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“男のためのガーデニング”改め

余呉町下余呉集落「乎弥神社」と余呉湖~長浜市余呉町下余呉~

2021-07-24 16:50:00 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 余呉町の中之郷には、かつて国鉄 柳ケ瀬線の「中之郷駅」があり、現在の長浜市の木ノ本 -敦賀港間を結ぶ路線があったといいます。
福井県敦賀へと向かう柳ケ瀬トンネルは、急勾配のため上り列車がトンネル内で立ち往生したり逆行するなどして窒息事故が頻繁に起こったとされています。
急坂に対応するために中之郷駅は、補助機関車を付けるための駅となり、全ての列車が停車する駅として駅弁売りがでるほどのにぎわっていたようです。

中之郷駅は1882年(明治15年)に開業しましたが、1957年に余呉駅が開通して近江塩津経由の北陸線に路線が変わったため、1964年に廃線となる。
現在はそんな路線の名残りを残すかのようにホームの一部と駅名標のレプリカだけが残っています。



余呉町は、中之郷の辺りで丹生谷方面と余呉湖方面、坂口集落を通って木之本町へと進む分岐点となりますが、気ままに余呉湖方面へと向かってみる。
すぐに大きな神社が見えてきて獣除けの柵を開けて入ると、小川に架かる朱色の橋の先の石標には「乎弥神社」とあった。



「乎弥神社(おみじんじゃ)」の御祭神は「巨知人命」「梨津臣命」「海津見命」で、醍醐天皇の時代(平安時代前期)に創建されたという。
境内に入るとまず目に飛び込んでくるのは寄り添うように立つ2本のスギ。夫婦スギと呼ぶのが相応しい姿です。



2本のスギは根っこ近くで合体しているようであり、仲睦まじい印象を受ける御神木です。
片方のスギの方が幹が太いが、2本のスギをまとめるように注連縄が巻かれていることから、2本で1本の御神木ということなのでしょう。



境内には江戸時代に合祀された「乃弥神社」や、明治政府の指示により合祀されるようになった複数の摂社があり、祀られている境内社が多い。
境内社の内、「村草神社」「大名持神社」「塞神社」「八幡神社」は、もともとこの地域内に祀られていた神社だといい、他は明治の合祀のようです。
明治政府が指示した意図は分かりませんが、そこまで政治が信仰の世界に介入していたということなのでしょう。



拝殿・本殿は石垣の上のにあり、「乎弥神社」では石垣の高さが余呉町の他の神社より高く積まれている。
本殿は覆屋の中にありますが、豪雪地帯の余呉では覆屋の中に本殿がある神社が時々見られます。



石垣の上から御神木の夫婦スギを見降ろしてみる。
境内は広いが、綺麗に掃除されていて整っている。地元の方の神を祀る気持ちが伝わってきます。



本殿の裏側に回り込んでみると、興味深い看板がありました。
本殿裏の山には「ブナの御神木」があるといい、右側の山にも数本のブナ樹があるそうです。
ブナ樹は植樹されたものと考えられていて看板にあるような故事も残されており、旱魃に苦しむ余呉湖下流の農民の祈願があったと伝えられているようです。



裏山の坂を上ってみると確かにブナの樹が高々と枝分かれしながら立っています。
どこから登ってブナの下まで行かれたのか不思議に思えるほど、ブナへ続く道は確認できないが新しい御幣が巻かれているのが良く見える。



看板には“ブナは枝葉で受けた雨水を樹幹をつたって自分の株元に集め(樹幹流)株元の腐葉土は水を蓄えます。”とある。
数本のブナで下流の田圃を潤すとは思えませんが、植樹して願いを込めなければならないほど田圃に必要な水に切実な想いがあったのだろうと思います。



さて、ここまで来たので「余呉湖」を一周してから帰ります。
余呉湖の畔にかつてあった「天女の衣掛柳」は、2017年の台風によって根元から折れてしまい、今は見る影もない。

余呉湖の羽衣伝説には“白鳥の姿で舞い降りて水浴びをしていた八人の天女に恋した男が羽衣を隠し、逃げることの出来なくなった天女は男の妻になり、その子供がこの地を支配した伊香氏の祖になった。”とある。
さらには“羽衣が柳の木に掛かっていたので手に取ったところ、天女が現れ羽衣を返して欲しいと請われるが、男は返さず自分の妻とした。子供を陰陽丸と名付けられ、その陰陽丸が後の菅原道真になった。”という伝説もあります。
いずれにしても、隠されていた羽衣を見つけた天女は天に昇っていってしまったという逸話が付いている。



余呉湖は、琵琶湖とは賤ヶ岳(標高422m)で隔てられており、周囲6.4キロメートルの余呉湖は約3万年前の琵琶湖と分かれたとされます。
別名「鏡湖」の呼び名もある穏やかな湖ですが、如何せん天気が悪かった。



琵琶湖を見慣れていますので大きさに驚くことはありませんが、一周してみるとかなり大きな湖であることが分かります。
余呉湖は、冬はワカサギ釣りや水鳥観察が有名ですが、湖の周りには賤ヶ岳の登山口がいくつかあり、山の中へ入っていかれる方の姿もありました。
天気・季節・雲の状態・風・陽の当たり具合に恵まれた日に、リフレクションした反転世界を見てみたいものですね。





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