サンマ苦いか酸っぱいか。

久々に顔を出した店は、以前ここでもよく取り上げた盛りの良い店。

盛りが良いというのは「多い」という意味でなく

たとえば、このキノコのバター炒めに添えられたサラダが良いというような。
このこのサラダ、よく観察してみればけっこうな数の野菜を使っていて、食事としては理想的。このひと皿で10品目以上の食材を軽くクリアできている。
何より美味しい。

さて、旨い野菜を食べたら次は魚かなということで、オススメに従いサンマを。

ほら、盛りが良い店はサンマ一尾にもこんなに添え物が。

あ、すだちだ。

とある漫画のエピソードに出合い、一度サンマをすだちで食べてみたいとかねがね思っていたのだが、こんなにも突然に願いがかなうとは。食いしん坊の神様は我を見捨てていなかった。

旬サンマも柑橘で食べると、味が小粋になるようで案外酒にも良い。庶民目線で言うなら焼きサンマが、ちょいと洒落たひと品になったという感じがして楽しい。


女を捨てたやさぐれ板前。時の流れは彼を真人間にしたが、戻らないのは昔の恋人。
偶然の再開に、二人の会話は昔ふたりで食べたものの思い出。貧しい食卓の唯一の贅沢がサンマのすだちだった。

すだちを見ると思い出す、貧乏だけど幸せだったあの頃。もう一度やり直せないかな。


そんな話しさ。