、集落内の狭い道に入り、神社前まで行く。
鳥居の横に軽自動車が停められていたが、駐車場と言えるものではなく、しかもその一台で精一杯だ。
どこか他の場所にあるのだろうが、探すのも大変そうなので、集落の南の外れの広いところに停めておく。
距離にして800mほど、10分弱の道のりだが、適当な駐車場所が1キロ以内に無い場合は、私は大抵参拝を諦めるという根性なしです。
鳥居から先は、けっこう長い参道であるが、これも事前に調べたときの印象とは違い、案外と深さを感じない。参道途中からも民家などが見え、緑に奥行きが無いからのようだ。
左手に社務所らしき建物があり、そこに駐車出来そうなスペースがあったが、どの道を通ってくるのか判らないし、段差や勾配がきつく、大き目の車だと駐車時に底を擦りそうな場所でもある。
更に、境内は思っていたよりも狭く、彫刻が美しいであろうと思っていた本殿は、新しく出来た覆屋の中に納められてしまい全く見ることが出来ず・・・。
とまあ、不平のようなことばかり書いてしまったけれど、初めて行く場所、特に集落の奥に神社があるような場合、何かと苦労したり、思っていたのと違う状況に出会うのはよくあることで、それでも尚、あ、いいな、と思えるような風景や雰囲気に出会えるから楽しい。
これは二の鳥居。
ここからは緑も深くなって雰囲気も良い。
拝殿よりも、その左奥にある巨木に目が行く。
なかなかの存在感。
拝殿。
参道はともかく、境内は奥行きよりも横の広がりがある。
瑞垣は修繕され、覆屋は新築されたようだ。
本殿を見ることが出来ず残念。
本殿から目を左へ転じると、権現の杉と呼ばれる巨木が聳えている。
その右に八幡宮、左に薬師堂があって、何とも言えない味わい深い雰囲気がある。
薬師堂の更に左奥には、子安地蔵が見えている。
薬師堂の左手から本殿方向。
子安地蔵の前から振り返る。
2万5千分1地形図 木之本
撮影日時 090828 8時10分~8時40分
駐車場 社務所(?)前(軽自動車など、オーバーハングの短い車か車高の高い車以外は厳しいかも)。
地図
滋賀県東浅井郡湖北町下山田
地図を見ても、神社記号さえ記載されていないことが多い。地形図には記号があるが、もちろん神社名は載っていない。
何となく気にはなったものの、他に行きたい神社があったので寄るべきか迷っていたのだが、どちらにせよ神社前を通るコースを設定していたので、その場で決めようと思っていた。
走る車の窓から鳥居が見え、その奥に暗い杜が見えた。通り過ぎたところで慌てて車を停め、改めて神社の方を見る。山を背にした杜は豊かそうで、いっぺんに惹かれてしまった。
そうやって訪れたのが二年前のことで、今回は再訪である。
前回撮った写真が気に入らなかったし、心地良い境内の雰囲気にもう一度、浸りたかったからでもあるが、境内の独特の気配が写し撮れず四苦八苦。結局、やや不満が残ってはいるけれど、度々行けるところでもないので・・・。
鳥居の奥が、トンネルのように暗く木々に覆われているのを見ると、いつも胸が高鳴る。
ここを初めて見たときは、逆光で鳥居の先はもっと暗く、その先にある空間に期待が高まり、足取りも速くなった。
ここまで来ると、暗がりの中にひっそりと、まるで息づくような空間が広がっていることが判る。
暗がりの中は、木々に覆われた小空間。
空間のほぼ真ん中に、傾いだ杉の大木が二本。その奥に本殿。やや右手には境内社がある。
どういうわけで傾いてしまったのか判らないが、この大木の存在が、この空間をちょっと独特な美しさにしているというか、異空間とでもいうような雰囲気を醸し出している。
その木の間越し、やや高みにある本殿も、何か気品のようなものを感じさせる。
入母屋造で、ちょっとお寺のような印象。
この独特の姿は、逞しさというより妖しさという方が相応しいかも知れない。
石段の両脇にも、やや大きな杉が立ち並び、奥へ、高みへといざなってくれる。
この高低差は石垣ではなく、石を乱積みしており、ちょっと庭園風でもある。
本殿はいたってシンプル。というか、やはりお寺を思わせる。
本殿前から境内を見下ろす。
境内右手にある境内社。
参道や本殿に狛犬は無かったが、何故かこちらにはある。
境内社の方は、拝所の奥に小さな流れ造りの社殿。
何の資料も持たないし、何の知識も無いので憶測を語るのは甚だ心許ないけれど、もしかしてここは、かつては寺院で、この境内社は鎮守社だったのでは? なんて思ったのだが・・・。
境内社から本殿を見る。
いや、これはそもそも本殿でという位置付けではないのかも? 境内社の方には狛犬もいれば、榊もあるのに、こちらには何も無かったし・・・。
しかし何にせよ、木々に囲まれた空間にあるその姿は美しい。
境内社(?)前から境内を見る。
静かで、何かに包まれているかのような空間は、時が経つのを忘れる。
2万5千分1地形図 虎御前山
撮影日時 090828 6時~7時20分
