a journal of sociology

社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

「社会で役立つ知識」とは?

2015年04月22日 | 社会問題
 新学年が始まった。この時期には、いつも考えることがある。

 昨今は、学生や社会の側から、「役立つ知識」の教育・研究の要求を感じることが多々ある。これは、学会などの動向などからもわかることだが。

 ただ、例えば学生が考えている「役立つ知識」とは、多くの場合、「就職に役立つ知識」だったりする。

 この点などでは、私は個人的に、「社会で役立つ知識」の中身をしっかり吟味する必要があると考えている。というのも、無事に大学を4年で終え、就職口を見つけたとしても、昨今は、ブラック企業の問題や、ブラック企業まで行かなくとも、働く人々の就労条件は、あまり良い状況とは言えない(労働市場の流動性が増したとしてもこれは変わらない。セネットなどの欧米の社会学者の研究を読むと、このことは明らかである)。

 そうした現在の状況を考えると、現実社会に出て自分の身を守る知識というのも、「社会で役立つ知識」であるはずである。そうした意味で、社会の仕組みを批判的な視点を持ちつつ、理解することは、社会に出て役立つはずなのだが、そうした視点が欠けているのは、残念である。

 ただし、20歳前後の学生に、そうした視点を期待することは、なかなか難しい。だとすると、教える側にそうした配慮をする必要があると考えいている。

 が、そうしたことが必ずしも、通用しないのが現在の状況でもある。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。