a journal of sociology

社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

フレンチ・セオリー:二つの読み方

2010年11月21日 | 読書
フレンチ・セオリー ―アメリカにおけるフランス現代思想 (.)
フランソワ・キュセ
エヌティティ出版


 最近このblogに「フレンチセオリー」という検索語で来る人が多いので、なぜだろう? と思っていたところ、どうやら翻訳が最近刊行されたようである(知らなかった 苦笑)。

 実は、この原書をある研究会で文献報告したいと思ってたところだが、翻訳が出てしまったら、別の仕方で発表を考えねばならない。そう思った。原書で結構一生懸命読んだのだが(というほど一生懸命ではなく、だから計画が延び延びになってしまっていたのだが……苦笑)、あの労力が……。

 ということで、私は件の翻訳を見てないので、翻訳の出来などについて知りたいと思ってきた人は、すまないが他のblogを探して欲しい。申し訳ない。

 ところで、この著作に直接関わるわけではないが、「French theory」に関して、気になったことがあったので少し書きたい。

 というのは、仏のラジオにCarnet Nomadeという教養番組があり、そこで米における仏文化の受容について、米の紀行も含めて特集されていたことがあった。そこで説明されていたのは、この「french theory」の普及というのは、仏におけるポストモダニズムの流行が完全に終わったあとに起きたこと(この文脈は本書で十分説明されているが)、さらに、この「french theory」というのはこの流行遅れの流行(仏より遅れて米で起きた流行)を揶揄するニュアンスを持って使われる名称なのだとか。
 そう考えると、この「フレンチセオリー」の内容も、仏理論の拡大という読み方と、それとは別の仕方で読む必要があると言えなくもない。

 ただ私は、米における仏の理論の広がりについては、その文脈について、その実際について詳しくはないので、具体的にどうこう論じられるわけではないが……。しかし、別の読み方が必要or別の読み方も可能であることを知っておくことは、それはそれで重要なのではないかと思う。


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