駐車場 参道分岐付近の路肩が広くなっている。
地図
滋賀県湖南市針
インターネットで飯道神社を検索すると、甲賀市信楽町にある飯道神社が多数ヒットする。
飯道山の山頂近くにあって、国の重要文化財に指定されている本殿、それから、飯道山がハイカーに親しまれている、ということもあって、何かとネット上の記事に登場する機会の多い神社である。
一方、ここで掲載する飯道神社は、その飯道山から北西へ5キロほど離れた山裾に鎮座する。
こちらはとにかく目立たない神社で、地図に名称が記載されていないことも多く、ネットで見つかる記事も僅かである。
以前にも少し書いたことがあるが、私は山上にある神社より山裾にある神社の風景が好きだし、判官贔屓というか、情報の少ない場所の方が興味もそそられる。
やや市街地に近い場所ではあるものの、ひっそりと落ち着いた佇まいを求めるならこちらだろう、と思って訪ねてみた。
公園のような場所に車を停め、川沿いの道を少し歩くと小さな橋が現れる。
対岸には緑に覆われた鳥居と、参道の奥に拝殿が見えている。
川は護岸されていてつまらないが、流れる水は綺麗だ。
参道は短いながらもモミジに覆われていて、紅葉の時期はさぞかし、と思わせる。
参道右手、木々の向こうはゴルフ練習場らしきものがあって、ひっそりという雰囲気でもないが、曇り空から優しく注ぐ光が、何とも言えぬ陰翳を描き出してくれる。
拝殿周りは木々が開けて明るい。
鳥居方向を振り返る。
ネット上に画像が皆無だったわけではないので、おおよその風景は頭に描いていたけれど、なかなかに味わい深い参道である。
拝殿右手より。
狛犬は本殿拝所内に置かれていたので、瑞垣の隙間から撮らせてもらう。
本殿右手より。
本殿左手より。
2万5千分1地形図 三雲
撮影日時 080828 9時50分~10時半
駐車場 神社前から南へ数十メートルの公園辺りに駐車可
地図
滋賀県野洲市南櫻
以前に御上神社を掲載したことがあるが、その計画を立てる際に、周辺を地図で見ていて最も気になった神社がこの野蔵神社であった。
地図から参道が長そうということは判ったものの、ネットで検索してみても情報は少なく、画像も見つからない。
美しい観光地や美しい滝といったものは、ほぼ誰かが撮影して紹介しているものだけれど、神社となるとその限りではない。それだけ神社が一般的でないということかも知れないし、神社を風景として捉えることが普遍的でないのだろうが、神社には、信仰、歴史由緒、建築、そして風景、といった多様で奥深い価値を持つ空間がある。それらがあまり顧みられないことに寂しさを覚える反面、まだ見ぬ美しい空間が各地に隠れているのだとも言える。
ここも、恐らくは地元の人以外は訪れないであろうし、目の前の道路は交通量が多くとも神社には無関心だ。付近の地名は北櫻、南櫻で、それに相応しく、祭神は木花咲耶姫。だから何だというわけではないけれど、無関心さとは別のところで、連綿と続くものが地名に表れているようでもあり、そこにある風景と共に心地よく感じられた。
背後は国道1号線のバイパスから国道8号線に抜ける道となっており、かなりの交通量。
バイパスが出来るまでは、もっと静かであったろうと思うと残念だが、鳥居の先には地図から想像した期待を裏切らない参道が続いていた。
参道途中に二の鳥居。
光線状態によっては、もっと美しい景色に出逢えそうな場所で、いずれ再訪したい神社の一つである。
二の鳥居から拝殿。
拝殿周りは開けていて明るい空間になっている。
晴天ならコントラストが激しそうだが、かといって曇天だとあまり映えない。やはり早朝に訪れたい場所だ。
拝殿越しに本殿。
ここからの風景は、とても洗練されたものに感じられた。
本殿周りの木々は、どこか動物的なものを感じさせる、表情豊かなものが多い。
狛犬は、この辺りで時おり見かけるエリマキトカゲっぽいタイプ。
写真では小さくて判りにくいが、本殿拝所の両脇には、狛犬でなく狛猿がいる。
本殿は檜皮葺。側面のみ板で覆われている。
社務所の裏に回ってみると、日本酒の空き瓶が何本かあった。神社でよく見かける光景だが、ラベルには「三上山」とある。こういうところからも地方色が感じられて楽しい。
2万5千分1地形図 野洲
撮影日時 080828 7時半~8時半
駐車場 神社入り口そばで道路がやや広くなっている。
地図
有名な御上神社の近く、三上山の南に鎮座する。
社域は狭く、付近には工場などもあって、地図からはあまり惹かれるものではないけれど、神社名が若宮神社とある。単なる偶然だとは思うが、何故か若宮神社という名前の神社に行くと、気に入った風景に出会えることが多い。
訪れたのは平日の通勤時間帯で、案の定、というか予想以上に車が多い。その慌しい気配を遮ってくれるほど、境内の杜は深くはない。しかし、そういったものには乱されない空気も、やはりどこかに湛えている。

