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社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

古典を読むための辞典

2015年04月18日 | 言語
 新学期になったからか、最近、仏語の辞書についての情報を調べに、このblogを訪問する人が多いようである。とくに多いのが、白水社の仏和大辞典について。

仏和大辞典
クリエーター情報なし
白水社


 現代の仏語を読むには、他の辞典の方が適している場合が、多々ある。例えば、語数などという点でも、中辞典であるロワイヤル仏和中辞典の方が、この辞典よりも多いかもしれない。現代的な訳文が掲載されているのも、ロワイヤルの方が上である。

 それでも、白水社のこの古い辞典を持つ意味はあると思っている。

 私の近年の読書では、例えば、下の本などを読む場合に、白水社の辞典は役に立った。

L'Ordre Naturel Et Essentiel Des Societes Politiques ... - Primary Source Edition
クリエーター情報なし
Nabu Press


 というのも、ロワイヤルや、小学館ロベール仏和大辞典などは、現代的な語の用法から説明されていて、古典的な語法の訳語は、最後の方に出てくるだけである。

 それに対して、白水社の仏和大辞典は、語源順に訳語が並べてあり、語の用法の経過が示されているので、勉強になる。また、仏語を高いレベルで習得する際に重要なラテン語の語源が、ほぼ全ての語に付されている。これもまた、勉強になる。

 そこで、上の本を読みながら考えたのだが、physiqueという語が、「自然学」という意味で用いられていて、これは18世紀の用法なのだが、これを考えると、コントが用いたphysique socialeは、「社会物理学」ではなくて、「社会自然学」とするべきだな、と考えたのだった。

 この話については、また次回。

 いずれにしても、この辞典、値段が3000円ぐらいなら、買って損はない、そんな辞典である。定価で買うのは躊躇するが……。


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