参道は短いけれど、心惹かれるものがあった。
左手には木の間越しに車道や工場が見えるけれど、この場に漂う空気は、外とは違ったものに思える。

薄曇の天気で、外は「のっぺり」というか「ぼんやり」としているのに、木々のある空間では深みのある陰翳が描かれる。
鳥居の奥の拝殿は右側面が見えているもので、本殿は右手奥にある。

参道を振り返る。
両脇の狛犬はわりと個性的で、顔が大きく愛嬌のあるものだったが、まともな写真がなく・・・。

拝殿。
背後は道路まで見通せてしまうので、ここはちょっと落ち着きに欠ける。

本殿は瑞垣に囲まれていて近くで見られないが、やはり滋賀県というべきか、大きくはなくとも檜皮葺の立派なものである。

本殿前の狛犬は顔が小さく厳めしいタイプで、鳥居そばのものとは好対照。

何となくエリマキトカゲのようなものを連想してしまった・・・。

社務所前の雰囲気にも、ちょっと惹かれるものがあった。
2万5千分1地形図 野洲
撮影日時 080828 7時~7時半
駐車場 あり
地図
滋賀県野洲市三上
幼い頃、滋賀県を走る東海道本線(今は琵琶湖線という愛称だが)の車窓から、すっくと聳える円錐形の三上山を何度も目にした。近江富士とも呼ばれるその姿は、低い山ながらも特徴的で、ついつい目で追ってしまうのだった。
父親から、三上山を七巻き半もする巨大なムカデの伝説を聞かされたのは、いつのことだったろう。
流れ行く車窓から、徐々に姿を変える三上山を見て、その巨大なムカデが山に巻きついている姿を想像してみたけれど、どうもうまくいかなかった。
けれど、幼心に強烈な印象を与えたのは確かで、それから何十回となくこの山を眺めているけれど、その度にムカデが連想されたし、神社巡りをするようになってからは、その麓にある御上神社に「いつか行こう」と思うようになったのである。
大きく有名な神社であるので、紹介記事は数多く見つかる。しかし、現地に行ってみて、出会うのは既出の風景ばかりかといえば、大きいだけにそうでもなく、こんなところもあるんだ、という楽しみがあった。
ただ、私なりの風景の視点で、と考えてはいたものの、どんよりとした曇り空で空気の透明感が無く、どうも色合いや空気感がイマイチな写真になってしまった。
国道8号線に面して駐車場がある。まだ薄暗い早朝であったが、かなりの交通量があり、大型車も多く騒々しい。
神社南側、駐車場からすぐの狭い道路を隔てたところに鳥居。
ネット上でもよく見かける重要文化財の楼門。
やはり見事なもので、暫し見惚れる。
実は太陽は右から昇っているのだが、左にある照明の影響を強く受けている。つまり、実際はそれほど光量の少ない暗い状態なのである。
重厚で威圧感がありながらも、繊細な美しさを持つ。
拝殿も重文。これは本殿を改築したものという。
拝殿の屋根越しに三上山。
ここから見る三上山はあまり綺麗な円錐にはならないが、屋根の美しさは際立っている。
神社建築では珍しい国宝の本殿。
なんとも優美な姿に神寂びた雰囲気、だが、思いの外、国道を走る車の音がよく届く。
主だったところは以上であるが、社域は広いので歩き回る。
社域のほぼ中央を貫く小川と小道。
用水路のようなものだけど、水はわりと綺麗で小魚も泳いでいる。左右の木々も深く、気持ちの良いところだ。
小川から、公園の横を通って車道に出ると、そこにも鳥居がある。そこから鎮守の杜の西に沿って続く車道が、これまた気持ちの良い道で、滅多に車も通らないし、木々の表情も良い。
西参道の鳥居が見えてきた。
南参道の鳥居と違って鬱蒼としている。
予想外に深い参道で、こっちに楼門があればなぁ、などと勝手なことを思ったりする。
手水舎の辺りはモミジが美しい。
西参道を振り返る。私としては、最も心惹かれた場所。
2万5千分1地形図 野洲
撮影日時 080828 5時半~6時50分
駐車場 あり
地図
今までに訪れたことのある神社で、その名称に「大社」と付くところは幾つかある。どこも大社と呼ぶに相応しい規模を有しており、参拝者も多く、それ故にこのブログでは、あまり縁が無いとも言えた。
然るにこの小槻大社、大社と呼ぶにはいささか誇張がある。いや、かなり、かも知れない。社域は結構ありそうだが、見た目には山里にあるちょっと大き目の神社と大差ない規模に感じられ、広い空間も無ければ、参拝者に出会うことも少ない。
だが、その長い歴史において、それなりの規模や賑わいを誇った時代があるのかも知れないし、実際、社格は高かったようである。本殿も風格あるものだ。
殷賑は窺えないけれど、凋落したわけでもない。静けさの中に気高さが感じ取れる、そんな感じの神社であった。

ここへの道のりはちょっと判りづらい。かなり詳細な地図を準備した方がいいと思う。
ただ、私の場合、なんとなく目星をつけて、何となく道なりに進んでいくと、やがて樹林の中へと続く道が現れて、この鳥居前に辿り着いた。

なかなか深い参道に見えるが、右手は木々の向こうが住宅地である。古い集落ではなく、比較的、新しい住宅が建ち並んでおり、ちょっと興醒めな状態だ。

神田を持つ神社は時おり見かけるが、ここは境内に稲穂が実っていた。

拝殿と本殿の間に、何とも素朴な、それでいて、えも言われるような美しさを感じさせる一画を創り上げている。

この稲穂には、「想い」が詰まっていそうだ。

大木は、この一本のみのようで、歴史ある神社としてはちょっと寂しい。
本殿背後の檜林も、あまり手入れされていないのか、やや荒れた印象。

風格を漂わせる本殿は重要文化財。華美な装飾などは見られないが、安定感のある、威厳と柔らかさを併せ持つものだ。
2万5千分1地形図 草津
撮影日時 080828 11時50分~12時20分
駐車場 鳥居前駐車可
地図
滋賀県栗東市荒張
ここは、私がよく行くような神社とは趣が異なる。
長い参道も無ければ、杜と言えるほどの木々もなく、明るく開放的な境内の神社である。
とは言え、周りは静かな環境であり、あまり知られていないと思えるのに社殿は見事で、さすが滋賀県といった印象を受けた。
社殿を堪能するには申し分ないのだけど、やはり私は木々に囲まれた空間を欲する。
もう少し、じっくり見て周ればいいのに、と思いつつも、早々に退散してしまった。
狭い道路に面して鳥居。
広く明るく、きっちり手入れされている様子がよく判る。
国指定重要文化財の楼門。
美しいのだけど、左手の開けた空間のせいか、ややちぐはぐな印象を受けた。
楼門越しに拝殿。これも立派なものだ。
本殿を囲う瑞垣も立派で、地形図に名前も載らないような神社とは思えない。
こういった形態の神社は、通常、拝所から本殿を窺うことになるのだが、ここは自由に瑞垣の中に出入り出来る。
とても整った佇まいの本殿だ。
殆どの社殿が檜皮葺であるが、杮葺のものも見られる。
屋根に手の届く高さの境内社なので、間近で見られるのがありがたい。
こちらは檜皮葺。
どちらも繊細に光と影を描き出し、その表情は優美である。屋根というのは大事だなと改めて思う。
2万5千分1地形図 三雲
撮影日時 080828 11時10分~11時半
駐車場 あり
地図
滋賀県湖南市正福寺
道路から、畑の向こうに大きな鎮守の杜が見えた。式内社の論社である川田神社の遠景である。
気になったけれど、車を停めるのに難儀しそうでもあったので、まずは最初から予定していた近くにある別の神社に向かった。
そこでは想像していたような風景には出会えなくて、次の予定地に行くべきか、それとも先ほど見た川田神社に寄ってみるか迷った。
ちょうど地元の人が神社の手入れに来られていたので、川田神社に車を停める場所があるかを訊くと、ちゃんと駐車場があるという。それならば、ということで、来た道を少し戻って、この川田神社を訪ねたのである。
いい加減というか、適当というか、随分と優柔不断に参拝しているようで恐縮なのだけど、私はとにかく、ちょっとでも邪魔になる場所に駐車すると気になって仕方なく、落ち着いて参拝出来ない性分なのである。
集落に沿った、やや狭い道に入り、駐車場に到着。
参道の途中に当たる場所に繋がっているので、鳥居前まで回りこむ。
「山里」ではなく「里」というべき立地条件で、田畑の広がる長閑な場所である。
左手が駐車場と集落、右手は檜を主体とした杜である。
程よい光に充ちており、里の神社としては奥行きもある。
本殿前は苔生している。
本殿内には、県指定文化財である木造神像五体が安置されているらしいが、本殿そのものが覆屋の中にあり、見ることは出来なかった。
鎮守の杜の外側は、このように広大な畑が広がっている。
そして鎮守の杜の様子。
大木と言えるほどのものは無いが、なかなかの奥行きと広がりである。
ふっ、と音が消え去るような錯覚に陥る。
檜皮葺に用いるため、檜の樹皮は殆ど剥がれているが、それが、艶かしいような妖しい美しさを醸し出している。
2万5千分1地形図 野洲
撮影日時 080828 9時~9時半
駐車場 あり
地図
滋賀県高島市安曇川町上古賀
この神社は、地形図で見る限り、非常に気になる神社であった。
先日、紹介した瀧原宮と同じように、等高線が極めて伸びやかな地形を描き、そこに広大な杜が広がっていることを連想させるのだ。
しかも、伸びやかとはいえ谷の地形を呈しており、境内は潤っていそうである。
後に、ここが式内社であり幾つかのサイトで紹介されていることを知ったが、画像を見て、行きたいと思う気持ちは、より強くなった。
昨年の秋、この神社を訪れてみた。
入り口に立つと何やら騒がしく、参道の奥の方では工事用車両なども入っている様子。
恐らく社殿の改築をしているのだろうと思い、そのときは参拝を遠慮することにした。思い入れの強い神社でもあるから、出来るだけいい条件で写真を撮りたかったのである。
今年の夏、この熊野神社を再訪した。
社殿が真新しくなっているとすれば、周りの風景から浮いてしまう可能性もあるが、かといって何年も待つのは我慢できないし、参道だけでも見事な雰囲気が味わえるだろうと考えた。
だが───
まずは、ここでリンクしているサイトさんで、この熊野神社を紹介されているページを直接リンクしたので見てください。
「神社探訪・狛犬見聞録」さん
「玄松子の記憶」さん
その上で、今回、私が見てきた熊野神社を見て頂き、何かしら感じ取っていただければ、と思います。
空が白み始めた頃に神社前到着。まだ撮影には早いが、奥を覗き込むと嫌な予感がした。何となく、妙に明るいのである。
適当に時間を潰しながら朝を待つ。
夜明けとともに辺りの様子が明らかになってくると、私が思い描いていたものとは違う風景が徐々に現れてきた。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・。
神社の維持や、社殿の改築にはお金がかかる。時には境内の木を伐採して、それを費用に充てることもあるらしい。それに現代では、工事のためには重機を必要とするし、それが動き回るためにはスペースも要る。だから、この開けてしまった空間の悲しさを、単純に憤るわけにはいかないし、良し悪しを量れないのだけど・・・。
鳥居の付近にだけ、ほんの僅かに、面影が残っているだろうか。
元のような杜になるのに、いったいどれほどの歳月がいるだろう。
2万5千分1地形図 饗庭野
撮影日時 080703 5時10分~5時半
駐車場 あり
地図